■昨年の沖縄県知事選で現知事にやぶれた糸数さんが、参議院選挙でかえりざいた。■まずは、全国紙『読売』『朝日』両紙の報道を。

糸数氏が2度目の当選、
自民現職・西銘氏下す…沖縄

 沖縄選挙区(改選定数1)では、前参院議員の糸数慶子氏(59)(無所属=民主・共産・社民・国民新推薦)が、現職の西銘順志郎氏(57)(自民=公明推薦)を破り、2度目の当選を果たした。

 糸数氏は、米海兵隊普天間飛行場の県内移設反対を訴えたほか、年金記録漏れ問題などで与党批判を展開。この3年で全県選挙が3度目という知名度の高さに加え、文部科学省が沖縄戦での集団自決の記述を修正した教科書検定問題も追い風となり、昨年11月の知事選、今年4月の参院補選と続いた野党候補の連敗に歯止めをかけた。

 西銘氏は、経済界や仲井真弘多知事の全面的な支援を受け、徹底した組織選挙を展開したが、1期目の実績のアピールが最後まで浸透せず、与党への逆風も克服できなかった。


(2007年7月29日21時24分 読売新聞)


野党推薦の糸数慶子氏が当選 
沖縄選挙区

2007年07月30日00時44分

 沖縄選挙区で野党が推す無所属元職の糸数慶子氏(59)が、自民前職の西銘順志郎氏(57)を退け、当選した。

当選を確実にし、カチャーシーを踊って喜ぶ
糸数慶子氏=29日午後9時8分、那覇市で
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 糸数氏は沖縄社会大衆党副委員長。県議から転じて04年の参院選で当選したが、06年の沖縄県知事選に出馬して落選した。今回は民主、共産、社民、国民新の各党の推薦を得て、各党支持層への浸透を図った。

 沖縄戦での住民の集団自決を巡る記述から「日本軍の強制」が削られた教科書検定に関しては、反対の立場だった。

■当然、くわしい報道は地元紙。『琉球新報』の記事から〔図像省略〕。

参院選沖縄選挙区 
糸数氏、返り咲き

 29日投開票された参院選沖縄選挙区(改選1議席)は、社大党副委員長の元職・糸数慶子氏(59)=無所属、社民、社大、共産、民主、国民新党推薦=が県内選挙で過去最多の37万6460票を獲得、自民党県連会長の前職・西銘順志郎氏(57)=自民公認、公明推薦=に12万7324票の圧倒的大差をつけて当選し、参院議員に返り咲いた。
 野党勢力は沖縄選挙区で失った議席を奪還。与党が勝利した県知事選、参院補選の雪辱を果たした。
 糸数氏は「沖縄から政治の流れを変え、平和の1議席を取り戻す」と訴え、年金制度の抜本改革、消費税率引き上げ反対、現行憲法堅持、県内への新基地建設反対などを公約に掲げ支持を得た。高い知名度に加え、年金記録不備問題、高校歴史教科書検定問題などが追い風となり、序盤から先行。野党の基盤に加え、無党派層や一部保守支持層にも支持を広げた。
 糸数氏は2004年参院選に続いて2回目の当選。
 西銘氏は自民、公明の基礎票を固め、期日前投票への取り組みなどで追い上げたが、政府与党への全国的な逆風の中で、自公、経済界の組織力を十分に発揮できないままに運動が上滑り。無党派層の支持を集めることができなかった。
 投票率は60・32%で、前回3年前の54・24%よりも6・08ポイント、今年4月の参院補選の47・81%よりも12・51ポイント、それぞれ上昇した。
 当日有権者数(在外含む)は105万2247人(男性51万1539人、女性54万708人)だった。

県民の思い強く訴える/糸数慶子氏の話

 歴史教科書改ざんは、正しく沖縄の歴史を伝えるためにもきちっと撤回してもらう。平和憲法を守り、名護市辺野古にも東村高江にも沖縄に新たな基地は造らせない。経済、農業の問題も県民の思いを国会内外で強く訴える。


(7/30 9:44)

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■与党がわは、昨年の仲井真弘多知事誕生で、普天間飛行場移転=辺野古沖案でおしきれるだろうと、ふんだだろう。

…防衛庁長官の久間章生は11月23日、もしも糸数が当選していた場合、「法律を作ってでも、一方的に県知事の(公有水面の)使用権限を国に移してでも、やらなければいけないと考えていた。もし負けたら、力づくででもこっちはやるんだという腹を持っていた」と述べた。基地移設には公有水面埋立法に基づき知事の許可が必要だが、移設反対派が勝った場合、強硬手段によって(『読売新聞』11月24日号によると、特別措置法を制定し、知事の許認可権を中央政府に移す予定であった)ことを進める方針だった…


■しかし、もし「民意」のどちらが多数かというなら、13万票弱という大差=3:2という得票率は、一目瞭然だろう。■糸数さんの知事選敗退については、きびしいことをかいたが、与党がわが、政府の意向をうけて強引に基地建設をすすめることは、それほどたやすいことではなくなったことは事実。■すくなくとも、「基地より経済」などと、しったかぶりをして論評した連中は猛省すべきだろう。
■反基地だけで日常の生活がまわらないのは当然。しかし、イデオロギーぬきで、沖縄戦の記憶と継承が、米軍基地の圧倒的集中という差別的現実でとぎれないという政治的事実を直視しないのは、単なる政治屋の視線であり、植民地主義者の発想にほかならない。■ま、現実を直視できない保守層は、『琉球新報』や『沖縄タイムス』を左翼の洗脳装置だのといった、県外でしか通用しないネガティブ・キャンペーンをくりかえすだろうが。

●「トラックバック・ピープル 安倍晋三」