■「あやしいメタボリック症候群騒動」の続編。■『朝日』の記事を転載。

メタボのウエスト値
国際組織が新指標
日本側は反発

2007年06月17日06時41分

 メタボリック症候群の診断基準作りに取り組む国際組織が、「男性85センチ、女性90センチ以上」とする日本のウエスト基準値と異なる「男性90センチ、女性80センチ以上」という独自の日本人向け基準を決めた。心筋梗塞(こうそく)などを起こすリスクのある人を正しく判別できるとの説明だが、日本の基準を作った側は反発している。

 この組織は国際糖尿病連合(IDF)。日本を含む約160の国・地域から糖尿病にかかわる組織が参加している。

 メタボリック症候群は放置すると糖尿病や心臓病などの生活習慣病につながりかねないとされ、ウエスト値は、主な指標として使われている。


IDFのウエスト基準

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 ただし、日本人は太らなくても糖尿病になりやすいなど、生活習慣病の発症には人種による違いがある。このため、IDFは主な地域や国ごとにウエスト値を設定した基準を05年春に定めた。

 このとき、日本人向けは日本の基準と同じ「男性85、女性90」だった。女性の値が男性より大きいのは日本だけで、中国などアジアの「男性90、女性80」とも違いが際だった。異論が出て、IDFは今春、新しい研究結果も踏まえて「男性90、女性80」に改めた。

 日本の基準作りに携わった松澤佑次・住友病院長によると、2月にIDF側から改訂の打診があり、拒否したが押し切られたという。改訂の中心となった国際糖尿病研究所(豪州)のポール・ジメット教授は「心臓病や糖尿病のリスクを重視する観点から見直した。詳しいデータが集まるまでは、他のアジア諸国と同様に考えたい」とする。

 日本の基準は、腹部の内臓脂肪面積が100平方センチに相当するウエスト値として「男性85、女性90」になった。ただ、この値には「決め方が厳密でない」との指摘もあった。

 松澤さんは「日本の予防医学のために作った基準なのに、海外から介入されるいわれはない。ただ議論があるのも事実で、必要ならば再検討も考えたい」と話す。

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■「前回」リンクをはった、「メタボリックシンドロームという概念に潜むリスク」にもあるとおり、「日本人男性のウエストであれば、91cmは異常で、89cmは正常というのは、便宜的な決めごとにすぎない。科学的に90cmで心筋梗塞や脳卒中のリスクが急変するわけではないことは当たり前のこと……「ウエスト91cmは注意しなくてはいけないが、89cmなら大丈夫」などという単純な考え」が、ナンセンスであるばかりでなく有害であることは、いうまでもない。

■それにしても、「女性の値が男性より大きいのは日本だけで、中国などアジアの「男性90、女性80」とも違いが際だった」というのは、いかにも はたいろがわるい(笑)。■いや、団体ごとの見解が、単に民族的な遺伝子情報上の差への見解とは別個にあるとしたら、学界全体の科学性がとわれるわけだ。
■これは、結局のところ科学者共同体内部での権力闘争であって、よりマシな疫学的健康基準なんぞではないとおもう。■そして、同時に、これらは「健康至上主義」を前提にしたブームに対する、主導権あらそいにすぎず、およそ科学者=技術者の倫理からはずれたものだろう。科学のよそおいをまとった、権力闘争は、実にみぐるしい。


■公権力が国民・住民の健康リスクについて充分な配慮・施策をおこなう必要があることは、たしかだ〔「働きすぎの時代」「不平等が健康を損なう」「転載:とてつもない健康被害が始まる」「自殺者、8年連続3万人以上をかんがえる」「卵と心筋梗塞、実は無関係だった 厚労省9万人調査(朝日)」「やせ過ぎ女性の比率の国際比較(社会実情データ図録)」「酒造各社の いいのがれ」「若い女性、終戦直後よりスリムに(朝日)」「疫学的なタバコの社会コストは、たしかにはっきりしないが…」「タクシー利用のオジサマ方は、あくまで喫煙権を主張するつもりか?」「なぜこの族議員たちは「抵抗勢力」よばわりされない?」「学生・生徒の自殺過去最悪、ってホント?」〕。
■しかし、健康至上主義は、集団ヒステリーといえるだろう〔「健康リスク軽減は至上命題か?」や「はびこる強迫的非寛容[健康]」「食育イデオロギー 1」「食育イデオロギー 2」「「ご飯持参給食」で朝食定着 弁当と一緒に朝もご飯(朝日)=食育イデオロギー3」「体育の日を強化月間みたいにしたスポーツ振興ってなに?=スポーツからみた日本社会19」「たばこ吸いたい子、6年で半減 文科省の小中高生調査2」〕。


●Wikipedia「Healthism
●「書名不当表示?=羊頭く肉論1(「医学は科学ではない」)」 
●「元気ない40?50代、男性ホルモンは60代より少なく(読売)