原発ごみ処分場、東洋町の調査中止 
新町長が応募撤回
『朝日新聞』2007年4月23日(月)23:19

 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の立地調査の受け入れの是非を問う高知県東洋町長選で撤回を掲げた沢山保太郎氏が当選したのを受け、原子力発電環境整備機構は23日、東洋町での調査を取りやめることにした。近く、経済産業省に事業計画の変更を求める手続きに入る。同省も認める方針だ。処分場選定の手続きは再び暗礁に乗り上げた。

 23日午後、沢山新町長は原環機構の山路亨理事長と電話で会談し、調査の応募を取り下げる意向を示した。原環機構側も取り下げる手続きをすることを伝えた。
 原環機構では02年末から、全国の市町村を対象に公募をしていた。4年余り応募がなく、東洋町が初めての応募だっただけに、国も原環機構も落胆は大きい。北畑隆生・経産事務次官は会見で「原子力政策に理解のある前町長が当選されなかったのは残念だ」と述べた。

 東洋町の調査受け入れ撤回で、今後、他の自治体が公募に応じにくくなるのは避けられない。経産省では「公募に手を挙げたら『クビ』になるのでは、政策が行き詰まってしまう」(幹部)と懸念が強まっている。

 だが、公募制度について北畑事務次官は「透明で、地元の意思を尊重した仕組みになっている」と評価。「金で解決するやり方」として、橋本大二郎・高知県知事に批判された交付金制度も含め、現行制度を変えない意向を示した。

 一方、電力会社は戸惑いを見せる。

 前町長の苦戦が伝わっていた20日、電気事業連合会の勝俣恒久会長(東京電力社長)は「20年も30年もたたないと結果が分からない方式がいいのかなあ、と素人的にいうと私自身思っています」と述べた。

 使用済み核燃料再処理工場ウラン濃縮工場、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターなど、核燃料サイクル関連施設を集中的に立地要請した青森県で、91年の知事選で反対派候補に激しく追い上げられて泥沼の争いとなった経緯もある。今回の処分場選びの手続きについて、当初はその透明性に期待した部分もあった。

 だが、原発を事業として行う電力会社にとっては、事業の見通しとそれにかかる経費はできるだけ早く確定したい。いらだちは募るばかりだ。

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「原子力政策に理解のある前町長が当選されなかったのは残念だ」っていうが、新町長は、地方にしわよせする原子力政策の本質に「理解のある」人物だからこそ、反対をとなえたんじゃないか?■「公募に手を挙げたら『クビ』になるのでは、政策が行き詰まってしまう」とは、地方をバカにした発想だ。■大都市がつかう膨大なエネルギー生産のツケを、人口密度のちいさな過疎地におしつけることができるという、実に安易な発想。「原発を事業として行う電力会社にとっては、事業の見通しとそれにかかる経費はできるだけ早く確定したい。いらだちは募るばかりだ」という発想の自己中心性に自覚的になる条件がまわりにないのだろうね。

■それにしても、「20年も30年もたたないと結果が分からない方式がいいのかなあ」とは、なにをいいたいのだろうね…。■放射能はみえないがゆえに、そして中長期的に作用するがゆえに、不安がつのるんじゃないか? 自分たちが責任もって将来像を約束できない不安定技術を、ヨソにもちこむなよ。


2007年04月24日
「住民が核廃誤解の結果」 
前東洋町長落選で経産相

 東洋町長選で高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定調査に反対する沢山保太郎氏が当選したことについて、甘利明経済産業相は24日の記者会見で「誤解したまま賛否を諮ると、こういう結果が出る」と発言し、住民側に廃棄物が危険との誤解があったことが、調査に応募した田嶋裕起前町長の落選につながったとの考えを示した。

 甘利経産相は「テレビを見ると、核のごみを引き受けると、汚染の危険性が地域全体にあるみたいなことを言う人もいる」と指摘。処分場について「安全性は120パーセント確保されている」と断言した。

 その上で、処分場の安全性や必要性については、国や原子力発電環境整備機構が積極的に説明するべきだったとし、「危険な施設との誤解や、(国内に)処分場が無くても今の生活が維持できるとの誤解を解いていかなきゃならない」と話した。

 沢山町長は既に調査への応募を撤回する書類を原環機構に送付したが、経産相は「地域の理解あっての原子力政策なので、地元の意思を尊重したい」と述べた。

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■「甘利経産相は自分の選挙区に核のゴミ処理場を誘致すべき」という、当事者のこえに、反論がかえせるのか? ■甘利さん、「「安全性は120パーセント確保されている」と断言」している以上、さっそく地元選挙区を説得しろよ。そんなに、エネルギー政策とやらが重要ならさ。■っていうか、最初に説得しなかった理由は一体なによ?