■「とりしらべの可視化は、まだまだ課題山積」の続編。■『朝日』の朝刊社会面から。

取り調べの様子録画したDVD 
法廷で再生へ 東京地裁
2007年05月24日19時47分(asahi.com)

 フィリピンで05年に起きた殺人事件の被告の裁判で、東京地裁(小坂敏幸裁判長)は24日、共犯者の取り調べの様子を録画したDVDを証拠として採用した。25日に開かれる法廷で撮影内容が再生される見通し。取り調べの内容は通常、供述調書という書面の形で証拠採用される。録画によって記録された取り調べの様子が刑事裁判の証拠となるのは初めてのことだ。
 殺人の罪に問われているのは吉井誠被告(51)。05年7月、保険金を得る目的で東京都内の会社員を殺害するなどしたとして起訴されたが、公判で他の共犯者との間で殺害などの共謀があったことを否認した。

 共犯者の1人として起訴された山本俊孝被告(55)は捜査段階で「吉井被告が事件に関与した」とする内容の供述をしていた。しかし、証人として出廷した吉井被告の公判では異なる証言をしたり、証言を拒絶したりした。

 このため検察側は、捜査段階の山本被告の供述調書の内容が信用できることの立証が必要と判断。取り調べの様子を録画したDVDを証拠申請し、弁護側も採用に同意した。法廷では15分ほど内容が再生される予定だ。

 取り調べの録音・録画をめぐっては、弁護士を中心に捜査をチェックする目的で導入を求める声が強い。最高検は適正な取り調べだったと立証するために昨年夏から一部の事件で録音・録画を試行しており、今回の証拠申請はその一環だ。

-------------------------------------------------
前回のべたとおり、「とりしらべの過程を動画・音声で記録するのはいいとして、それをかってに編集してしまったら、全然証拠能力をもたない」。■したがって、そのヘンの懸念を完全にぬぐいされないかぎり、はっきりいえば、完全無修正・ノーカット版を提出しないのでないかぎり、「被告の弁護人は「検察側に都合がいい部分だけの可能性がある」と話している」」という当然の疑念がつきまとう。
■なので、これらの問題を全部解消しないうちに、あたかもとりしらべ過程の「可視化」がすすんだとか、証拠がより客観化されたとか、被疑者の人権が保障されたかのうにかたるのは、やめようね。検察官・裁判官のみなさん。

●「権力犯罪としての誤認逮捕