■「脳力トレーナー」という、ゲーム機が異例のうれゆきとか、いわゆる「脳(力訓練)ゲー(ム)」が、近年はやっているらしい。■先日も、コンピューター・ゲーム機のタッチパネル専用ペンで、必死に「かきこみ」をくりかえしているオジサマをみかけて、びっくりさせられた…
と、かきかけて、ちょうど半年放っておいた原稿(笑)。もったいないので、蘇生させることにした。
■きっかけは、bananaさんの記事「17万円か、19万円か」もふれているとおり、『朝日』の土曜版「be」の「フロントランナー」に、あの川島隆太先生がとりあげられたからだ。■「「脳を鍛える」のゲームソフトは、続編の「もっと脳を鍛える」と合わせて1200万本も売れている(3月末時点)。その監修料をはじめ、昨年度は15社から約10億円のロイヤルティーが支払われ、うち4億4000万円が研究室に下りてきた。その半分、2億2000万円を個人の収入にできる規定があるにもかかわらず、それを放棄して全額を研究費に。3億円をかけて研究棟を完成させたばかり。さらにもう一つ、4億5000万円の研究棟を今年中に建てるつもりだ。」と、実に景気のいいはなし。
■ただね。以前からこの問題について、疑問を感じていたんだが〔実際に、ハマるほどやらないで、説明だけでかくのも無責任だが〕、ホントに効果があるんだろうかね?
「…前頭前野を使って考えている。創造する力も…
 この前頭前野が、文章の「音読」と単純な数の「計算」で活性化することがわかった。これに着目して最初に商品化されたのが「脳を鍛える大人の計算ドリル」(くもん出版)であり、後にブームとなるのが脳トレゲーム
」というんだが、ホントかね?

■「認知症の高齢者5000人以上に毎日10?15分間、ひらがなを拾い読みしたり、数を数えたりする学習をしてもらったところ、約20人の寝たきりの方が起きられるようになり、2、3割の方がおむつを外すことができました」という実証データは科学的なものなんだろう。■しかし「数や文字を扱う行為が前頭前野を活性化させるだけでなく、子どもたちの前頭前野の成長を促すとしたら、どうでしょうか。学校での勉強について、知恵や知識の継承という本来の意味に加えて、さらに大きな意味を見いだすことができます」ってのは、類推であり、願望だよね。■仮説を検証できたんならいいんだが、川島先生のくちぶりは、高齢者以外には適用できるという客観的データがそろっていないことを、うかがわせる。

■とするとだね。高齢者が「脳力訓練ゲーム」にハマって大規模市場になったってハナシはきかないんで、どうみても、オジサマがたのブームでしょ?■立証できないトレーニング効果をうたうゲームの監修者としてロイヤルティーをえたってのは、知的な詐欺商法じゃないかね?■だって、脳科学の権威ってことで、川島先生うりだされたわけだし、それなしで、ゲーム機がバカうれしただろうか?■ビリーズブートキャンプのトレーナー ビリー・ブランクス氏が、「陸軍の新兵インストラクターとしての経験」というウリが権威になっているようにね。


■研究費のタシにしました。それは、おめでたいこと。しかし、その集金作業は、科学者として、うしろめたいところが、カケラもないんだろうか?■科学が、イカサマや宗教や依存症でなく、検証可能な知の誠実性であるとしたら、浄財でない資金で科学が促進されるってのは、軍事科学と同質のいかがわしさをかぎとってしまうんだが、単なる貧乏人のヤッカミだろうか。