■「廃棄物」問題に分類するのではなく、「政治家・公務員の潔癖さ」の例外的好例として分類すべきかもしれないが、柳川喜郎御嵩町長がころされかけた襲撃事件と、産廃処分場問題をきりはなすことは、ほぼ不可能だ。
■『岐阜新聞』から(2007年03月02日(金) 08:24)

「3期12年、長過ぎた」 柳川町長が心境語る
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 1日に今期限りでの引退を明らかにした可児郡御嵩町の柳川喜郎町長(74)。「長期政権は腐敗する。長過ぎた」と普段と変わらない淡々とした口調で語り、産廃処分場建設問題に追われた3期12年を振り返った。同町役場で行われた記者会見の一問一答は次の通り。 

 ―いつ引退を決意したのか。

 「長期政権は停滞、腐敗する。3期12年は長過ぎた。引退の決意は2年前。許可権者が梶原拓知事から古田肇知事に代わり、情報公開や県政総点検で『御嵩の産廃問題も点検してほしい』と言ったら、古田知事は『宿題です』と答えた。私なりに古田知事の仕事ぶりを見ていて、誠実で公正な対処をしてくれるという心証を得て、信頼している」

次期町長選には出馬せず、
引退を表明する柳川喜郎町長
=可児郡御嵩町役場
 ―産廃問題は任期中に解決すると公言していたが。

 「今のところは完全な解決ではない。昨年夏に県に話し合いを持ち掛けようと思ったが、県の裏金問題もあってズルズルときてしまった。相手もあることだが、残る2カ月の任期中に何とか解決に向け動きたい」

 ―今後、処分場予定地はどうするのか。

 「自然のまま残し、水源の涵養(かんよう)林にしかできないと思う。オオタカやタガメに感謝される自然のままで残したい」

 ―後継の町長が産廃推進もあり得るが。

 「可能性はなきにしもあらずだが、住民投票は条例という法令の一種で正規の手続きで行われた。法的拘束力はないが、法的な効果がないとは思わない」

 ―後継指名は。

 「しないし、してはいけない。町民に失礼だ。ただ産廃施設建設に賛成の人は応援しにくい」

 ―引退後は。

 「医者を目指す妻と過ごしながら(産廃問題などの)本を書きたい」

 ―支持してきた町民への思いは。

 「4選への声も真摯(しんし)に聞いてきたが、その期待を裏切った。今後はきっちりと説明申し上げたい」

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■おなじく『岐阜新聞』の関連記事(2007年03月02日(金) 08:25)

町長襲撃事件、時効まで5年切る 捜査継続
 約10年前、暴漢に襲われ、重傷を負った可児郡御嵩町の柳川喜郎町長(74)が1日、次期町長選に出馬しない考えを明らかにした。殺人未遂事件は犯人逮捕を見ないまま、時効まで残り5年を切っている。柳川町長は引退するが、県警は事件の解決を目指して地道な捜査を続ける。

 事件は1996(平成8)年10月30日、柳川町長の自宅マンション前で発生した。柳川町長は2人組の暴漢に襲われ、頭の骨を折るなど重傷を負った。産業廃棄物処分場の建設に反対していた柳川町長は、事件の背景に処分場問題があるとの見解を示している。

 事件後、柳川町長宅の電話が以前から盗聴されていたことが判明し、県警は盗聴事件で2グループ計11人を逮捕した。しかし、襲撃事件では目撃情報や物証が乏しく、捜査は難航。公判を通じても盗聴と襲撃の二つの事件を結ぶ線は見つからなかった。県警は10年間で延べ約14万8000人を動員。現在も30人態勢で捜査を続けている。

 引退表明を踏まえ、纐纈修身刑事部参事官はあらためて「極めて重要な事件。県警としても高い関心を持って捜査を続け、解決に結び付けたい」と話した。

 一方、県警は事件後、柳川町長のマンション前に警察官詰め所を設置。現在も夜間警護を続けている。県警は詰め所の在り方については「柳川町長の住む場所や意向を踏まえ、総合的に判断したい」としている。


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■御嵩町の町長襲撃事件の背景となる産廃処分場をめぐる騒動を『岐阜県史』に記述しようとした大学人の原稿が削除されてしった不可解なてん末については、「検証 岐阜県史問題」でかいた。■ちなみに、このコメント欄と、その続報だった「『岐阜新聞』「百年の負債」」でリンクした連載企画「岐阜市・産廃不法投棄事件」は、不可解なかたちで、移動・消失した。■全文複写しておくんだった。
■『岐阜新聞』よ! ■この特集の削除は、貴紙の体質をよくしめしているかもしれないと、きもに銘じておくよ。■圧力に屈してけしたのなら、ジャーナリストとして、かなりはずかしいよな。■と、まあ推定の域をこえないんだが、岐阜県ってのは、産廃がらみのヤミ社会が隠然と支配している空間だ。■県庁の裏金問題だけではないんだな。■岐阜市高山市武部サンほか、ヤミ社会がおびただしく伏在しているらしいことが、すけてみえる。■ディープでダークな世界がおのぞみなら、『暘州通信』の「行政・司法問題」「高山市の不正」、その続編を参照のこと。■ジャーナリストや判事などがけされないだけ、ロシアシチリアよりは安全か(笑)?
■ちなみに、「事件後、柳川町長宅の電話が以前から盗聴されていたことが判明し、県警は盗聴事件で2グループ計11人を逮捕した。しかし、襲撃事件では目撃情報や物証が乏しく、捜査は難航。公判を通じても盗聴と襲撃の二つの事件を結ぶ線は見つからなかった。県警は10年間で延べ約14万8000人を動員。現在も30人態勢で捜査を続けている」とかかれているのは、岐阜県警当局発表をウケうりした、タレながし情報。■盗聴については、つぎのような記事がある〔「岐阜、愛知両県警でも違法な盗聴が発覚!」=リンクはハラナ〕。

……
 実は、2001年7月5日、岐阜地裁における民事訴訟の尋問でも、警察の違法な盗聴を暴露する証言が飛び出している。証言者は名古屋市で「有限会社ペガサス」という盗聴探査業を営む堀田耕作氏(34)。堀田氏は1998年7月、岐阜県御嵩(みたけ)町の柳川喜郎町長(68)宅の電話盗聴事件に関与したとして逮捕され、「電気通信事業法」違反で罰金20万円の有罪が確定している。問題の民事訴訟は、柳川町長夫妻が堀田氏ら盗聴犯6名に対し、各自500万円余りの慰謝料の支払いを請求しているものだ。
 堀田氏は岐阜地裁の法廷で宣誓してから、次のように証言した。
「10年近く前、『中部総合調査』(名古屋市)という興信所の従業員だったとき、警察から依頼を受け、最低5回は電話回線に盗聴器を取りつけた。岐阜県警本部の今村文隆さんという警察官は盗聴現場で名刺もくれた」
 この証言は堀田氏と盗聴とのかかわりを説明する中で出てきた。当日、新聞やテレビの記者も法廷に詰めかけていたが、どこも“堀田証言”は報道しなかった。元NHK解説委員の柳川町長は「警察に気をつかってか、記者の問題意識がなくてか、いずれにしても『警察の依頼で盗聴していた』という重大な証言に関連し、何の報道もないのはおかしい」とあきれる。
 そこで、筆者がさらに詳しく堀田氏から事情を聞いてみた。
「1990?1991年ごろ、岐阜駅南西のアパートの電話配線ボックスに盗聴器を取りつけました。今村さんらは『けん銃や麻薬に関する捜査』と言っていましたが、詳細は聞かされていません。その後、警察官5?6名が近所の公民館ふうの建物に陣取り、半年以上は盗聴を続けていました」(堀田氏)
 同時期、堀田氏は愛知県警からも依頼され、盗聴器を取りつけたという。
「『競馬のノミ行為に関する捜査』ということで、名古屋空港署から依頼されました。警察官がファクシミリで対象者の電話番号や自宅周辺の住宅地図を送ってきたので、それらに基づいて盗聴器を取りつけました」(堀田氏)
 こうして警察から依頼が相次いだ理由につき、堀田氏は「自分たちの腕前が買われたと思います。なにしろ盗聴器を取りつけるのに5分もかかりませんから」と話す。

柳川町長盗聴、襲撃両事件にも警察の影

 しかし、堀田氏は、警察からの盗聴依頼は5回程度で受けなくなったという。
「警察が『捜査のため』と言いながら、対象者の男女関係などを興味本位で盗聴していたり、岐阜県警の警察官から頼まれ、個人的なトラブルに関連し、盗聴器を取りつけたりで、嫌気がさしました」(堀田氏)
 堀田氏が実名を挙げている今村文隆氏は現在、岐阜県警大垣署生活安全課生活保安係長(警部補)だ。今村氏は電話での取材に対し、「そういうこと(盗聴)はしていない」と答えた。また、岐阜県警と愛知県警も取材したが、「そのような(盗聴していた)事実はありません」と同一のコメントが返ってきた。
「中部総合調査」(前出)で堀田氏を雇用していた田畑一美氏(51)は、柳川町長盗聴事件の犯人の1人(懲役10月、執行猶予3年の刑が確定)として、今回の民事訴訟の被告にもなっている。その田畑氏は言う。
「“堀田証言”はウソではないが、私は『そのようなことはなかった』としか答えられない」
……


■岐阜県警は当事者能力をもっていない。■柳川町長をおとしいれて、産廃問題をおしとどめたい(中央政界にも累をおよぼしかねないから?)政官財勢力が背後にあって、岐阜県庁の一部局にすぎない県警に圧力をかけ違法な「捜査」=防諜をやらかしたと。■地検も地裁も地方紙もグルか?

■アリバイ的な記事だが、一応、地方部記者が取材していますという姿勢の確認っぽい、『中日』『毎日』と『朝日』の記事も。■やっぱり、タブーか?

岐阜・御嵩町の柳川町長引退へ
4選不出馬表明

 産廃処分場の設置をめぐり、住民の反対運動を支えてきた岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長(74)が1日、同町役場で会見し、4月の統一地方選の同町長選に出馬しないことを表明した。

 会見で柳川町長は「産廃問題の許可権者である知事が交代し、公正な対処(が行われること)を信頼している。負の遺産の整理にめどがつき将来展望が開けた」などと、出馬しない理由を述べた。

 産廃処理施設建設計画の一時凍結を訴えた柳川町長は、1996年10月、暴漢に襲われ、頭の骨を折るなど重傷を負った。97年6月、建設の是非を問う住民投票で反対が多数を占めたため、地元の同意を保留して建設にストップをかけた。

 柳川町長はNHK解説委員を経て95年4月に初当選。3期目。全国産廃問題市町村連絡会長。



御嵩町長:4選出馬せず 岐阜県(mainichi-msn)
 岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長(74)は1日、町役場で記者会見し、4月の統一地方選で実施される町長選に出馬せず引退する意向を明らかにした。柳川町長は96年10月、暴漢に襲われて重傷を負った。町内に計画される産業廃棄物処分場建設問題との関連も取りざたされたが事件は未解決。計画については、開発申請手続きを巡る対立から知事との会談が95年4月以来中断していたが、古田肇知事の就任(05年2月)を機に会談が再開。柳川町長は引退理由を「処分場建設問題に解決の見通しがついた」などと述べた。

 柳川町長は元NHK解説委員で現在3期目。95年4月の初当選後、町内の産廃処分場建設の開発申請手続き凍結を県に申し入れた。翌年10月30日夕、町内の自宅マンション前で2人組の男に棒のようなものでめった打ちにされ、頭蓋骨(ずがいこつ)骨折などの重傷を負った。

 柳川町長は会見で「産廃処分場の許可権者である知事が代わり、古田知事の公正な対処を信頼している」と語った。古田知事との会談で計画は白紙になるとの見通しを持ったという。事件については「今後も私なりに情報を取り続け、犯人を捜したい」と述べた。【小林哲夫】

毎日新聞 2007年3月1日 22時50分



岐阜県御嵩町長、4選出馬せず
2007年03月01日14時25分(asahi.com)
 産業廃棄物処分場の建設計画をめぐり、全国初の住民投票を実施した岐阜県御嵩町の柳川喜郎町長(74)が1日、記者会見し、4月の町長選に多選を避けることなどを理由に立候補しない意向を表明した。

 柳川町長はNHK解説委員から95年4月に初当選し、現在3期目。

 97年6月、町内で産廃処理業者が計画した処分場建設の賛否を問う全国初の住民投票で「反対」が有権者全体の7割を占め、結果を尊重する意向を示した。計画の手続きは現在も止まったままとなっている。

 住民投票に先立つ96年10月には、自宅マンションに帰ったところを2人組の男に襲われて大けがを負い、約1カ月入院した。町長の自宅の電話が盗聴されていた事件も明るみに出た。襲撃事件は未解決だが、全国各地の講演会やシンポジウムに出席し、民主主義や環境問題について発言を続けてきた。