日本語論へのコメントで、何度も話題に のぼったことだが、ローマ字略語の横行は、英米語=世界語化の猛威をうけて、世界中をおおいかねない問題だ。■そんななか、実に便利なネット上のサイト=辞典を発見。『不明解略語辞典』は、ネット上に公開されたローマ字略語辞典だ。 
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■今回は、これを素材に、ハラナの現時点での ローマ字略語論=私見を整理しておく。
■まず、この辞典は、かなりよくできているが、業界によっては、「こんなのも でてないの?」ってな反応がでるとおもう。■たとえば、ハラナのばあい、「AALA(=Asia,Africa,Latin America=いわゆる第三世界)」なんてのを、すぐ おもいつくが、

AAL
   Above Aerodrome Level
   飛行場面上。
   ATM Adaptation Layer
   ATMアダプテーション層。

AALCC
   Asian African Legal Consultative Committee
   アジアアフリカ法律諮問委員会。
と、「AALA」は、登録されていない。■しかし、まあ かなり網羅的にできた辞典だ。

■ユーモアにも ことかかない。たとえば
AV
   Adult Video
   略称が同じなので、視聴覚機器の略語として使うのを躊躇するわ【笑】
   Audio & Visual
   視聴覚機器。
などと
(笑)。■しかし、この例でもわかるとおり、要は「業界内」の人物同士の 「省エネ」コミュニケーション用に、ローマ字略語は、情報量を極限まではぶいてしまっている。いいかえれば、極度に「文脈依存型」の 単語表記なのである。■そして、それが 「業界外」に モレでて、日常生活に はいりこむと、たとえば、「趣味:AV」とか、わらえない「衝突」がおきるだろう。いや、方向性次第では、「AV感覚」とか「AVプレイ」といった略語もあるのかもしれない(笑)
■当然のことながら、ローマ字略記は、基本が語頭のイニシャル
〔かしらモジ〕だから、それにつづく 膨大な情報量が ぬけおちる。■もちろん、統計的には、ながったらしい つづりの モジ列ほど 略記したくなるという、情報理論上の経済原則がはたらくわけで、「AAA」なんてのも、もともとの つづく つづりは、かなりながい(笑)
   Agricultural Adjustment Agency
   (米)農事調整局。
   American Automobile Association
   (米)自動車協会。
   Anti Aircraft Artillery
   高射砲。
   Authentication, Authorization, Accounting
   認証、権利認証、アカウンティング。
■まあ、これらは 業界内部で つかわれそうな部類ではあるが、たとえば「ABC」などとなると、
   Activity Based Costing
   活動基準原価計算。
   American Broadcasting Company
   米の放送会社。
   Asahi BroadCasting Co.
   朝日放送(株)。
   Associated Builders and Contractors
   建設請負業者協会。
   Atanasoff Berry Computer
   最近では、ENIACではなく、こちらが世界最初のコンピュータだとする説が有力。
   Atomic Biological Chemical weapons
   原子・生物・科学兵器の総称。
   Audit Bureau of Circulation
   新聞雑誌部数公査機構。
   Australia BroadCasting
   オーストラリア国営放送。

■もちろん、「Associated Builders and Contractors(建設請負業者協会)」なんてのと「Audit Bureau of Circulation(新聞雑誌部数公査機構)」が混同されるなんて文脈は、ありえないだろう。■また、「ABC兵器」というばあいに、文脈がわかるひとは もちろん、文脈がわからないひとでも、「兵器」の一種であるという 安心感はえられる。■ただ、「American Broadcasting Company(米の放送会社)」と「Asahi BroadCasting Co.(朝日放送)、「Australia BroadCasting(オーストラリア国営放送)」などは、おなじ文脈で でてくる可能性が 意外におおくないかもしれないが、アングロケルティックな国家体制への国際テロ事件などのばあいは、アメリカ/オーストラリアの両放送局が からまる危険性が、ないでない。■なにしろ、英米語の“Broadcasting”は、略記されるときに、「BC」と「B」の両方がありえるから、文脈に通じた読者/視聴者でも 混乱がおきうる。

■「F?1」なんていう、数字とあわされた略語もある。
   First filial hybrid
   1代雑種
   Formula One
   フォーミュラ(規定)ワン。4輪が露出した単座のレース専用車。

■このヘン、その 業界のひとびとにとっては 自明であり、なにも問題なさそうにみえる。■しかし、農業/生命工学系術語の「F1ハイブリッド」を 検索エンジンGoogleにかけると、「ハイブッリドカー」などが前面にでた検索結果さえでてきてしまう(笑)。■また、マーケティング業界なら、「F1」とは、
テレビ業界用語で,個人視聴率の集計区分の俗称.
 ・F1=女性20-34歳
 ・F2=女性35-49歳
 ・F3=女性50歳以上

を すぐイメージするにちがいない。■ちなみに、ハラナのばあい、いずれの業界とも 距離が大なので
(笑)、まず混乱はないが、逆にいえば、世話話のたぐいで、昼食時や のみやで、新聞・雑誌ネタとして、いずれも 話題にのる可能性がある(笑)。■ま、ハナシが 微妙にくいちがって、そのスレちがいに、爆笑といった たのしい時間の きっかけでもあるんだが(笑)

■当然、でだしがアラビア数字って略語もある。■たとえば、前出の「AAA」にあった、「Authentication, Authorization, Accounting(認証、権利認証、アカウンティング)」に 酷似したものが、
3A
   Authentication, Authorization, Administration
   認証、権限付与、管理

として でてくる。■これって、業界かぶるから、「AAA」と「3A」と なっているんでしょうかね? だれか、くわしい かたがいたら、おしえてほしい。■ハラナは、スポーツ通ではないが、「3A」と きいたら、アメリカ野球マイナー・リーグの トリプルA=「3A」をイメージする。というか、業界人以外は、普通そうなんじゃないか?■ちなみに、「格付会社」では、「AAA」を最高ランクに設定してるよね。業界外のひとにとっては、こっちの方が一般的かも(ほかの会社は「Aaa」とかも あるようだけど)。


■結局、業界外に もちだすとき、あるいは 特殊な 略語をはじめてもちだすときに、「新聞雑誌部数公査機構(英語表記:Audit Bureau of Circulation,略称ABC)」といった ことわりをいれていくしか ないんじゃないか? ちなみに、この「新聞雑誌部数公査機構」のばあい、最近の公称は「社団法人 日本ABC協会」っていうらしい。これじゃ、業界外の層には、絶対つたわらないよね。検索エンジンGoogleで「ABC」をひくと、「ようこそ日本ABC協会ホームページへ」が 第1位で ひっかかるけど、なんの団体か、さっぱり わからないよね。どういう神経しているんだろう?
■アカデミズムの、たとえば 社会学周辺の 論文や著書では、あつかう領域が やたらに ひろいので、「新聞雑誌部数公査機構(英語表記:Audit Bureau of Circulation,略称ABC,以下「ABC」と略記)」といった ことわりがきを、よくみかける。これは、あつかう領域の ひろがりが、同時に読者層の ひろがりを せなかあわせにしているという、関係者の実感があって、「業界内部」だけで とじた、「高度に文脈依存的状況」=ムラ社会流の 「お約束」では、とても たちいかない、って わかっているひとが、おおいからだろう。■ほかの業界人も まなぶに あたいするはずだ。これからは、急速に均質化がすすむ一方、多文化性も たかまるわけだから、複数の業界に またがる話題、ことなる関心をもつ 周辺の層が よむかもしれないっていう想像力は、「情報開示/利用の ユニバーサルデザイン」というイミで、かかせなくなるだろう。■ちなみに、こういった業界で、「ユニバーサルデザイン」って、それでなくても 英米語起源の 術語なのに、「UD」とか略記して なんともおもわない感覚は、こまったもんだ。■こういった「ムラびと」は、「ユニバーサルデザイン」を かたっちゃいけないとおもう。