■『読売新聞』の記事から。

医療費の支払い、低所得層の8割が「不安」
 医療費を払えない不安のある人が、低所得層では8割に上っていることが、NPO法人「日本医療政策機構」の調査でわかった。

 調査は今年1月、全国の20歳以上の男女4000人を対象に行い、1318人から回答があった。

 年間世帯収入800万円以上で金融資産2000万円以上の人を「高所得・高資産層」、収入300万円未満で資産300万円未満の人を「低所得・低資産層」、その他の人を「中間層」と位置づけ、経済状態による意識の違いを調べた。

 それによると、深刻な病気にかかった時、医療費を払えない不安のある人は、高所得層で36%だったのに対し、低所得層は84%。低所得層の人で過去1年以内に、「具合が悪いのに医療機関に行かなかったことがある」という人は40%、「医師に勧められた検査や治療を受けなかったことがある」という人も26%いた。

 また、現在の医療制度の平等性について聞いたところ、不満と答えた人が高所得層で41%だったのに対し、低所得層では72%に上った。


(2007年2月15日22時12分 読売新聞)
■?「日本医療政策機構」って組織の実態がなんなのか、しらない。しかし、いかにも 厚生労働省の いきがかかった かたちだけNPOって印象がぬぐえない。■で、まぁ それはおくとしてだ、4000名対象で1318人(33%弱)の回答は、まったく代表性がないといってよかろう。■回収率がたかすぎるのも あやしげだが、ひくすぎれば 回収されなかった層の意見が むしろ多数派かもしれないという、標本抽出の本質の致命的違反となる。■いや、第一、この4000人の対象者は、どうやってえらばれたんだ? 無作為抽出とか、しているのか?
■?かりに 無回答層が なんらかのかたよりをもってハズれたのではなく、偶然にモレただけで、サンプルの1300人強が、成人の総人口約1億人を代表している〔8万分の1〕としよう
〔ま、アクロバティックというほかないぐらい、ムリがあるが〕。■しかし、「高所得・高資産層」に「深刻な病気にかかった時、医療費を払えない不安のある人」がすくなく、「低所得・低資産層」におおいことぐらい、しらべなくたって、わかりきったことだろう。■なんで、そんな あたりまえのことをしらべたのか?
■?もちろん、「年間世帯収入800万円以上で金融資産2000万円以上」の「高所得・高資産層」でさえも、「深刻な病気にかかった時、医療費を払えない不安のある人」が36%にものぼることは、ビックリさせられる。■逆に、「収入300万円未満で資産300万円未満」の「低所得・低資産層」でも16%ものひとびとが、不安がないとしていることにも、おどろかされる。■そういった「意外性」を、ひょっとしたらといったアカデミックな感覚で調査したかったというのならまだしも、政策上意味があるんだろうか?

■?しかし、調査結果というか、調査デザインからして、不可解きわまりないのは、「現在の医療制度の平等性について聞いたところ、不満と答えた人が高所得層で41%だったのに対し、低所得層では72%に上った」って箇所。■高所得者層は、なにに不満をおぼえているわけ? すなおによんだばあい、「貧乏人のために自分たちの納税分がつかわれていて、自分たちが重病になったときに不充分にしか還元されないのではと、不満」ってことか? だったら、不満の内容が正反対ってことだろ? カネもちは「とられている」と不満をもち、貧乏なばあい「みごろにされる」って不満をもつと。■調査者たちは、なにをききたかった(くらべたかった)んだ? そして、これを報じた記者と編集部は、なにをつたえたかったの? 不可解きわなりないぞ。

●「日本医療政策機構」代表理事さんの「略歴
●同、関係者へのインタビュー記事