■別処珠樹さんの『世界の環境ホット!ニュース』のバックナンバーから転載【リンクは、ハラナによる追加】。■シリーズ第2回(「転載:枯葉剤機密カルテル1」のつづき)。


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世界の環境ホットニュース[GEN] 585号 05年06月02日
発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
枯葉剤機密カルテル(第2回)
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枯葉剤機密カルテル          原田 和明

第2回 記者会見

枯葉剤国産疑惑について新聞各紙は三井東圧化学の見解を掲載しました。1969年7月24日付朝日新聞は次のように報道しています。

三井東圧化学大牟田工業所(籏崎憲作所長)は、旧三井化学大牟田工業所時代の1967年10月から外国からの引き合いで塩素系除草剤「245T」の中間製品である「245TCP」の生産を始め、月産五十五トン、主としてオーストラリア、ニュージーランドに輸出、内需はない。今年に入って完成品の一種である「245T」も月産十五トン製造している。

ベトナムの枯葉作戦用に使用されているのではないかとの点について、会社側はベトナムへの直接の輸出は絶対していないといっており、同社の主力組合である三井化学大牟田労組でもこの点は認めている。しかし、大牟田地評などで「輸出先のオーストラリアで加工されてベトナムに再輸出されている」という情報をにぎっている。これに対し会社側は「この点については知らない。しかし、それが事実であっても鉄板が米国に輸出されて戦車になり、ベトナムに出動しているのと同じで決してベトナム向けに作っているわけではない。」と言っている。

なお、楢崎は質疑終了後に農林省に問い合わせ、同省がこうした薬品の販路を掴んでいないことを確認した。このため楢崎は24日の衆院本会議でこの問題を取り上げ、佐藤首相の見解を質すことにしたが、「農薬メーカーや一般の化学会社でもすぐ化学兵器に生産が転換できる。知らぬ間に非人間的な兵器生産に手助けをさせられないよう厳しく監視する必要がある」と言っている。

7月25日付 日経新聞は、楢崎質問の翌日に三井東圧化学の記者会見を伝えています。 
三井東圧化学副社長・平山威は同社大牟田工場で生産中の245T、245TCPに関する概要を24日、後藤通産省化学工業局長、下村厚生省薬務局参事官に対して説明、そのあと記者会見し、およそ次のように語った。

1. 245TCPはパルプの防カビ剤として1割、24
5T原料として自家消費が1割(245Tは石原産業
日産化学を通じて外販)、残り8割は輸出している。

2. 輸出先は英国が最も多く、次いでニュージーランド、
フランス、シンガポール、オーストラリア、米国の順
で、南ベトナムは皆無。米国には生産開始以来35トン
を輸出。輸出先はICDという医薬原料会社一社で同
社は殺菌剤ヘキサクロロフェンの原料に使っている。
その他地域の輸出先は農薬メーカー、化学会社など。
これらの会社は主として245Tに加工して除草剤と
して販売しているものとみられる。それが南ベトナム
の枯葉作戦に使われているということは聞いたことも
ない。枯葉作戦に245Tが一部使われていることは
聞いているが米国あたりから輸出したものではないか


3. 1968年1月から6月にかけて当社大牟田工場で245
TCP生産の際に23人が皮膚炎にかかったことは事実。
原因は製造開始時の運転不慣れにより多量に、あるい
は繰り返し245TCPに触れたことによるもので、
その後防護具の使用、排気装置の設置などの対策をと
った結果、問題は解消している。



7月25日付朝日新聞 【気流】(コラム)「まさか枯葉剤に大あわての三井東圧」

三井東圧化学は「ベトナム戦争で使われている枯葉剤の原料が同社の大牟田工業所でつくられている」と国会で取り上げられて、大あわて。二十四日は朝から、平山威副社長が通産省の後藤化学工業局長や厚生省の下村薬務局参事官のところへ行って「決してそんなことはないはず」と陳弁につとめた。
1967年10月に生産を始めてから、この6月までの輸出実績は 805トンに達している。平山副社長は「245Tがベトナムの枯葉作戦に使われていることは知っていた。しかしウチの製品がその原料になっているとは信じられない」と憮然とした表情。大牟田地評などで「輸出先のオーストラリアで加工されてベトナムに再輸出されている」といっているのについても「そんな事実があるなら、ぜひ教えてもらいたいものだ」と開き直る。オーストラリアへは、1967年10月から1968年2月まで毎月5?10トンづつ、あわせて50トン輸出したが、それ以後はゼロ。同国では牧草用の需要が多いので「再輸出されるはずがない」というのが同社の見方だ。
もっとも、輸出した国がベトナムへ再輸出したとしても、同社は知りようがないわけだ。「そんなはずはない」と強調したところで、あくまで単なる仮定に過ぎない。245TCPそのものは少しぐらい皮膚にふれてもたいしたことはないというから、同社があわてたのもこのためだったようだ。原子力と同様、使い方ひとつで平和用にも戦争用にもなるのは、こうした産業の宿命ともいえよう。



沖縄のサリン漏洩事故につづき降ってわいた枯葉剤国産疑惑に関する国民の関心は残念ながらその後急速に冷めていきました。米国宇宙ロケット・アポロ11号が月面着陸の偉業を達成、日本時間7月25日午前1時50分、暁の中部太平洋に着水・帰還したのです。ニクソン大統領を乗せたホーネット艦上のテレビカメラからは帰還の様子を捉えることができませんでしたが、新聞紙上には「月人、地球に還る」との大見出しが躍り、国民の意識は人類史上初の快挙に釘付けになったのでした。

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■こういった、「国民全体」がわきたつようなイベント、とりわけテレビ中継などを利用したものには、注意が必要だ。■重大な権力犯罪から、めをそらすような意図があって、ここぞとばかりにメディアが動員されることはすくなくないからだ。■今回のワールドカップサッカーも、前後の政治日程に注意をはらう必要があるし、メディアがこっそり ゴマカシに動員されていないか、監視しなければなるまい。