日雇い派遣の「不透明」天引き、
労働者が返還請求へ
2007年05月25日08時33分

 携帯電話やメールで短期の仕事を紹介する「日雇い派遣」業界で、派遣会社が保険料などの名目で派遣1回あたり200?250円程度を給料から天引きする制度に対し、派遣労働者が天引き分の返還請求を始めた。業界大手2社は制度を廃止したが、労働者側は任意との十分な説明がなく使途も不透明だとして、過去に支払った分の返還を求める。徴収総額は大手で年間10億円規模に達し、返還請求の行方によっては業界の収益構造を揺るがす可能性がある。

日雇い派遣の天引き問題
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 日雇い派遣業界では、派遣会社が「データ装備費」や「業務管理費」などの名称で給料から天引きをしてきた。月に20日間働けば年間5万?6万円程度になる。1日に3万人近くを派遣する大手のグッドウィル(東京都港区)では、年間徴収額が約15億円に上るという。

 派遣会社は、労働者が派遣先で物を壊した場合などの損害をまかなう保険料や、労働者の個人情報管理、装備品代などにあてたとする。支払いは任意だと説明し、労働者も納得しているという。
 だが労働組合などによると、スタッフ登録の際に「保険料として引くことになっている」などと言うだけで任意との十分な説明はなく、使途の内訳や保険の内容を明記した文書も交付されない。

 グッドウィルの派遣労働者でつくるグッドウィルユニオンは、事実上、強制的に天引きされ、使い道も極めて不透明だとして団体交渉で返還を要求。28日にスタッフ向けの説明会を開き、6月にも一斉請求する。労働基準監督署にも調査を求める方針で、厚生労働省も調べる考えだ。

 グッドウィルは5月に制度を廃止。返還には応じない姿勢だが、任意との説明が不十分だった場合があれば「個別に検討する」と含みも持たせている。大手のフルキャスト(東京都渋谷区)は2月に廃止したが「現時点で返金は考えていない」という。

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■ウェブ上にあがっている この記事は、朝刊の1面記事と、社会面の図解の合成。■なぜか、社会面の記事の文章がウェブ上のあがっていない
〔ちなみに、ウェブ上のあがっている記事は、「暮らし」に分類されている〕
■なので、社会面の記事をうちこんで記録しておく。


「強制とはっきり言った」
日雇い派遣天引き スタッフ、怒りの声


 高くはない給料から、なぜさらに200円を引かれなければならないのか―。日雇い派遣スタッフの疑問と怒りが噴出し始めた。日雇い派遣業界は、「ロストジェネレーション」とも呼ばれる25?35歳の若者らを中心に登録者数を増やし、急成長。その裏側で、不透明は費用を給料から天引きする制度が広がっていた。
(滝川卓史、多田敏男)
 「任意なんて説明は一度も聞いていない。『これは強制です』とはっきり言われたこともある」
 この数年、複数の日雇い派遣会社で働いてきた男性(42)によると、天引きの名目は「保険料」「冠婚葬祭の積立金」など、同じ会社でも支店ごとにばらばらだった。会社は任意の支払いだと強調するが、拒否できたケースはほとんどない。
 別の30代の男性は壊れたコピー機の写真を見せられ、「物損事故を起こしたらとても個人では払えない」と言われた。仕事上の損害に対する保険には会社が加入し、労働者が保険料を払わなくても補償されるが、そのことの説明はなかった。
 労働者の派遣1回あたりの収入は6千?8千円程度。家賃を払えずインターネットカフェで暮らす「ネットカフェ難民」もおり、返還を求める声は切実だ。グッドウィルユニオンには「1千回以上働いたので天引き額は合計20万円以上。なんとしても返してほしい」といった相談が相次ぐ。
 同ユニオンの関根秀一郎書記長によると、グッドウィルは団体交渉では組合員への返還に応じる考えを示したが、17日に返還しないと変わったという。同ユニオンは28日午後7時から、東京都新宿区の「派遣ユニオン」(03・5371・8808)で、グッドウィルのスタッフ向け説明会を開く。

職場転々とし連帯困難

 不透明な制度が続いた背景には業界特有の事情がある。職場は毎日替わり、複数の派遣会社を点々とする人も。労働者間のつながりは生まれにくく、個人情報の管理費や保険料など、ふつうは企業が負担する費用が天引きされることへの不満が表面化してこなかった。
 昨秋以降、大手のフルキャストやグッドウィルに個人で入れる労組が誕生、状況が変わった。両社は天引きを「スタッフの満足度向上」などを理由に廃止する一方、「集めた資金は適性に使用した」と主張するが、徴収額の根拠は示せず、労働者も納得していない。
 手続き上の問題もある。労働基準法では、給料からの天引きには労働者の過半数代表者との書面での協定が必要だ。日雇い派遣は継続して働く人が少なくて代表選びが難しく、常勤の正社員だけで協定を結ぶ例が目立つ。グッドウィルは1月、東京の三田労基署から、派遣労働者が代表選出に適切にかかわっていなかったとして文書指導を受けた。他の大手でも同様の問題が指摘されている。
 日本労働弁護団の棗〔なつめ〕一郎弁護士は「任意だと十分説明していなければ、民法上の錯誤に基づく支払い契約の解除などを理由に、裁判で返還が認められる可能性が高い。企業は資金の使途の説明責任もある」と話す。
 天引き額は大手で年間10億円以上とみられる。グッドウィル・グループの06年6月期(連結)の当期利益は34億円、フルキャストは06年9月期(同)で29億円。仮に返還が相次いだ場合、業績にも影響が考えられる。

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■搾取というより、ユスリ/タカリ/ボッタクリのたぐいですな。■以前ものべたとおり、このての業界は、「洗練されたヤクザ」。

■?労働者は、労働法の基礎知識で自衛する必要がある。■義務教育は、憲法やら家族法やらのつまみぐいではなく、労働法や刑法の基礎知識を市民的素養としてみにつけさせる責務をおっている。■いいかえれば、現在の義務教育は、よみかき計算以外、社会に放りだされるわかもの自衛策を保障していない、デタラメな制度といえる。

■?タンマリもうけている一部の金満弁護士と大企業には重税をかけて、底辺労働者救済事業(訴訟と交渉、法律相談など)を弁護士団体が維持できるよう資金をプールすべき。■だって、この層の莫大な利潤・報酬の相当部分が底辺労働者の搾取からうまれているはずでしょ?■大企業の利潤の大半が、大衆の欲望を確実にとらえた創意くふうからだけのはずがない。もしそうなら、これほどの不祥事が陸続とふきだすはずがない。ちがいます?


●Wikipedia「日雇い
●Wikipedia「ワンコールワーカー
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●「「日雇い派遣」労組、グッドウィルで結成(『朝日』2007年03月09日)