■だいぶまえにかいた「名古屋刑務所暴行致死事件」の続編。■まずは、先月すえの『朝日』の記事をキャッシュで。

4刑務官に有罪判決、1人無罪 
名古屋刑務所革手錠事件
2007年03月30日12時20分(asahi.com)
 名古屋刑務所(愛知県三好町)で02年、受刑者2人が革手錠付きベルトで腹部を締められて死傷したとされる事件で、特別公務員暴行陵虐致死と同致傷罪などに問われた刑務官5人について、名古屋地裁の伊藤納裁判長は30日、4人を執行猶予付きの有罪とする一方で、1人を無罪とする判決を言い渡した。有罪とされた被告の弁護側は控訴する方針だ。

受刑者に使われた戒具の革手錠付きベルトのレプリカimg20070401.bmp
 量刑は、特別公務員暴行陵虐致死と同致傷罪に問われた副看守長の前田明彦被告(45)が懲役3年執行猶予5年(求刑懲役5年)▽両罪に問われた看守の小沢宏樹被告(31)が懲役2年執行猶予3年(求刑懲役3年6カ月)▽同致傷罪に問われた看守長の渡辺貴志被告(39)が懲役2年執行猶予3年(同懲役2年6カ月)▽同致傷罪に問われた看守の池田一被告(34)が懲役1年執行猶予3年(同懲役1年6カ月)。無罪とされたのは、同致死罪に問われた看守の佐藤孝雄被告(29)。
 名古屋刑務所事件で無罪判決が出るのは初めて。受刑者が死傷した事件で同地裁はすでに刑務官3人に有罪判決を言い渡しており、今回の判決で刑務官8人のうち7人が有罪となった。佐藤被告は「関与はしたが、経験が浅く、職務行為と信じ込んでいた可能性が否定できない」とされた。

 公判の最大の争点は、刑務官の革手錠の施用が(1)死傷原因か(2)違法か。死傷原因について弁護側は「受刑者自らの転倒事故で(革手錠とベルトをつなぐ)角張った金具が腹に食い込むなどしたことが原因」と反論。違法性について弁護側は「受刑者から暴行を受ける恐れがあった。ベルトのきつさも適正で、適法な職務執行だった」と反論し、全員の無罪を主張していた。

 しかし、判決は受刑者の死傷原因を「刑務官が革手錠のベルトをきつく締めたため」とし、革手錠の施用は「苦痛を与えて従わせ規律を維持する目的だった」と認定し、弁護側主張を退けた。

 判決によると、前田、小沢の両被告は02年5月27日午前10時14分ごろ、同刑務所の保護房で、懲らしめを目的に男性受刑者(当時49)の腹部を革手錠のベルトで強く締めた後、同11時45分?正午ごろ、さらに強く締めるなどして暴行。腸管膜損傷などを負わせ、午後8時半ごろ外傷性ショックで死亡させた。

 さらに前田、小沢、渡辺、池田の4被告は別の副看守長=有罪確定=と共謀。男性受刑者(34)が反抗的だとして懲らしめを目的に、同年9月25日午前8時15分?9時45分ごろ、保護房で腹部に革手錠のベルトを巻いて締めるなどの暴行を加え、外傷性腸管膜損傷などの重傷を負わせた。

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■「死刑制度について(その2)」「権力犯罪としての誤認逮捕」「とじこめる/みはる/ころす」「サディズムの発露としての死刑存続論」「「『はい』以外言うな」 富山の冤罪男性に取調官(朝日)」「裁判官の守秘義務って、なにをまもっているの」など、散発的にではあるが、再三「冤罪(ぬれぎぬ)」問題をあつかってきたハラナとしては、「推定無罪」原則はもとより、「疑わしきは罰せず」原則を基本として支持する。
■だが、こと権力犯罪については、この原則をあまり厳密にみとめると、被害者は「やられ損」、加害者は「やり得」になってしまう。■それは、戦争犯罪などにおける、証拠隠滅〔インメツ〕など、枚挙にいとまがない。したがって、今回の事例を「これは、冤罪の危険性大」とか、こわだかに論ずる層の論理・動機(無自覚なものもふくめて)には慎重になるべきだろう。■うがったみかたをするなら、こういった事例について、「冤罪」説にこだわる層が、死刑存置派かどうか、充分みきわめる必要がある。いささか乱暴ないいかたをするなら、熱心が死刑存置派が、刑務官などの権力犯罪について「冤罪」説にこだわるなら、それは、権力がわ擁護の二重の基準を公然とのべていることになる。権力のがわの「ぬれぎぬ」には非常に同情的でありながら、被疑者・受刑者の人権には冷淡という、あまりにロコツな 基準のすりかえは、きわめて卑劣・悪質である。■「凶悪犯には極刑を」とこわだかに論じる層が、警察・検察・裁判所の 判断ミス・暴走等の危険性を、適用する集団によって、かってにきりかえるのは、あまりに醜悪だ。
■もちろん、刑務官の暴走の有無はともかく、今回のケースも、単なる刑務官の例外的・突発的事例であるとか、個人的・小集団の「伝統」などに還元してはなるまい。■むしろ、市民の監視が拒絶されている密室では、おきて当然の権力犯罪なのであり、その温床となる組織的病理こそ早急な改善が不可欠だからだ。■今回の事例を、名古屋刑務所という空間の「特殊例外的な事例」といったかたづけかたは、まちがっているだろう。

■それはともかく、「革手錠」のような、実質「懲戒」装置を、権力的密室で利用できる正当性は、どこにあるのか? ■刑務官は、「君子は未然に防ぎ、嫌疑の間に処らず、瓜田に履を納れず、李下に冠を整さず」の故事にならって、「痴漢以上にみずから冤罪の危険性をせおっている」と認識すべきだろうし、法務省の官僚たちは、刑務所に赴任する際に、肝に銘じなければなるまい。



●「Wikipedia 刑務所
●「Wikipedia 刑務官
●「Wikipedia 名古屋刑務所
●「名古屋事件はすべて処遇部門第一統括原田博の仕業だ!」「名古屋刑務所では証拠隠滅は現在も続いている!」「名古屋刑務所では証拠隠滅は現在も続いている!(PART 2)
●「名古屋刑務所暴行事案は無実だろ
●「受刑者の診療要請を拒否 出所後にがん(朝日)=差別論ノート35
●「更正も沈静ももたらさない司法
●「たまっていく死刑囚?