■先月かいた「東京マラソンで都心「大封鎖」 2月18日、銀座6時間(朝日)」の続編。■まずは、きょうの『朝日新聞』の社説から。 

東京マラソン 市民の新しいお祭りに
東京マラソンのコース
 3万人の市民ランナーが、競技者と一緒に早春の都心を駆け抜ける。初めての「東京マラソン」が行われた。

 コースは新宿、銀座、浅草など、首都の名所を結び、国際認定を受けている。いつもはクルマに占拠されている目抜き通りが、この日はランナーや応援する市民の天国になった。

 世界陸上の選考会を兼ねる大会で一流選手とともに走ることは、市民ランナーにとって、このうえない喜びだろう。

 参加者は、健脚自慢の市民だけではなかった。車いすの人、目の不自由な人、臓器移植を受けた人たちもいた。

 参加者の荷物を預かったり、コースの途中で飲料水を配ったり、さまざまな場面で運営を支えたのは、1万人を超えるボランティアである。

 沿道では、大学や高校の応援団が声援合戦をし、大道芸や屋台も登場した。

 さまざまな人が互いに助け合い、共に生きる。そんな願いが込められた首都の新しいお祭りが誕生したようだ。
 大都市の中心部を、競技者と大勢の市民が一緒に走るマラソン大会は、今や世界の流れになっている。100年以上の歴史を持つボストンだけでなく、ロンドン、ベルリン、ニューヨーク、シカゴ、北京などでも開かれている。

 とりわけニューヨークシティー・マラソンは、ボランティアが中心となった運営の見事さと、経済効果の大きさで、お手本と言われている。

 東京でもニューヨークのようなマラソン大会をやれないか。市民団体や研究者と東京都がシンポジウムを開き、構想を語り合ったのは7年前である。市民団体は都心の歩道を走るコースをつくり、マラソン行事を重ねてきた。

 そうした努力が、大きなうねりとなって実現した大会である。出場の応募者が参加枠の3倍を超える9万5千人にのぼったことからも、熱望していた市民がいかに多いかがわかる。

 そのニューヨークのマラソンも、1回目の百数十人から、次第に参加者を増やしてきた。世界でも有数の過密都市である東京で、いきなり3万人が走るとなると、交通や安全確保など都市機能への影響は計り知れない。

 警察はコース周辺の幹線道路を最長7時間近く封鎖し、前例のない交通規制を敷いた。消防署は火災時の出動で協力し合い、救急車も分散待機させた。

 あいにく冷たい雨が降ったけれど、大きな事故やトラブルがなかったのは幸いだ。事前のPRが行き渡り、運転者や街の人びとの協力が得られたからだろう。日本で初の大都市型市民マラソンは、まずは成功したと言ってよい。

 日本陸上競技連盟の沢木啓祐強化委員長は「競技者と市民、街とスポーツが共存共栄することが大事だ」と語った。

 すそ野が広がれば、頂点も高くなる。競技としてのマラソンを強くするためにも、東京マラソンを根付かせて、他の都市にも広げてもらいたい。

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■なんという、てばなしの賞賛。こんな ちょうちん記事を社説でかくとは、おもわなかったぞ。■石原都政や「私物化」問題・失言問題をきびしくとうてきたので、「バランス」でもとろうってか?
■「バランス」とるっていう点では、2面におおきくさかれた「時時刻刻」をよくよむと、「てばなし」ではすまないことが、すけてみえる(笑)。




東京マラソン、世界級へ助走 首都厳戒、大混乱なし
2007年02月18日23時55分(asahi.com)
ランナーが預けた荷物の返却がスムーズにいかず混乱した
=18日午後、東京ビッグサイトで

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 都心を市民ランナーら約3万人が駆け抜けた18日の第1回「東京マラソン」。国内最大規模の大会は、都心の主要道を最長で7時間近く通行止めにする前例のないものだった。警視庁や東京消防庁が約7000人を動員する厳戒態勢だったが、心配された「都心のマヒ」は起きなかった。事前PRに加え、スタート時が雨で気温も冷え込み、沿道の人出が少なかったことも幸いしたようだ。



東京マラソンのコース
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 東京マラソンは、スタート地点とゴール地点が違う。10キロレースを含めて3万人ものランナーの衣類などの荷物を、スタートでどう回収し、ゴールで手渡すか。主催者側は頭を悩ませた。

 東京都は参加者全員にビニール製のバッグを事前に配布。スタートの都庁前(新宿区)で集めた全員のバッグを、11トントラック約40台でゴールに運び、各ランナーに手渡す方法を選んだ。

 荷物の運搬そのものはうまくいった。しかし、フルマラソンのゴール、東京ビッグサイト(江東区)では、市民ランナーの到着が集中した午後1時前後に一時、荷物の引き渡しが混乱した。

 「1時間かかっても自分の荷物が出てこない。この姿のままでは寒いし、帰れない」。短パン姿の男性が、ボランティアのスタッフに詰め寄った

■トイレ不足

 誤算はもう一つあった。出走直前の都庁前は大雨、気温5度。都は600基の仮設トイレを用意したが、「ニーズ」は予想を超えた。

 午前8時50分、出走前のセレモニーが始まっても、仮設トイレの前は長い列ができたまま。待ちきれずに列を離れ、植え込みに向けて用を足す男性ランナーも
いた。

 コース上でも、問題はトイレ。ある男性ランナーは、ゴールまでに3回ほどトイレに寄ったが、いずれも5?10分待ちだったという。都内の会社員男性(38)は「浅草ではトイレを貸してくれる民家もあった。下町の人の温かさを感じた」。

 石原慎太郎都知事は、来年以降の課題として「冷え込みすぎたこともあって、トイレのニーズがいつもよりもあった」と、沿道の仮設トイレ不足を挙げた。そして、「もうちょっといい季節に開催したい。世界の市民マラソンのスケジュールが立て込んでいて難しいが、多角的に努力していきたい」と、開催時期の見直しにも触れた

 東京消防庁によると、体調不良や足のけがなどで救急搬送されたのは、24?72歳のランナー15人とボランティアの女性(15)1人。このうち59歳の男性が意識不明の重体になっている。

■PRが奏功

 全体的には混乱は少なかった。5000人体制で警備や交通整理に臨んだ警視庁の幹部らは「大きなトラブルもなく、無事に終わってよかった」。

 心配された幹線道路の「封鎖」による交通渋滞は、ほとんどなし。車の交通量が少なかったためだ。雨の影響や事前のPR効果もあり、沿道の混雑も予想を下回った。

 商学部の入試とマラソンがかち合った慶応義塾大学三田キャンパス。誘導スタッフを例年の1・5倍に増やした。受験生の側も「テレビでマラソンがあると知り、予定より30分早く出た」(埼玉県の男子)。広報室によると、マラソンの影響による遅刻はなかった


 通行止めが6時間弱に及び、最も混雑が予想された銀座4丁目交差点。2階に喫茶室のある「銀座木村家」は、テーブル配置を観戦しやすく工夫し、開店を1時間早めて午前9時に。あっという間に満席になった。一方で、ブティックなどは閑散。明暗を分けた。

 マラソンコースが三方を囲む「孤島」ができた浅草。「光寿し」は仕入れを通常より3割減らしたが、「客足はそれより鈍かった。もう少し宣伝してくれるとよかった」。だが、「長い目で見れば浅草のため。年に1日くらい商売にならない日があってもいい」と語る店主もいた。

 店の前がコースになった人形店・久月浅草橋本店は、例年の半分くらいの客足に。車で来店できないと人形を持ち帰れないことが響いた。「桃の節句前は一年で最も大事な時期。この週末でなければ歓迎なのに」。坂尻重光総務部長は話した。

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●「NYに見劣りせぬ」専門家ら次々称賛

 かつての名選手や専門家の目にも、第1回はまずまずの成功と映ったようだ。メキシコ五輪から3大会連続の五輪マラソン代表で、日本スポーツボランティア・アソシエーション理事長の宇佐美彰朗さん(63)は、ボランティアを指導するリーダー約200人を育成してきた。7年前から都心での市民マラソン実現も呼びかけてきた宇佐美さんは、コースを歩いて見て回り、「皆、しっかりやっていた。道路が開放され、ようやく始まった」と話した。

 女子マラソンが始まったころから活躍する松田千枝さん(58)は家族で走った。「思ったより沿道の声援が少なく、太鼓などの応援が遠慮気味」という感想。海外マラソン並みのお祭りムードを今後に期待した。

 世界では、ボストン、ロンドン、ベルリン、シカゴ、ニューヨークシティーが「5大マラソン」と呼ばれる。一番歴史の浅いロンドンでも25回以上を重ね、徐々に規模を拡大してきたが、東京都と日本陸連は、いきなりそれに匹敵する規模の大会運営に挑んだ。視察した国際陸連ニューメディア部長のショーン・ジョーンズさんは「初開催だが、ロンドン、ニューヨークと比べても見劣りしなかった」と称賛。5大マラソンのレースディレクターもそろって視察に来日するなど、海外の関心も高かった。

 日本陸連専務理事の桜井孝次大会実行委員長は「いいスタートができた」と総括。トップ選手の出場は今回は男子だけだったが、男女ともトップ選手が参加するレースに一本化する可能性を聞かれると「その方向で考えている」と答えた。


計16人が病院に搬送、1人意識不明…東京マラソン〔読売〕
 東京マラソン2007では、体調不良のため、計16人が病院に搬送され、148人がコース沿いの救護所で手当てを受けた。

 東京消防庁によると、18日午後1時前、江東区豊洲の路上を走っていた男性(59)が倒れた。近くの救護所の救急隊員が、自動体外式除細動器(AED)を使って蘇生(そせい)措置を施し、男性は脈拍を回復したが意識不明の重体。

 同3時ごろには、ゴール直前の男性(58)が突然意識を失った。参加者の男性らがAEDで蘇生措置を施し、男性は意識を回復した。

 このほか、転倒による打撲や悪寒を訴え、ボランティア1人を含む男女14人が病院に運ばれた。

(2007年2月18日23時57分 読売新聞)

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■「結果よければ、すべてよし」ってか? そんなはずあるまい。■「一番歴史の浅いロンドンでも25回以上を重ね、徐々に規模を拡大してきたが、東京都と日本陸連は、いきなりそれに匹敵する規模の大会運営に挑んだ」という無謀さが、なぜ批判されない? ■「当初開催日には伝統ある市民マラソンである青梅マラソンが予定されており、参加者の減少を危惧した青梅サイドが開催日を2007年2月4日に繰り上げることになった」といった問題は、都知事自身が、寒冷期におけるトイレ問題などで自覚している時期設定のムリ・性急さと通底する。■慶応商学部入試だって、たまたま大問題が発生しなかっただけで、「横暴な石原イズムの反復」といわれてもしかたがあるまい。
■朝日新聞よ。いまさら「大都市の中心部を、競技者と大勢の市民が一緒に走るマラソン大会は、今や世界の流れになっている」などと、ヨイショは 不気味だから、やめよう。
■「まつり」は基本的に迷惑行事なんだ。関係者は、無関係な住民・市民に多大な迷惑をかけていることを自覚して、いい気にならないように。


■心臓発作などの事故、有森さんなどもでくわした転倒事故などは、この手のレースにはつきもののリスクだろう。■しかし、およそ万単位の市民ランナーが一時にはしるという尋常でない事態は、救急車ほかのシステムにも余波をおよぼしかねない。■また、軽犯罪法違反覚悟で「植え込みに向けて用を足す」という行為は、おそらくほとんどの女性ランナーにはムリであり、5分も10分も行列をまたねば仮設トイレがつかえないような態勢では、はなしにならないわけだ。〔20:00追記〕



●「公費を私物化する知事と、それをえらぶフシギな都民
●「都民の税金を石原慎太郎家臣団が食い漁る(AERA)