■別処珠樹さんの『世界の環境ホット!ニュース』のバックナンバーから転載【リンクは、ハラナによる追加】。■シリーズ第21回。■いつもどおり、ハラナがかってにリンクをおぎなっている。

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世界の環境ホットニュース[GEN] 606号 05年09月10日
発行:別処珠樹【転載歓迎】意見・投稿 → ende23@msn.com     
枯葉剤機密カルテル(第21回)     
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枯葉剤機密カルテル           原田 和明

第21回 人体実験

1973年1月27日に、米国、南ベトナム、北ベトナムおよび南ベトナム臨時革命政府(解放戦線)が和平協定に調印して、米軍のベトナムからの撤退が確定しました。その直後、三井東圧化学は 従業員に対して 本人の同意を得ないままPCP(ペンタクロロフェノール)、PCPソーダ、それに枯葉剤原料245TCPを体に塗って「人体実験」を行なっていました。米軍がベトナムから撤退を完了した1973年3月27日、朝日新聞は、三井東圧化学 大牟田工業所(現・三井化学、福岡県大牟田市)で枯葉剤関連物質の人体実験が行なわれたと報道しました。記事は以下の通りです。

三井東圧化学 農薬で人体実験 説明せず影響調査
背中に溶液ぬる 労組抗議 会社、受診者に謝罪文
1973年2月16日から3日間、三井東圧化学大牟田工業所は、熊本大学医学部教授・野村茂に委託して枯葉剤245Tやその原料245TCPの製造に関わっていた労働者(約100名)のうち労災患者30名と健常者10名の計40名に対し、いずれも無断で、すでに製造を中止している水田除草剤PCP、PCPソーダ、枯葉剤原料245TCP(トリクロロフェノール)の溶液(各1、2、3%)をしみ込ませたガーゼ(人差し指大)を背中に合計9箇所貼り、そのかぶれぐあいを見てその有毒性の程度を検査していたことが労組の調査でわかった。組合側は「ていのよい人体実験ではないか」と抗議、会社側も溶液の無害は主張しながらも検査内容について事前に説明しなかったことについて「配慮が足りなかった」と受診者全員に謝罪文を送った。

また、この検査と同時に心電図、血液検査、肝機能検査などをし、さらに1週間から10日後に 各人の尿検査も 行なわれた。この結果、当該労働者にその後かぶれなどができたため、調べてみると毒性の溶液が塗られていたことがわかった。同所で働くAさん(26)も検査を受けた一人。Aさんは 1968年 11月に245TCPの中毒患者と認定され、今でも顔や尻などの吹き出物の切開手術を続けている。「事前に検査内容について何も知らされていなかったので気軽に受けた。その後毒物の溶液を塗られたと知ってびっくりした。モルモット扱いされたのではないか」という。

この点について野村は「今度の検査は有機塩素化合物の皮膚に対する影響を調べるものだ。薬品の量も1-2 滴で、医学的にも安全性を確認されたテストだ。人体実験といわれるのはまったく心外だ。」と言っている。同所の栗野隆事務部長も「中毒患者に対する効果的な治療方法を開拓するため、野村に依頼した。ただ検査については事前に各人の了解を得るべきだったと反省している。」と言っている。

この種の検査は 70年9月に一度行なわれたが、そのときは直接溶液を体に貼るなどの検査はなかった。なお、PCPなどは毒性が強く、過去に中毒患者が多くでたため、三井東圧化学大牟田工業所では245TCPは70年、PCPは71年に製造を中止している。


毎日新聞は 翌日3月28日に監督官庁と当事者のコメントを報じています。

組合側は「本人に何も知らせずにこのようなテストをするのは人体実験と思われても仕方がない。」と 会社のやり方を非難。会社側も このほど行なわれた団交の席で「検査は熊本大学に一任していたので具体的な内容までは知らなかった。」と答え、受診者全員に「検査の目的はあくまで各人の健康状態を知るための反応テストであり、人体実験ではない。ただ組合員の了承なしに反応テストを行なったのは申し訳なかった。」という趣旨の陳謝状を郵送している。

久保山正信・大牟田労働基準監督署第二課長の話:「特定化学物質等障害予防規則により、反応テストは認められている。健康状態の追跡調査ならばむしろ勧めるべきだ。その場合は当然、検診対象者の納得と十分な理解の下に行なわれるべきで、それがなされなかったところに問題がある。」

野村茂・熊本大学医学部教授の話:「特殊検診の方法としては一般化されたもので人体実験とは心外だ。特定化学物質等障害予防規則によると、医師が必要と認めた場合はパッチテスト(皮膚の反応テスト)をしてもよいと認められている。」

この不可解な「人体実験」は何のために行なわれたのでしょうか?

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731部隊などの人体実験と質的断絶があることは、みとめる。■しかし、被験者に調査内容をかくしていたことは事実。むしろ、いえなかったから、いわなかったのでは?
■被験者に「充分な説明と同意」を確保しない以上、人体実験なのに、「特殊検診の方法としては一般化されたもので人体実験とは心外だ。特定化学物質等障害予防規則によると、医師が必要と認めた場合はパッチテスト(皮膚の反応テスト)をしてもよいと認められている」とひらきなおる医学者の感覚がそらおそろしい。