■別処珠樹さんの『世界の環境ホット!ニュース』のバックナンバーから転載【リンクは、ハラナによる追加】。■シリーズ第19回。■いつもどおり、ハラナがかってにリンクをおぎなっている。

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世界の環境ホットニュース[GEN] 604号 05年09月03日
発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
枯葉剤機密カルテル(第19回)     
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枯葉剤機密カルテル          原田 和明

第19回 日本でも枯葉剤散布

林野庁国有林で米軍同様に枯葉剤 245Tを散布していたことが発覚したのは1970年5月です。北海道大学医学部の調査で 明らかになり、「北海タイムス」がとりあげました。(1970.5.28 全林野新聞)国有林で245Tが使用されたのは1967年から1970年にかけて(1984.5.18 衆院環境委員会)で、粒剤で4494トン、乳剤で109キロリットル、有効成分量(245Tそのもの)にして 91トン(工場出荷量96トン?廃棄またはメーカー返却5トン)(1984.7.17衆院環境委員会)が散布されました。枯葉剤の もう一方の成分 24Dも青森、秋田、岩手、山形の2620 ヘクタールの山林に370トンが散布され、本来害を及ぼしてはいけないはずの杉にまで被害がでました。(1970.7.10衆院農林水産委員会)
1970年には青森県下北半島に生息する北限のニホンザルが南下を始めていることが確認され、奇形児も発見されました。その後モンキーセンターの調査で、ベトナムで問題となっていた枯葉剤を林野庁が生息域周辺で散布していたことが判明、南下の原因は枯葉剤で餌を失ったためと推定されました。

秋田県玉川村では天然記念物 カモシカの生息地に除草剤を散布、3日後に口から泡をふいているカモシカが発見され、死亡が確認されると、その内臓は営林局が持ち去り、死因は不明のままです。「森林(ヤマ)は死に人は滅びつつある」が全林野の除草剤散布現地調査団の感想でした。(1971.6.24全林野新聞)

四国ではニホンカワウソの生息を示す足跡、食べ残しのエサ、巣などの発見報告(いわゆるカワウソ情報)が絶えたのも、245Tが大量に散布されていた1970年前後(1984.5.21 朝日新聞)でしたし、この頃各地で先天的奇形猿が話題になりました。

林野庁は散布予定箇所以外に除草剤が拡散することは絶対ないと主張、枯葉剤散布が下北半島のニホンザル南下の原因とするモンキーセンターの調査結果を否定していましたが、全林野調査団の現地調査で散布予定地の笹は完全に枯れ、予定地外の沢沿いの笹も広く枯れているのが確認されています。(1971.6.17 全林野新聞)

弘前大学教育学部教授・石川茂雄は、「枯葉剤をまくと、下北半島で日本の北限である、たいへん貴重な植物が死んでしまう。さらにサルのえさがなくなってしまう。枯葉作戦に 使用した薬を 散布するのだったら、事前に相談して欲しかった。」と語っています。(1970.7.10衆院農林水産委員会)

宮城県の花山村では心配した村長が営林署を訪ね、「慎重を期してやってください」と要請して、営林署職員は慎重を期しますといっていたのに、村長がうちに帰ったらもう散布されていたという事件もありました。

これらの営林署を管轄する青森営林局の安江営林局長は記者会見で「野生動物の保護も水の汚染もこれから調査する。」と語りました。これでは、林野庁は調査も実験もしないで枯葉剤を使用したのではないかと疑われても仕方ありません。

ところが、林野庁長官・松本守雄は「塩素酸ソーダは食塩よりも毒性が小さい。枯葉剤は劇物に指定されていないから危険はまったくない。」と答え、動物への影響についても「魚毒性は極めて少ない。牛、羊、鶏には影響はないというデータがでている。サルでは実験していない。鳥類での実験はあるが省略する。」と、営林局長が「これから」と答えた動物実験は既に「良好な」結果がでていることを強調、枯葉剤散布をやめる考えのないことを表明
しました。(1970.7.10 衆院農林水産委員会)

しかし、その後農林省林業試験場の「除草剤の鳥類の生殖機能に及ぼす影響」を確認する実験で、245Tの場合は卵の変化どころか親鳥(ウズラ)が48羽中45羽も死ぬという結果がでて、試験場内部でも「245Tは絶対使うべきではない」との声がでていました。実験結果は 71年2月の農林省の技術会議で報告されたものの、農林省は公表せず、情報を掴んだ日本野鳥の会が同試験場に問い合わせたところ、実験 担当者が「外部に 出すのは 好ましくない、と 上司に言われている。」と回答を拒否したのです。(1971.3.26朝日新聞夕刊)

この問題は早速国会で取上げられ、林野庁長官・松本守雄は、外部へ発表する段階ではないと判断していた、隠していた訳ではないと釈明。この夏の使用を中止することを表明しました。日本野鳥の会事務局では「永久に使用しないとは言っていないことが問題だ。」とのコメントをだしています。(1971.3.27朝日新聞)

林野庁長官は下北半島への245T散布を批判されて、「ウズラの実験は11月に行なった(だから、毒性は知らなかった)。」と答弁しています(1971.4.14衆院 産業公害対策特別委員会)これは明らかに7月の「鳥類での実験はあるが省略する。」との答弁と矛盾しています。林野庁は国会で追及されてから後追い実験するというのが日本版枯葉作戦のひとつの特徴です。

古寺宏(公明党)は

「245Tの中のダイオキシンは、サリドマイドの百倍の催奇性があるというふうにいわれておるわけですね。そういうことを知っていながら、しかもこういうウズラの実験なんかは、何も薬を散布してしまったあとで実験しなくても、幾らでも林業試験場で実験できたんじゃないか、私はこう思うのです。そういうようないろいろないままでの経過を見ますと、この245Tを散布するためにいろいろ国民を、あるいは住民を、はっきり言うならだまして散布してきた、こういうふうにしか受け取れないわけです。」(1971.4.14 衆院産業公害対策特別委員会)

と日本版枯葉作戦の目的が「とにかく散布すること」にあったと指摘しています。

結局、米軍がベトナムでの枯葉作戦を4月に中止 (1970.12.28 朝日新聞)すると、日本版枯葉作戦での245T使用もその夏だけでなく中止されました。林野庁は散布をやめ、在庫の245Tを国有林に埋めて捨てることにしたのです。

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■要は、一応生態系に適用してみて、批判されたら疫学的調査をおこなう。というくりかえしなのだ。■『沈黙の春』の世界を率先しておこうな国家体制。準植民地として、外国軍の後方支援のためには住民の危険もかえりみない残酷さ。それは、沖縄戦で非戦闘員を搾取しつづけ、最後には「あしでまとい」とみごろしにしてはじなかった日本軍の本質と同様な邪悪さがみてとれる。■国家答弁で、ヘリクツ・いいのがれをくりかえす官僚どもの、品性下劣なこと。
原発にしろ、さまざまなリスクに対する説明責任を、監督官庁が充分にしたことがあっただろうか?■要は、業界かアメリカの意向をうけて国民をダマすのが、「官僚の職務」なんじゃないか?