■「【主張】プルサーマル同意 評価したい地元の先見性」(『産経』社説,2006/03/28)とか、「[プルサーマル]「今度こそ確実に実現したい」」(『読売』社説,2006/03/28)とか、右派メディアは、先日の金沢地裁の判決に、過敏なほど反応している。■「プルサーマル」という、あやしげな技術に地域がそろって「うけいれ」を表明しているわけではないからだ。
…… だが、関電では1999年、燃料加工を発注した英企業で検査データ改ざんが発覚した。04年には、福井県の美浜原子力発電所で死亡事故が起き、同意は凍結状態に追い込まれている。東電でも、02年に定期点検記録の改ざんが表面化し、福島、新潟の両県が同意を撤回した。
 プルサーマルの安全性は、従来の原子炉の運転と、そう変わらない。これまでのウラン燃料でも、運転中にプルトニウムが出来て、プルサーマルと似た状態になる。フランスが21基、ドイツが15基の原子炉で実施するなど、海外では定着している。大きなトラブルもない。
 だが、関電、東電と同じ轍(てつ)を踏んで地元の信頼を損なえば、立ちゆかない。プルトニウムが滞ることになる。
 わが国は、国策として核燃料サイクルを推進している。使用済み核燃料中のプルトニウムを再処理工場で回収して、燃料に使う。ウラン資源の節約になる。放射性廃棄物の量が減る。使用済み核燃料も、ためずに、処理できる。
 電力業界は以前、プルトニウムの回収を海外の再処理工場に依頼していた。すでに、26トンが回収されている。
 青森県六ヶ所村では、民間初の再処理工場が最終試験を控えている。試験同意の前提として、青森県は、回収したプルトニウムの確実な利用を挙げている。
 将来は、プルトニウムを効率良く燃やせる高速増殖炉を実用化するが、当面はプルサーマルで燃やさざるを得ない。
 政府と電力業界は、プルトニウムを円滑に活用するため、10年度までに、国内の原子炉16?18基でのプルサーマル実現を目標に掲げている。
 他の電力会社も、九電に続きたい。
(『読売』社説,2006/03/28)

といった議論は、いかにも くるしげ。


■また、『産経』社説のつぎのような しめくくりは、あまりに軽薄。

……
 電力会社や国による一層の説明努力も必要だ。「プルサーマル」より「リサイクル発電」の呼称の方が実態を反映していてわかりやすい。そう考えている人も少なくないはずだ。この際に新たなネーミングを提唱したい。

------------------------------
■しかし、こういった「リサイクル」イメージに、まるめこまれる市民はすくなくないし、実際、フェロシルトは、三重県と石原産業によって、とんだ茶番劇=ゴマカシが演じられたのだった。■それにしても、どうして政官財の権力のやらかすゴマカシには、既視感ばかりなのだろう。

【関連記事】「プルサーマル 進めたいなら無事故が基本だ」『毎日』社説