■リンク集にもおさめてある『沖縄タイムス』の「特集 基地と沖縄」。■ことし元旦からはじまった「脱基地のシナリオ」の第2部「振興策 光と影」の最新号を転載〔2006/07/27,朝刊2面〕。

ミュージックタウン
「人づくり」を軸に構想

 「島田懇談会事業は、何にでも金を出す金庫ではない。コンクリートのハコモノを造ればいいという話ではない。中身が大切なんだ」 一九九八年五月。革新系の現職を破って初当選し、上京した仲宗根正和沖縄市長=当時*=は、元首相補佐官で島懇の有力委員だった岡本行夫氏から厳しい言葉を聞かされた。

 仲宗根前市長の選挙公約の一つは、衰退する中の町の再開発。岡本氏への面談は、この事業を島懇に取り入れてもらうことが目的だった。

 しかし、岡本氏の口から出るのは叱責ばかり。「人材育成」を主眼に掲げる島懇事業にそぐわないハード事業の「再開発」に拒否反応を示した。次々指摘される“正論”に、市側は沈黙するしかなかった。
 仲宗根市長は「色良い返事は何もなく、落ち込んだ」と当時を振り返る。市振興プロジェクト副参事として同行した島袋芳敬現助役も「とにかくひどく怒られた。当選祝いの言葉もないほどだった」と話す。

 ただ、沖縄市はあきらめなかった。島懇事業を導入したこどもの国の人材育成機能を中の町に持ち込み、音楽による人づくりを行う―と理論武装。政府折衝では「再開発」を表に出さず、「音楽」「人づくり」を前面に押し出し、島懇の承認を得た。

 それが現在、胡屋十字路の一角で、「中の町・ミュージックタウン整備事業(音市場)」を中核に工事が進む「コザ・ミュージックタウン」だ。

相乗効果

 再開発の総事業費は約七十億円で、音市場に掛かる島懇事業費は約三十億円。島袋助役は「国や県など、補助金メニューの合わせ技だ」と強調する。

 「市が負債を抱える第三セクターの複合商業施設コリンザの、二の舞いになるのではないか」と危惧する声に対しては「市が運営するのは音市場だけ。公設民営方式だから、市の抱えるリスクは少ない。その他は、事業主体の都市再生機構が中心となる」と反論する。

 市ミュージックタウン推進プロジェクトの照屋幹夫主幹は「音市場への来場者を周辺の店に誘導する仕掛けをつくる。いわゆるシャワー効果」と、既存のライブハウスなどとの相乗効果を強調した。

ハコありき

 「音楽施設を造っただけで満足していては発展性がない。アーティストの権利関係を含め利益を生んで、初めて音楽によるまちづくりの突破口が開ける」。中の町出身で構想づくりにも携わった芸人の藤木勇人さん(45)は、こう力説する。「ハコを造り、人を集めれば成功という考えは、とても安易。音楽業界はそう甘くはない」

 沖縄市内で二十年間、ライブハウスを経営し昨年、北谷町に移転した喜屋武尚さん(46)は「僕の理想の音楽の街は、土地柄に音楽がにじみ出ていること。ハコありきではなく、市民一人一人が生活の中に音楽を取り入れることから始め、積み重ねの中でミュージックタウンが有効に使われることを願う」と語った。(「脱基地」取材班・崎浜秀也、磯野直)

[ことば]

 音市場 島田懇談会事業の振興プロジェクトとして整備される多目的スペース(ホール)、音楽スタジオ、音楽広場等からなる。ホールは1100人収容。貸しスタジオは原則として1年中、24時間使用が可能で「アーティストの立場に立った運営を行う」予定。
(2006/04/25)
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■岡本さん、ずいぶんゴリッパですこと(笑)。■そこまで、沖縄に強気にでられる根拠は?
■安保体制の経緯、というか理不尽さを充分自覚していながら、「あまやすな」論をおしとおせる、タマは、すごいというほかない。■もちろん、中央から助成金をひきださないと活性化できないと、おもいこまれされている、そして、中央からの注文・指導を、すなおにききいれてしまっている、じもとの政治家の 「かいならされ」ぶりも深刻だけど。



* 現在の沖縄市長は、東門美津子〔とーもん みつこ〕
ちなみに、「東門」って苗字は、もともとは「あがりじょー」って発音されていたようだ。■しかし、さすがに現在のご本人のなのりを無視して「本来の発音」をもちだしてしまうのは、問題。

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