■きのう maxi さんから、先週末かいた「新崎盛暉,未完の沖縄闘争」に対して、つぎのようなコメントを いただいたので、先日かいた「迷走する普天間基地返還」とあわせた続編とする。
●タカマサさん、海兵隊の削減より、数字のマジックも使いそうです。「国土面積のわずか0.6%しかない沖縄に、在日米軍専用基地面積の75%が集中している」とわかりやすい数値を引用して不公平さ、沖縄差別を主張します。●キャンプ・ハンセンを自衛隊と共用、カデナに自衛隊のF15を移すなどの共用が同意されています。北部訓練場の自衛隊との共用も同意すると、専用の75%が、28%に低下します。(具体的な数字は私のブログで)●「劇的な沖縄の負担軽減だ」日本政府、外務省・北米局長に私のブログのアドレス教えたので、実行に移すかもしれない。(笑い)
■事情がのみこめていない層には、さっぱりわからないセリフだろう(笑)。■ま、これについては、maxi さんが はしょりすぎというのと、読者が無関心ゆえに不勉強という合力なので、おあいことしよう。■以前も少々は ふれたが、ひょっとすると 読者層の大半が問題の所在をとりこぼしているとか、カンちがいをしでかしている 不安がないでもないので、おさらいをしておく。

■「国土面積のわずか0.6%しかない沖縄に、在日米軍専用基地面積の75%が集中している」というコピーは、日本政府でさえも 公称する数値である。「国土面積のわずか0.6%しかない沖縄」という点を強調するかどうかで、論者の姿勢が非常にことなるというか、たとえば、1996年の政府広報では、「沖縄県全体の約10%,沖縄本島の約18%」という風に、ボカされたりする。しかし、「本土」:「沖縄県」=1:3 という、異様な かたより=おしつけについては、政府も否定しないわけね。■要は、「本土」住民の実感=「ひとごと」意識を みすかして、「沖縄戦のあとの軍事占領」→「冷戦構造/ベトナム戦争」→「米軍基地の集中」って、歴史的経緯で かわいそうなことをしました、ってストーリーで、同情だけを さそい、すくなくとも日本政府は、米国とギリギリの はなしあいを つづけてきたんですよ、って アリバイ的ポーズに終始するわけ。■だけどね。新崎盛暉さんらが 再三指摘してきたとおり、問題は、占有面積とか 民間居住地に隣接・集中しているとったことだけに、とどまらないのね。■占有面積比=1:3を、現地面積比=99.4:0.6で わってごらん。なんと0.01:5=1:500 なんだよね。なんなら 人口比=99:1で わってもいい。それでも、1:300だ。これが、新崎さんや野村浩也さんたちのいう、植民地支配、ロコツな差別という実態をしめす 厳然たる数値だ。

■じゃ、maxi さんのいう、「自衛隊との共用」っていう 制度変更が、どういう意味をもつかといえば、それによって、「米軍専用基地面積」が激減するってことになる。■maxi さんの 試算によれば、総面積 23728ha?共用面積 14946ha=専用面積 8782ha。専用面積が37%に激減する という 数字上のトリックが うまれる。■これを悪用すれば、全国の28%弱にまで比率も激減するから、めでたく 対「本土」比≒1:1が完成と
(笑)。全然総面積をへらさずに、数値上は、あたかも 対「本土」比が「平等」になったかのような、幻影を演出できる。■もっとも、そんな ケチな操作したって、人口比=99:1で われば 1:110、面積比でわれば 1:184だ。
■さらにいえば、沖縄県への米軍基地は、基本的に沖縄島と伊江島に集中している。両島は、沖縄県の半分なので、全国土の0.3%ってことだね。■つまりは、(ズルなしで)面積比で計算するなら、99.4:0.3 でわらないといけない。1:994だよ。■これでわかることは、どんなに 操作をしようと、すくなくとも 3ケタ台の格差が放置されてきたってことだ。
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* ちなみに、自衛隊基地/演習地との共用といったトリックは、政府の「伝統」だった。■北海道が突出して面積が「おおきい」ので、沖縄は1位でないとか(笑)。■このヘンの詐欺的姿勢については、新崎さんも、指摘していたし、ましこ・ひでのり『イデオロギーとしての「日本」』〔序章〕が、かなりきつく批判ずみだ。■また、それをやらかすという、「はじしらず」にもどるのか(笑)。というか、それをゆるすかどうかは、ひとえに 「本土島民」たちの 記憶力にかかっているな。


■そんなことするより、たとえば 沖縄の米軍基地を半分弱「本土」に移設するだけで、1:3が 3:2と、劇的に「好転」するはずだ(笑)。なにしろ、0.25:0.75 が、(0.25+0.35):(0.75?0.35)=0.6:0.4 だからね。■できない数字じゃない。ないしろ、面積比99.4:0.3≒331:1 ですからね。
■しかし、「本土」がわの各都道府県の首長たちは、なにをぬかしているか? 「タマつき」現象っていうか、実は米軍の世界戦略構想にそった、軍事同盟の再編でしかないんだが、ともかく、沖縄県外の既存の米軍基地・自衛隊基地に、基地機能が移転してくるっていうんで、「騒音がたいへんだ」「負担がおもいから、うけいれられない」とか、かってなことをいうんだな。■そんな不満を、沖縄がわが どうきいているか、わかってないから、はけるセリフだよな。だって、「ホンネ変換」したら、「沖縄島民/伊江島民は、騒音なれているから、別にいいじゃん」ってことだろ。ほかに 意味が生ずるんなら、かきこんでほしいな。■「うちは、いますでに、基地負担で満杯です」って? じゃ、1000倍ちかい濃度で基地被害にたえている 沖縄島民/伊江島民の負担は、満杯じゃないのかね? それと、過去60年間の たまりにたまった負債は、いつかえすんだ? ■反論まってるぜ。
■ちなみに、ハラナは、厚木基地の爆音がどんなものか、よーくしっていて、発言しているので、誤解のないように。

■でもって、基地機能の「本土」移転が、ムリだと ぬかす 連中が、完全にわすれているっていうか、戦争責任/植民地責任なみに、無責任に みおとしている歴史的経緯がある。■それは、「砂川闘争」とかで こりた 日米政府が、日本「本土」の海兵隊とかを、「「日本ではない沖縄」に移駐した」ことで、「1952年の安保条約の成立から、1960年にこの条約が改定される
(現行安保条約が成立する)ころまでに、日本本土の米軍基地は四分の一に減少した」って事実だ〔新崎盛暉『現代日本と沖縄』山川出版社,2001年,p.56〕。■「キャンプ・シュワブ、キャンプ・ハンセン、北部訓練場など、沖縄島北部の海兵隊基地は、そのほとんどが50年代後半から60年代初めにかけてつくられている〔同上〕って、経緯もおわすれなく。石原クン(笑)