■きのうの『朝日新聞』日曜版「be on Sunday」の連載(ウェブ上のは、なぜかでない)「あっと!@データ」の文章を転載。

若い女性、終戦直後よりスリムに
 日本の女性は、やせ願望が強い。
 太っているかどうかを示す指標にBMI(体格指数)がある。国民健康・栄養調査によると、BMIは男性が戦後、増加傾向をたどってきたのに、女性は減少中。食べ物が乏しかった終戦直後よりも今の方がやせている。BMI18.5未満のやせすぎ女性の割合は12.2%で、先進諸国では断トツに高い。米国でも3.3%、英国は3.0%、豪州は1.5%だ。
 女子大生の理想の体形は、モデルの押切もえさん、という。共立女子大4年生の木村美帆さんと原由記さんが、女子大生161人に理想の体形を聞いた。身長161センチ、体重45.5キロ、BMIは17.6だった。76%がダイエットの経験があり、その目的も「健康のため」と答えたのは13%と少数派。最も多かったのが「自分磨きのため」(52%)だった。
 「身を削って、自分磨きか」と、乙女心に驚いてしまう。「スペインでは先月、モデル5人がやせ過ぎとしてファッションショーの出演を禁じられた」と教えてやりたくなるのは、メタボリックな中年男の老婆心?      (坪谷英紀)

------------------------------------------
■すでに以前、「やせ過ぎ女性の比率の国際比較(社会実情データ図録)」という記事で、日本人女性の やせ願望・やせ志向については論及している。■そこで紹介したものもふくめて、『社会実情データ図録』の関連記事をリンクするなら、「図録日本人の体格(BMI)の変化」「図録肥満比率の各国比較(OECD諸国)」「図録肥満比率の国際比較(世界59カ国)」「図録米国では肥満が社会問題化」「図録男女の体型(肥満・やせ)の実際と自己認識」などがあげられるだろう。
■これら『社会実情データ図録』の図表や解説を、「若い女性、終戦直後よりスリムに」をきっかけに よみかえしてみたら、みおとしていたこと、かんがえがあさかったことに、いろいろきづいた。
■?まず、わかい女性の「やせ願望」と「スリム体形」の実態に危機感をもっていたにもかかわらず、それが終戦直後から ほぼ一貫した傾向でBMIが漸減してきたなんてことは、みおとしていた。■要は、ここ四半世紀ぐらいの、ポストモダン的現象だとおもいこんでいたのである。■なんと、リンクのかたちで紹介した「図録日本人の体格(BMI)の変化」には「戦後直後には、20歳代の若い女性がもっとも体格がよく、60歳代の高齢者層はもっともやせていた点を確認しておこう。中高年が若年層に優先的に栄養を分けていたとも考えられる。
 現在では、まったく逆であり、20歳代はどんどん痩せていきもっとも痩せた年齢となり、60歳代はどんどん太っていったためもっとも太った年齢となりBMIで3以上の差が
生じている。吉行淳之介のエッセイに「若い女性は決まって可愛いのに、我々の女房達はいったいどこから来たんだろう」というセリフがあるが、この体格の大きな差は驚異的である…
 …30歳代、40歳代も10年、あるいは20年遅れて、痩せへの方向に転じている。体格のこれだけの差は例えば年齢別の衣服の多様性などにつながっていると考えられる…
」と、実に的確に長期傾向が分析されていた。
be3784b4.gif
■?もっとも、『社会実情データ図録』氏も、「女性20歳代の痩せへの転換は高度成長期にはじまっており」と失言している。■多少の上下動はあるものの、折れ線は高度経済成長期以前、つまり終戦からほどなく、ほぼ「一貫して痩せの方向へ進んだ」のであって、高度経済成長期は その傾向が加速化したというだけにすぎない。
■?興味ぶかいのは、終戦直後、配給+ヤミ経済で、基本的に栄養失調状態だった時代に、どの世代も、いまの わかい女性以上にふっくらとしていたのであり、(出産・育児を最優先して)「中高年が若年層に優先的に栄養を分けていたとも考えられる」という仮説をとるにしても、現在の日本人女性の ヤセぶりは、異様だということが、うきぼりになる点。
■?これは、「図録男女の体型(肥満・やせ)の実際と自己認識」の結果をみても、異様な事態といえる。■現代日本人は、深刻とはいえないまでも、集団ヒステリーとして「メタボリック不安症候群」といえる。■男性のばあいは、中高年でメタボ一直線の御仁と、「永遠の青年派」に分裂してるのかな?
(笑)
■?ちなみに、「みがく」という動作は、対象の表面を「けずる」ことなのであり、「自分磨き」がいきすぎたばあい「身を削る」行為にいたるのは、ことの道理といえそうだ。■「自分磨き」や「身を削る」作業が不要になったオジサマがたが、かっぷくよい体型なのも、ごく自然(笑)。

4a3d05c6.gif