■5回も配信されたメールマガジンを記事化できないままグズグズしている「枯葉剤機密カルテル」シリーズ。■そのまえのシリーズは、「沖縄の化学兵器」だったが、その12回には、こういったくだりがある。

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 ベトナム戦争で使われた化学兵器のひとつに、ダイオキシンを含む枯葉剤が上げられます。ベトナムの人々だけでなく、参戦国の兵士にも発ガン、奇形児誕生といった悲劇を生み続けています。その成分は245Tと24Dという有機塩素系の薬剤ですが、それらが沖縄にあったという証拠は見つかっていません。その代わり、枯葉剤の別バージョンではないかと思われる薬剤の投棄事件がありました。それはPCP(ペンタクロルフェノール)という、日本でも60年代に水田除草剤として大量に使われていた薬剤です。

 沖プライ商事が琉球政府に相談もしないまま米軍から百トンものPCPの払い下げを受け、津嘉山に野積みをしていました。70年 6月に穴を掘って埋めたのですが、国場川を汚染、たちまち魚の大量死という結果を生みました。71年 5月には北谷村の埋め立て地にドラム缶百本を埋め、5月19日には 具志頭村仲座の第一精糖のバカス(サトウキビの搾りカス)捨て揚に投棄しました。すると3日後にはたちまち小学校の子供が数人、はき気や下痢を起こし、調査の結果、水源地にPCPが投棄されていることがわかったのです。

 さらに悪いことに、これはどこかで燃やす以外にないということになって、牧港発電所でこそり燃やしたとのことでした(1971.12.26沖縄及び北方問題に関する特別委員会)。有機素系の薬剤を燃やしたのですからきっと大量のダイオキシンが発生したことでしょう。

 小平芳平(公明党)は「米軍は一体何のためにこのような大量の除草剤に使われているCPを沖繩へ持ち込んだのか。安保体制下においては日本のどこへでもこういうものを持ちむことができるのかどうか。それができるならば、このような重大事故が次から次へ発生す可能性が沖繩にも本土にも残されているということになるのですが、いかがでしょう。」と政に詰め寄りました。
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■そうしたら、きのう『なごなぐ雑記』に、「東京新聞」や「琉球新報」で枯葉剤による米軍兵士の後遺症問題をしるす文書が報じられていることが記事となった〔「米軍、沖縄で枯葉剤散布」〕。
米軍、沖縄で枯れ葉剤散布 60年代、
元兵士にがん
2007年7月8日 18時13分(東京新聞)

 【マニラ8日共同】米軍がベトナム戦争で使用した、猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を1961?62年、沖縄の米軍北部訓練場(国頭村・東村)などで散布、作業に携わった元米兵が前立腺がんの後遺症を認定されていたことが8日までに米退役軍人省の公式文書で明らかになった。米領グアム島での枯れ葉剤使用の実態調査を進めているグアム議会議員らが入手した。

 米軍が沖縄に枯れ葉剤を貯蔵していたとの指摘はこれまでもあったが、貯蔵・使用が文書で認定されたのは初めて。文書は米軍が沖縄に枯れ葉剤を集積、ベトナムへの運搬基地としていたことをうかがわせており、現在も北部訓練場などの土壌にダイオキシンが残留している可能性もある。

 同訓練場は96年の日米両政府合意で面積7800ヘクタールのうち約4000ヘクタールの返還が決まっており、今月3日には一部返還に向けた工事が始まったばかり。周辺一帯は「沖縄の水がめ」ともいわれる地域で、汚染除去問題などを契機に県民の反米感情が高まれば、米軍基地返還や移設をめぐる協議の行方にも影響を与えそうだ。



北部訓練場で枯れ葉剤 
国と米軍に事実究明要求

(琉球新報7/9 16:01)
 米軍が1961―62年に米軍北部訓練場などで猛毒のダイオキシンを含む枯れ葉剤を散布していたことが明らかになった。地元住民や環境保護団体からは散布に対する反発とともに「どの場所でどのくらい使用したのか、事実関係をはっきりすべきだ」と、県による立ち入り調査の実施や、情報公開を求める声が上がった。
 伊集盛久東村長は「事実だとしたら大変なこと。村民の健康が心配だ」と驚きを隠さない。出勤途中のラジオ放送で初めて知ったという。伊集村長は「枯れ葉剤の散布が事実だとすればゆゆしき問題だ。県民の水がめであるダムを抱える村として看過できない」と述べ、「まず事実関係をはっきりさせてもらいたい。その上で、村民を対象とした健康診断の実施を国に求めたい」と語った。
 北部訓練場の一部返還に伴うヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)移設問題で、移設予定地の同村高江の仲嶺武夫区長も「とんでもないことだ」と絶句した。仲嶺区長は「このままでは住民は不安な気持ちで日々を過ごすしかない。まず保管、使用した場所の特定をしてほしい」と事実の究明を米軍に求めた。
 沖縄環境ネットワークの真喜志好一世話人は「米軍基地の中でどのような環境汚染があるのか、県は立ち入り調査を求めるべきだ。県民の命を守る立場から、日米地位協定を変えていくべきだ」と話した。
 世界自然保護基金(WWF)ジャパン自然保護室の花輪伸一主任は「ベトナムで大量に使われた枯れ葉剤と同じものだと思われる。ベトナムではいまだに森林が回復していなかったり、高濃度の汚染がある。沖縄でも見た目にはないが、土の中に残留している可能性が高い。米軍の責任であり、日本と協力してどんな悪影響を及ぼしているのか調べないといけない」と強調した。
 沖縄平和運動センターの崎山嗣幸議長は「周辺は『沖縄の水がめ』であり、どんな形で影響しているのか分からない。現地の自然も含め、影響がどうでたのか検証、点検する必要がある」と語り「東村高江のヘリパッド移設問題なども併せ、抗議していきたい」と話した。

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■『なごなぐ雑記』の宮城氏が怒り心頭というのは、当然だ。■アメリカ政府のこういった文書が、いまさら公開されるっても、まぬけだが、でるだけマシ。■日本政府が、この手の件でなにか、自発的にだしたことがあるだろうか? 薬害エイズ問題しかり、年金問題しかり、野党がわからはげしい追及をうけて、しぶしぶ過去を検証したら、ものすごい大問題といった事態はあっても、こと沖縄に関しては、沖縄選出議員や野党議員が資料をつきつけても、ウヤムヤが大半で、時間切れ→忘却というパターンを何度くりかえしたか?

■再三かいてきたとおり、日米安全保障条約によって、「核の傘」にまもられているといった幻想はすてが方がいい。■連中は、日本の用心棒のようなフリをしているが、カネと場所が確保できれば、どこでもいいわけだし、地政学的な意義でいえば、オーストラリアで現在の機能は充分といわれている。■どこに基地機能が移動しようと、日本をまもることなど二の次で、単に中東に出撃するときの、後方支援の道具でしかない。というか、以前もかいたとおり、日本列島を防衛するってのは、単に米軍基地を護持するってことであって、盟友ニホンなんてのは、外交辞令だ。
■これでもまだ、久間氏のように、原爆は共産化防止のための必要悪だった発言のような論理で安保体制を擁護していると、巨大なリスク要因である米軍組織=巨大迷惑施設である米軍基地が、いずれ日本列島全域に災厄をもたらすだろう。■「対岸の火事」視している読者は、典型的なオキナワ差別の実践者であることを、自覚すべきだ。「自分には火の粉がふってこないヨソに迷惑施設をおいて、その利己主義に良心の呵責を感じない」という意味でね。

maxiさんのウェブログ『沖縄・辺野古海上基地の問題を中心に maxi's_page 』は、おそらく辺野古の騒動の余波で、この件についてはふれていないが、そのうち記事になるだろう。


●「トラックバック・ピープル 安倍晋三