■「組織的ネットイナゴらの熱情の背景補論=ローコストな社会運動装置としてのウェブログ2」をはじめとする、「ネットイナゴ」論の補足。

■「サイバーストーカー」など、「サイバー犯罪」の一種として規制の対象になっているものや、そこまでいかないにしても、「ネットいじめ」のたぐいは、かなりの質・量をみせるようになったと推定される。■便宜のためにも、Wikipedia や ハテナの関連ページをリンクしておく。

【Wikipedia】
サイバー犯罪
サイバーストーカー
荒らし
炎上
いじめ動画
ネチケット
吊し上げ
ネットイナゴ

【ハテナ】
サイバーストーカー
ネットストーカー
荒らし
炎上
ネットイナゴ
■これらは、いずれも加害者にとってだけ、ローコスト/ローリスクな攻撃である点で、実に悪質だ。
■おもうに、このなかには、?しりあい関係間での通常のイジメを、オンライン上にうつしてのものと、?攻撃者が特定されないかたちで、かくれてやらかす、テロ/ストーカー的攻撃とに、大別されるとおもう。

■?前者は、ウェブ上にキャッシュなどとして記録半永久的にのこってしまうリスクを被害者が宿命的にかかえている点が深刻だ。■いわゆる「モラルハラスメント」なんだが、「社会学的密室」内部での惨劇を不特定多数に半永久的にさらしてしまうという、実にやりきれないものだ。■本来、「社会学的密室」は、内部が第三者にのぞかれない性格があったからこそ、「モラルハラスメント」や物理的暴力がくりかえされてきたわけだが、ウェブ上にさらしてしまうというのは、投稿者が特定されない偽名などをつかって、やらかすわけで、「社会学的密室」の隠微な世界が、反転して、暴露的な暴力へと変質したといえる。■つまり、「密室内での暴力の被害者」の「さらしもの」戦術という卑劣な形態。
■すくなくとも、掲示板などの管理者は、その責務を充分わきまえるしかない。



■?対して後者は、被害者が実名・匿名にかぎらず、閉鎖やウツなど精神的衝撃をあたえたと、加害者が自己満足をみたすまで、くりかえされる、特定ページへの テロ/ストーカーということができる。■こちらの本質は、鈍感さにもとづいた「しつこさ」。それが、匿名性というローコスト・ローリスクである、インターネット技術によって成立してしまった。■ある意味こまったものだが、これは、ページを公開するかぎり、完全に被害リスクをなくすことは不可能だろう。
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■重要な点は、こちらも、加害者がわが自己の暴力性に無自覚で、攻撃を正当化している点では、「モラルハラスメント」の一種だということ。■かれらにとっては、自分のかきこみの質・量が「正当」なものだという確信ないし偏執があるわけで、それは、指摘されても絶対に自覚しないだろうものである点が、頭痛のタネ。■いわゆる「ジョハリのまど」の「(他者にはバレバレなのに)無自覚な自己」にあたる〔右図=Wikipedia「ジョハリの窓」の?〕。
■最終的には、「組織的ネットイナゴらの熱情の背景補論=ローコストな社会運動装置としてのウェブログ2」でもかいたとおり、かきこみ禁止措置など「コメント欄が自由なかきこみ空間として機能しなくなる」という事態をまねきいれ、攻撃者の自己満足をある程度みたしてしまうというツケをはらってでも秩序を維持するローリスク姿勢か、果敢に攻撃に対峙するハイリスク姿勢に収斂してしまうような…。■なにしろ、かれら加害者は、自分の非を絶対に直視できず、自己正当化に終始するという性格で共通するし、おもいどおりにいったと満足できるまで、あきないだけの熱情・不安をかかえているのだから…。■サイバー空間では、かれらをつねに潜在的リスク要素として、対策をかんがえておく必要があるのだ。■その意味では、「ネチケット」など、性善説にたった倫理啓発運動だけではダメで、むしろ、サイバー上のしつこく悪質な攻撃者が残念ながら、少数でもつねに大挙したり、ずっとつきまというリスクへの技術的・倫理的護身術こそ、整備され、流通しないとまずいだろう。■加害者たちには、中途半端な時間的・精神的ユトリがあり、中途半端な知力と倫理観がそなわり、カンちがいにもとづいた正義感と熱情があるわけで、そういったものをかかえた、少数とはいえ、こまったさんたちから消滅させることなど不可能なのだから。



■秩序だった社会を理想視する層からすれば、両者とも全滅させたいところだろうが、かれらの暗躍・横行は、日本列島の自由のあかしであり、オフライン上でのストーカーや物理的テロにまでははしらせない「ガスぬき」作用をいくぶんかは、はたしているはず。■わきでてくることを前提に、性悪説で、善後策を整備していくほかあるまい。


●「ネットイナゴ」〔『塾講師のつぶやき』〕