■読売の先日の記事から。

赤ちゃんの虫歯予防!妊婦、出産後もガム
キシリトール効果あり
 妊娠中から出産後にかけて、虫歯菌(ミュータンス菌)や歯垢(しこう)を減らす作用がある天然甘味料「キシリトール」を摂取すると、産まれてくる子どもの虫歯菌感染が抑えられることを、岡山大大学院の仲井雪絵助手(歯科医師)らが突き止めた。

 虫歯菌の感染が遅いほど、虫歯になりにくくなるとされており、母親の心がけが、子どもの虫歯予防につながることを実証した研究成果として注目される。
 虫歯は、虫歯菌が砂糖などを分解する際にできる酸が歯を溶かすために起こるが、キシリトールを摂取すると、酸が生成されないうえ、虫歯菌を、歯からはがれやすい善玉菌に置きかえる作用が確認されている。

 仲井助手らは、虫歯菌が多い妊婦84人を2群に分け、一方には、食後など1日4回以上キシリトール入りガムを5分間かんでもらった。もう一方は、キシリトールを全く摂取しなかった。これを妊娠6か月目から出産後9か月目にかけて続けたうえで、子どもが1歳半になるまで、3か月ごとに口腔(こうくう)内の虫歯菌の量を追跡した。

 その結果、母親がガムをかまなかった非摂取群では、子どもが1歳、1歳半の時に虫歯菌に感染した割合は76・9%、91・7%。これに対し、摂取群は、それぞれ15%、42・9%と感染率は半分以下に抑えられた。

 虫歯菌感染の原因の大半は、虫歯の親が食べ物をかんで子どもに与えたり、親子のはしやスプーンの共有だとされるだけに、仲井助手は「出産前後の母親の口腔状態を改善することが、子どもの虫歯を予防する一つの手段になる」と話している。

(2006年11月16日 読売新聞)

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キシリトールいりのガムは、ハラナも愛用している。■出張時はともかく、自宅にはケースにたくさんはいったのを、かいおきしてある。もともと、虫歯になりづらい体質ではあるんだがね(笑)。

■さて、「Wikipedia キシリトール」によれば、

キシリトールは口腔内の細菌による酸の産生がほとんどないことから非う蝕性甘味料として知られる。の再石灰化を進め、う蝕を防ぐとして、キシリトールが含まれたガムなどが市販されているが、現在の所キシリトールの再石灰化促進作用は証明されておらず、また、疑問視されている。現状では非う蝕性であるが抗う蝕性であるとは言い切れない(ガムをかむことにより通常より多く出る唾液による歯の再石灰化効果については別問題である)。

とある。■つまりだね、大学の助手さんの研究は、唾液分泌による「歯の再石灰化効果」がもたらした結果であって、キシリトールの効果だったっていう解釈は、擬似相関の可能性がある。■もし、対照実験をしたいのなら、にたような母集団をつかって、キシリトール以外のガム(糖分がはいってないもの)で追試するほかないだろう。■できれば、ほかの研究者による追試ね(笑)。

■これら健康食品関連の情報は、しばしば、ひとつの研究が学会報告されただけで、ほかだれも追試をしていないものが、テレビなどちまたにながれて、流行してしまったりすることは、再三指摘されてきた。■なにか、ガムをつくっている、菓子メーカーあたりのキャンペーンの一環になっていないか、うたがいがもたげてくるぞ(笑)。■食育運動とならんで、こういった方向性には、警戒がとけない。

■こういった研究がムダとはいわんが、「虫歯の親が食べ物をかんで子どもに与えたり、親子のはしやスプーンの共有」をやめようと、指導したほうがいいんじゃないか?■それなら、以前もいわれていたはず。