■先日の『東奥日報』などから、記事を数件紹介。

発電を再開 東通原発1号機
 東北電力は9日、定期検査中の東通原発1号機(青森県東通村、出力110万キロワット)の発電を再開した、と発表した。1カ月程度の調整運転を経て国の最終検査を受けた上で、6月上旬にも営業運転に戻る見通し。
 1号機は今年1月7日から、初の定期検査に入り、今月5日、原子炉を再起動していた。

2007年05月09日水曜日(東奥日報)




東通原発1号機 原子炉を再起動 
営業運転は来月
 定期検査中の東北電力東通原発1号機(青森県東通村、出力110万キロワット)は5日、原子炉を再起動した。近く発電機を送電系統につなぐ併入を実施。1カ月程度の調整運転を経て国の最終検査を受けた上で、6月上旬にも営業運転に戻る見通し。
 1号機は2005年12月8日に営業運転を開始。今年1月7日から、初の定期検査に入っていた。4月下旬の再起動を予定していたが、一部暖房用ボイラーの安全弁の点検作業に時間がかかり、1週間ほど遅れた。

2007年05月05日土曜日(河北新報)
■これには、もちろん「前史」がある。

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2005年12月8日(木) 〔『東奥日報』〕
東通原発が営業運転を開始

 東北電力は八日午前十時十二分、東通村に建設した東通原発1号機(出力百十万キロワット、沸騰水型軽水炉)の営業運転を始めた。東通村議会が一九六五年に原発誘致を決議して以来四十年目。本県では初めての原発で、運転中の原発としては国内五十四基目となった。

 東北電力・東通原発1号機(以下、東北1号機)は一九九八年十二月に着工。昨年十二月に試運転を開始し、今年一月には、核分裂の連鎖反応が維持される「臨界」に達した。三月からは電気出力を20%、50%、75%、100%と段階的に上げながら、各出力段階で設備の性能や健全性を確認する試験を進めてきた。

 100%出力試験直前の六月には、主蒸気隔離弁が動かなくなるトラブルが発生し、十月の予定だった運転開始が、修理や点検のために二カ月ずれ込んだ。十月には原子炉再循環ポンプの一部で温度が上昇する不具合もあったが、運転開始に大きな影響はなかった。

 経済産業省原子力安全・保安院による東北1号機の最終検査(負荷検査)は五日から行われていた。八日午前、発電所内で、東北電力の高橋宏明社長が、同院の根井寿規原子力発電検査課長から合格証を受領。東北電力は営業運転開始を宣言した。東通原発は全国十七カ所目の立地点で、新規地点としては北陸電力・志賀原発(石川県)以来、十二年ぶりの運転開始となる。東北電力としては女川原発(宮城県)に次いで二カ所目の原発地点。

 出力百十万キロワットは、青森県内で消費される電気の約九割に相当するが、東北1号機は東京電力も開発に参加した広域開発電源のため、発電した電気の半分は東京電力に融通される。

 東通村では、東北1号機のほかにも、東北電力2号機、東京電力1、2号機の計三基の建設が計画されている。三基はいずれも出力百三十八万五千キロワットの改良型沸騰水型軽水炉。東京電力1号機は二〇〇七年度着工、一三年度の営業運転開始を目指している。残る二基については、着工のはっきりした見通しは立っていない。
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■ことは、この数年のことではない、ながいながい前史をもっている。■それは、おなじ『東奥日報』の2004年くれの特集連載でわかる。
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■40年目の始動/東通原発1号機試運転〔『東奥日報』〕

 
 旧通産省の委託を受けて一九六四(昭和三十九)年、県が東通村で原発立地調査を実施してから四十年。本県初の原発となる東通原発・東北電力1号機(出力百十万キロワット)が二十四日に試運転を始め、下北が名実ともに“原子力半島”化する。関係者の証言を基に東通原発計画の経緯をたどるとともに、村の現状や今後の課題などを探った。 (政経部・福田悟、むつ支局・夏坂昌芳)


(10完)ポスト原発/廃棄物施設求める声(2004.12.29)
(9)立地村の未来/着工延期 財政に影響(2004.12.28)
(8)原発マネー/箱モノ次々 村を潤す(2004.12.27)
(7)伸び悩む需要/残る3基 建設不透明(2004.12.26)
(6)漁業補償/交渉10年 金額膨大に(2004.12.25)
(5)移転者の思い/事故 あってはならぬ(2004.12.24)
(4)県が用地買収/「六ケ所」重なり難航(2004.12.23)
(3)誘致決議/役場移転の悲願託す(2004.12.22)
(2)需要急増に対応/送電など課題も多く(2004.12.21)
(1)空前の20基構想/竹内知事が決断促す?(2004.12.20)

◆東通原発をめぐる動き◆
1964年 通産省の委託を受け、県が東通村などで原発立地調査を開始
65年 東通村議会が原発誘致を決議
69年 原子力委員会委員長代理らがむつ市などを視察
70年 竹内知事が第二原子力センターの候補地に東通村周辺が内定した、と発表(1月)
竹内知事が東北、東京両電力による原発20基建設構想を発表(2月)
両電力が東通原発の立地を公表、県に用地買収を委託(6月)
73年 用地買収ほぼ完了
81年 東北電力が下北原子力準備事務所を開設(2月)
両電力が110万キロワット原発4基の第1次計画を発表(12月)
88年 東通村役場を村内に移転新築
92年 白糠、小田野沢両漁協が知事案を受け入れ、両電力との漁業補償交渉が妥結
95年 両電力と関係6漁協との漁業補償交渉がすべて決着
99年 両電力が東北1号機を除く原発3基の出力変更を発表(3月)
東北電力1号機が着工(3月)
2003年 白糠、小田野沢両漁協と両電力の追加漁業補償交渉が妥結
04年 東北1号機が試運転(12月)
05年 東北1号機が臨界に(1月予定)
東北1号機が発電開始(3月予定)
東北1号機が営業運転(10月予定)

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■要は、40年ごしということ。そんなに時代をへれば、ダム建設などと同様、すべての社会環境がかわってしまうことはいうまでもない。■電力需要とか、合理的説明がつくんだろうかね。
■いずれにせよ、大都市部にはおけないらしい、不明朗なリスク問題がうやむやにされたまま、助成金をほしがる過疎地に立地されるという構図は何十年もかわっていないと。