2005年11月

漢字圏の近代

村田雄二郎/C・ラマール編 『漢字圏の近代』〔東京大学出版会〕は、東大と一橋の大学院の先生方がかいた東アジア言語史テキストだ。■基本的には、駒場で1・2年生対象の中国語教育にかかわる先生方が中軸となって、教養学部の入門科目のひとつとして、2002年冬学期の「漢字文化圏の言語と近代」という連続講座を展開したことをもとにしているそうだ。■地域が中国にかたよらないようにと、一橋や京大の先生なども まねかれているし、朝鮮語教育の先生もくわわっているが、編者の先生が「あとがき」でことわっているとおり、「結果的に「中国」色が濃く残っていることは,率直に認めねばなるまい。また、「中国」の中で,香港に関する言及が欠けている……」とある〔p.216〕 続きを読む

血統幻想 4

■Wikipedia 「優生学」【リンク省略】
 優生学とは社会的介入により人間の遺伝形質の改良を提唱する社会哲学である。その目的は様々であるが、“知的に優秀な人間を創造すること”、“社会的な人的資源を保護すること”、“人間の苦しみや健康上の問題を軽減すること”などが挙げられる。これらの目標を達成するために提示された手段には一般的に産児制限、人種改良、遺伝子操作を含むものである。優生学に対しては歴史的に「疑似科学」であるとする批判が向けられ続けてきた。それは人間のもつ様々な特性を脱主体化する可能性を含むものであり、歴史的に強権的な国家主導の人種差別と人権侵害、究極的にはジェノサイドにまで至る社会的な思考手段であり続けたことを意味するのである。【中略】
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血統幻想 3

■サイトにいちいちあたったわけではないが、おそらく国粋主義など極右的復古運動の信奉者たちであれば、きょうの「勤労感謝の日」といった、社会主義的名称は、国体にそぐわない、「新嘗祭」へと復古させるべきである、と、となえるであろう。■「天皇が五穀の新穀を天神地祇(てんじんちぎ)に勧め、また、自らもこれを食して、その年の収穫を感謝する祭儀」といわれる「新嘗祭」は天皇が農業神の祭司であることをしめしているが、同時に「秋に新穀を供えて神を祭る稲作儀礼」とも記述されているので、実質的には、「稲作儀礼」の主催者といえるだろう。■日本列島の住民が、こぞって、とぎれることなくコメを常食してきたなどというイメージが幻想であることは、柳田國男の指摘をまつまでもなく、あきらかだ。しかし同時に、柳田本人が稲作中心主義の合理化として、一国民族学としての「日本民俗学」を構築したといっても過言でない経緯の基盤=稲作イデオロギーの、ねづよさ/ねぶかさは、あなどりがたい。■日本列島住民が、みな白米を不自由なく常食できるようになったのは、おそらく ここ半世紀弱程度にすぎない。が、外国そだちでないかぎり、白米を1週間くちにしない人物は、現在でも かなり特殊な層に属するといってよさそうだからである。■日常的に稲作作業などするはずがない天皇が、稲作のまねごとをするという儀礼を毎年くりかえすというのは、戦後日本の食文化を意外に象徴しているともいえるのだ。現に食糧生産から、縁どおい生業でくらすハラナ自身、幕藩体制期の「士農工商」という エセ身分秩序イデオロギーと、天皇の偽善的儀礼を一笑に付せない(笑) 続きを読む

血統幻想 2

■きのうは、「家系図」という、血統イメージを象徴化した装置が、血流などで 一度もつながったことのない 男親の系譜にもかかわらず、なぜ連続性をかたれているのか、その自己矛盾を 分析してみた。
■こそだて、とりわけ乳幼児期や学童期に、母親や祖母が中軸をになっていて、「実質母子家庭」状態が マレでない 日本列島/琉球列島のばあい、「男親」の影響とは、単に政治経済的な社会的地位の争奪戦=「イスとりゲーム」の勝敗=序列化だけのはずだ。人間的本質の中核をかたちづくるだろう、育児・学童教育期に、中年男性など ごくわずかな かかわりしか しないものだ。■にもかかわらす、きのう検討したように、「男親が だれか?」にしか関心がないかのように、ふるまう人名辞典の編集委員/執筆陣の意識は、歴然としている。おそらく それは、われわれ大衆の ウワサばなしの動機などの水準と 同質といえそうだ
(笑)
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血統幻想 1

皇室典範の改正問題やら、大相撲外国人力士の人数わくなど、血統を 気にした議論が、近年かまびすしい。■ペットや競馬の「血統表」をはじめとして、「血統」概念が、ホ乳類において 母体と胎児が 「ヘソの お」をとおして、まさに 血流として 生命がひきつがれるという、生物学というよりは、医学的/獣医学的な なまなましいイメージを 基盤にしていることは、いうまでもない。■しかし、ひとびとは、国籍問題における血統主義や、有力家系の人物を「サラブレッド」とか、「毛並みがいい」といった 俗っぽい表現もふくめて、その政治学的な射程をとらえそこなっているとおもわれる。 続きを読む
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