国に12億円の賠償命令、飛行差し止めは認めず…小松訴訟


 航空自衛隊小松基地(石川県小松市)の周辺住民1576人が国を相手取り、自衛隊、米軍機の早朝・夜間の飛行差し止めと、騒音被害に対する損害賠償などを求めた「第3、4次小松基地騒音訴訟」の控訴審判決が16日午前、名古屋高裁金沢支部であった。

 長門栄吉裁判長は賠償範囲を、1審・金沢地裁判決と同じ、航空機の騒音量を示す国際基準「WECPNL値(W値、うるささ指数)」で75以上とし、住民への結審までの過去分の損害を認めて総額約11億8800万円を支払うよう国に命じた。自衛隊、米軍機の飛行差し止めは認めなかった。

 基地騒音訴訟を巡っては、2005年11月の「新横田基地公害訴訟」と、06年7月の「第3次厚木基地騒音訴訟」(確定)の2控訴審で東京高裁も、賠償範囲を「W値75以上」と認定しており、被害救済の範囲は定着しつつある。


(2007年4月16日10時20分 読売新聞)
小松基地訴訟「受忍超える騒音」 
国に賠償 名古屋高裁
2007年04月16日10時45分(asahi.com)
 航空自衛隊小松基地(石川県小松市)の自衛隊機と米軍機の騒音をめぐり、周辺住民1576人が早朝夜間の飛行差し止めと損害賠償などを国に求めた「小松基地騒音公害3・4次訴訟」の判決が16日、名古屋高裁金沢支部であった。長門栄吉裁判長は「受忍限度を超える被害が生じている」と述べ、02年3月の一審・金沢地裁判決と同様に「うるささ指数(W値)」75以上の区域の騒音被害を認定。過去の損害として国に計約11億8800万円の支払いを命じた。

 自衛隊機の飛行差し止め請求は却下、米軍機の飛行差し止め請求は棄却し、自衛隊の違憲論については判断しなかった

 控訴審で住民側は、過去分の賠償範囲について「W値75以上の住民は受忍限度を超えている」とした一審判決と同様の判断を示すよう訴えた。また、「騒音の軽減は全く図られず、在日米軍の再編でさらなる騒音被害が確実」と指摘し、将来分の損害の救済も求めた。

 さらに独自調査を根拠に「騒音が不眠などの健康被害を引き起こしているのは明らかだ」として飛行差し止めを主張。自衛隊、在日米軍は「憲法が禁じている戦力なのは明白。違憲判断を示すべきだ」と訴えた。

 一方、国側は騒音被害について「住宅防音工事などで軽減されており、原告らの被害は看過できないとは言えない」と反論。原告の睡眠被害調査は「少人数を短期間調べただけで信頼できない」と否定し、具体的な健康被害を立証できていないとした。

 自衛隊機の飛行差し止め請求は最高裁判断を例に「民事上の訴えとしては不適法」と主張。米軍機も「活動を制限できる条約、国内法令はなく、主張自体が失当」と棄却を求めた。

 小松基地の騒音をめぐる3次訴訟は95年12月、4次訴訟は96年5月にそれぞれ提訴(のちに併合審理)。正午?午後2時、夜6時?翌朝7時の飛行差し止め▽これ以外の時間帯は騒音を70デシベル以下に▽1人120万円の賠償▽請求が実現するまで毎月1人あたり5万円の支払い――を求めていた。

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■いつも、こういった騒音訴訟で不可解なのは、受忍限度をこえた騒音で賠償せよ、との判断をくだしつつ、「自衛隊機の飛行差し止め請求は却下、米軍機の飛行差し止め請求は棄却し、自衛隊の違憲論については判断しない」という、裁判所の「一貫」した姿勢だ。■まあ、「自衛隊の違憲論について」判断をさけるのは、わからないでもない。しかし、「自衛隊機の飛行差し止め請求は却下、米軍機の飛行差し止め請求は棄却」という判断は、「W値75以上の住民は受忍限度を超えている」のに、どうしてみちびかれるわけ?
■これでは、「受忍限度を超えている騒音は賠償金で充分おぎなえる=受忍可能である」という逆説(パラドクス)をきたすんだが、「優秀な法務官僚」である判事さんたちは、この論理水準で受忍可能なわけね?■アタマのよわいらしいハラナたちには、到底理解不能だわ……。
■お医者さん同様、「充分な説明と同意」をもとめる権利が市民にはあるはずなので、われわれにもわかる判決文をかいてほしいね。義務として。これで「同業者」であるはずの弁護士さんたちはみんなOKなわけ?