ワタリさんのコメントをうけての、一連の文章の補足。

■くりかえしになるが、今回のスキャンダルは徹頭徹尾ナンセンスである。■偽善的なオトナが、おためごかしに、生徒の負担軽減をいいたて、所詮は入学実績をあげて、より評価のたかい受験校の校長に転身とか、教育委員会いりといった野望の次元に属する、実に俗っぽい構図の露呈でしかない。■東アジア諸地域への、アリバイ的国際理解とやらで、必然性をまともに作文できるともおもえない官僚たちが、世界理解のためには世界史と地理あたりをまなばせないと、といった、実にあさはかな「配慮」で必修化したにすぎない。■世界史が、どんなに学問的かつ教育学的に破綻した科目であることは、その時空のひろがりだけとりあげて一目瞭然であることは、これまで何度ものべたので、くりかえさない。■能天気に東アジア旅行(バックパック・ツアー)にでもでないかぎりは、世界史やら地理やらをまなばねならない必然性は、日本列島住民にはない。商社づとめであろうが、輸入業者であろうが、世界各地の地歴的見識なんぞを、ひろくあさくそなえている必要性なんて幻想だ。■世界帝国アメリカの国民の大半が、日本のおおまかな位置とかしらずに、世界中をあいてにできていることで、よくわかるはず(笑)。
■この期におよんで、「わかものをあやまかすといかん」とか、「ひろくあさくでも、一度ふれるかどうかは、おおきなちがい」とか、もっともらしい議論をたれるエリートおじさんとかは、日本やアメリカの一般大衆の世界史・世界地理についての見識の水準に無知な放言を発しているのだという自覚をもとう(笑)。
■もちろん、規則遵守とかいいたてる、安倍首相とか石原都知事とかは、実際に実行されるかどうかはともかく、関係高校の校長を引責辞任へとおいこむような発言をすべきだろう。■日の丸・君が代に、あれだけ法令順守とかわめいて処分を敢行したんだから、アンバランスはいかんよ〔「社会教養の偽装事件?2ちゃんねるではどういってるの?」〕。タカ派は、シャンとしないとね。ガチンコでたたかうフリっていう美学しか、うりがないんだからさ(笑)。

■では、ながい、まえふりのあとで、ワタリさんのコメントへのお返事。

これまで、トップクラスの進学校を中心に受験科目中心の授業をして、他の科目は適当に履修したことにしておくことなんて、当然じゃなかったんですか?
それは現場の(現実的かつ気のきいた)裁量だったり、教育的配慮だったりしたんじゃないんでしょうか?

↑ ■ハラナは、なにをかくそう、四半世紀まえだけど、いなかの「トップクラスの進学校」の生徒だった(笑)。■だけど、こういった「裁量」だの「配慮」だのは、なかったとおもう。■体育が男女別になっていて、男子の方だけ剣道・柔道があって、その時間女子は家庭科をやらされていた。期末テストでは、女子だけ家庭科の試験があって、ブーブーいっていた。あたりまえだわな。■要は、性差別バリバリのカリキュラムだったが、「ぬけあな」とかは、なかったはず。

世界史という必須科目に合理性などなく、ただガマンづよさや上への従順さ、それに国家が「想像の共同体」であることを見えなくさせる盲目効果くらいしかないんじゃ?
↑ ■ちょっと高級すぎるか?(笑) ■これ、ギャラリーの過半数は、ついていけないはず。なので、少々コメンタール(注解)を。■?「世界史という必須科目に合理性など」ないというのは、科目の誇大妄想性、目的論的配列、ごつごう主義的取捨選択あたりか(これでも、とばしすぎ)。■?「ただガマンづよさや上への従順さ」をつちかうという、「かくれたカリキュラム」は、世界史だけにかぎらないが、クソ暗記という点では、地理あたりと、通底する(笑)。■?「国家が「想像の共同体」であることを見えなくさせる」効果ってのも、高級すぎるか? 現状の国境線内部の一体感なんてのは想像の産物にすぎず、歴史的偶然の結果でしかないって事実が、各国史の目的論的集積って様相で、ごまかされるってことね。■ま、ハラナは再三、「北方領土問題」とか、「竹島」問題のナンセンスさをとなえてきたが、そういった次元にとどまらない、国家のわくぐみの本質についてね。■たとえば、ドイツ語圏が、スイスやオーストリアなど、いくつもの国境でくぎられているのが当然とかいう次元でね。

旧大検のときには、日本史は暗記する項目の少ない攻略しやすい科目、政経は短期間でしあげられる科目、世界史は覚えることがいっぱいあってめんどうくさい科目というのが受験生の一般的イメージでした。
↑ ■ハラナの時代には、大検はマイナーだったので、しらなかったが、戦前の「専門学校入学者検定(略称 専検)」とかが前身で1951年からの制度なんだってね。■ま、世界史は、問題を簡単にするもの、かなりタイヘンな気がする。

自分の記憶では、近代史中心すぎて、中世や古代のことがほとんど取り上げてなかったような気がします。
↑ ■これって、大検が、事実上「世界史A」だったってことかね?

というか、自分は学校の勉強放り出して、十代半ばごろからアリエスとか網野善彦とか読んでいたから、日本史も世界史もただの暗記作業強制労働としか思っていなかったけれど。どうせあんなことしたって古文書ひとつ読めるようになるわけでなし。
↑ ■ワタリさん、ちょっと、ひとがわるいよ。■なんで、学校歴史かじっただけで、文献学の初歩にたどりつけるわけ?■古文にしろ、日本史にしろ、アナログ・データにはさわらせないって、暗黙の前提があるでしょ?■活字化された文語文がよめれば、御の字なんだって(笑)。■ただ、資料批判のまねごとさせるわけではなし、ひたすら断片的な固有名詞をクソ暗記させるって、野蛮な科目であったことは事実。ある程度以上おぼえないと、はなしにならない。■でもって、資料をよませて、歴史的考察をさせるなんて高級な出題は東大の二次試験とか、そのくらいでしかないわけだ。
■ま、いずれにせよ、東大にすすまれたらしいどこぞのお嬢様などは別にして、大学受験のおとしごろあたりに、網野さんとかアリエス御大とかよんじゃいけません。入試にジャマなだけじゃん(笑)。


■さて、受験に不要な必修科目をきまじめにやった生徒たちは、「被害者」かどうかという問題。■いや、「被害者」づらするのは、みぐるしいとはおもいますよ。ホンネ/タテマエの分離というか、ヤクリクって理屈もわからないではない。■しかし、18歳で受験する大半の生徒にとって、必修科目うんぬんは、それこそ「残り時間」のなかでの、ヤリクリ競争という、制限時間ゲームなんですよ。入試本番だけではなくて、受験準備自体が「制限時間ゲーム」と。■したがって、やっぱり、こずるくたちまわる生徒・学校とくらべて、きまじめ派は、かなり不利なんですよ。それは事実。だから、ちいさい問題ていえば、それまでだけど、受験ゲームに参戦するプレイヤーとして、ユトリなんて全然ない無力な受験生のばあい、「こずるくたちまわる生徒・学校」が、うらめしくみえるのは、しかたがない。■というか、まえだおしで、どんどん受験科目をすすめてしまっている、中高6年制の私立あたりの、こずるさは、到底容認できないわけ。いや、そりゃ早熟な生徒たちが勉強をさきにすすめられるという現実はあるんだろうけど、学校全体が予備校化している私学は、必修科目の偽装うんぬん以前の「反則」を制度化したシステムなわけだ。
■こうかんがえると、かねもちだけが選択肢をもつ、都市部の私学の存在は、今回のスキャンダルなんぞ、けしとぶぐらい、こずるい世界(笑)。自分達だけ、東大や慶応とかに、すんなり「指定席」を確保して、うまいことやろうって姿勢だからね。■もっとも、東京におそだちの有力議員のおぼっちゃんがたは、そういった選択肢をあたえられながら、えらべず、それでもコケないという、実に特権的なルートをおもちらしい(笑)。

■ま、そのうち、大検だけで東大にいくとか、東大さえもバカにして、欧米の名門校進学の準備をすすめるといった、エリートの別ルートができるかもしれない。■そうなると、必修うんぬんとか、そういったクダランことが全部ふっとぶってことにもなりかねない。
■いずれにせよ、教育の自由化は、エリートたちのあいだでは、戦前からずーっと既成事実になっているのであって、今回「補習でタイヘン」とかいっている受験生は、日本のエリートでさえないんだな。■そして、この格差がちぢまることは、まずありえない。

■受験生諸君。とりわけ、受験校出身の「勝ち組」の諸君にいう。■諸君らの勝利は、能力×努力の産物っていうイメージは幻想だ。保護者の経済力・学歴×居住地×運×(能力×努力)って感じだな。諸君らは自分たちの勝利を当然視してはいけない。■いや、「保護者の経済力・学歴×居住地×運」っていう要因をふまえて「当然視」するなら、よろしい。その「当然」っていうのは、すわれて当然という、諸君らの「能力×努力」の無関係さの証明だって意味だから、くれぐれも誤解しないように。■きみらからすれば、地方の公立校の必修のがれウンヌンが、ユトリのないあわれな次元にみえるだろうが、そういった感覚自体が、ふざけた特権だということを、わきまえておくように。くれぐれも、自分たちは家柄はもちろん、能力もぬきんでいているから、当然しかるべき地位をえたなんて、誤解をしないように。

■今回の不祥事の「犠牲者」となげいるときみたちに。■「公立校で教師はえらべない」などとなげくなかれ。■うまれいづる国家や家庭もえらべない。きみらよりも、ずっとずっと理不尽な理由で、高校にさえ進学できない層がある。親類に大卒なんてひとりもいない、って層もある。■必修科目履修を操作してズルしたい、って教師にかんがえさせる、きみらの学校は、あきらかに「めぐまれている」。「高校なんてとんでもない」って水準にいきる世界の膨大な人口はもちろんのこと、大学受験なんぞと無縁な層とくらべても、その特権性はかなりのもの。■だからといって、きみたちの大半がエリート予備軍でさえないことも事実なんだが。■要は、受験シーズンのオヤコのうごきは、それこそ千差万別。ピンキリってことだ。