■前便・前々便の関連記事。■「検閲機関としての文部科学省」シリーズの一環。前回は「慙愧に耐えない(なごなぐ雑記)=検閲機関としての文部科学省13

2007年7月30日(月) 朝刊23面

「集団自決」修正/全国地理研も決議
 地理教育研究会は二十八日、石川県金沢市で行った第四十六回全国大会で「沖縄戦の教科書記述に対する不当な検定の撤回を要求する決議」を了承した。同会は全国の小・中・高校・大学の地理教育研究者が参加している。
 決議は、高校歴史教科書の沖縄戦記述から「集団自決(強制集団死)」への軍関与が削除されたことを、「歴史的事実の抹消」と糾弾。四月以降の、県内全市町村議会や県議会の二回にわたる検定撤回を求める決議にも触れ、速やかな検定結果の撤回を求め、住民虐殺・「集団自決」記述の恒常化を要求している。

 大阪地裁で行われている岩波・大江裁判にも言及し、九月十日、渡嘉敷の「集団自決」生存者・金城重明氏の証言のために福岡高裁那覇支部で開かれる出張法廷の審理を公開するよう大阪地裁に求めている。

 決議は文科省や大阪地裁などに送付する予定。

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■せっかくだけど、表題は、少々まずいとおもう。■石川県で第46回全国大会をひらいたのは、「地理教育研究会(地教研)」であって、「全国地理教育研究会」とは、別組織のはず。
■たしかに「全国地理教育研究会とは、日本全国の地理教育に興味関心のある人々が集まっている会です。会員の多くは小・中・高校の教員で構成されています」ってのと、「地理教育研究会というと、学校の先生だけの集まりのように思われます、確かに小・中・高・大学の先生が多いのですが、最近では魅力に惹かれて、大学生・一般の女性の参加も増えています」というのは、「全国」という名称の有無だけで、異様ににているけどね(笑)。
■ハラナは完全に「業界」外なので、よくしらんけど、「全国地理教育研究会」がトップページで

リンク集

・他学会関係
  日本地理学会
  日本地理教育学会
  千葉地理学会
  経済地理学会
  地学団体研究会
  日本環境学会
  日本沙漠学会
  地理科学学会
  日本地形学連合
  日本学術会議
  日本林学会
  日本地質学会
  日本水文科学会
  活断層研究会
  日本火山学会

と、かなり中立的な関係の全国学会しかあげず、酷似した「地理教育研究会」にいっさいふれないのは、友好関係にないということ。両方とも、ものすごくにた趣旨・会員層なのに、不気味なほど たがいに無視しあっているのは不自然だから。■同様・同格の組織としてブランド的にライバル関係にあるとか、過去に党派的ないし個人的な組織対立で分裂したとかいうより、「全国……」が「政治的なことをさける」という、政治的組織だという可能性をうたがわせる。■それが証拠に、
平成17年度第50回全国地理教育研究会」の後援は、「文部科学省・東京都教育委員会(予定)」とあり、そればかりか
講演A 水嶋一雄氏 日本大学教授
発展途上国の農山村における持続的発展を考える
?パミール高原およびインダス川支流フンザ渓谷に居住するワヒ族を事例に?

講演B 吉開 潔氏 文部科学省初等中等教育局教科調査官
国の教育行政の動向とこれからの地理教育

とある。■「集団自決」問題で決議をあげるような団体、文部科学省の教科書検定=政府見解に異をとなえるような団体が、「教科調査官」をよんで講演させるってのは、異様な事態だよ(笑)。■「全国……」の方は、政府より都道府県教育委員会よりの団体なのだとおもわれる。

■はっきりいって、まちがえられた双方とも、迷惑しているんじゃないか? すくなくとも、「全国……」の方は、抗議文でもおくりそうだね(笑)。■ちゃんとしらべようね。


■それはさておき、「集団自決命令」否定派の議論が自己破綻をきたしている事実を、一例あげておこう。Wikipediaの「 自決命令を否定する意見」の一節である。

慶良間では元々乏しかった食糧を日本軍に独占されたため住民や末端の兵士が飢餓に陥り、追い詰められて集団自殺を決行したとの指摘もある。事実、赤松隊の朝鮮人軍夫は住民より食料を強奪していたといわれる。獣肉については、赤松の部下らは、比較的捕獲の容易な鳥、豚などは村民に残し、既に放し飼いとなっており捕獲の難しかった牛のみを赤松隊が徴発するという協定を結んだとしているが、当時、渡嘉敷村長だった古波蔵惟好の個人的手記には「赤松は村民へ家畜の捕獲禁止を命じて、軍夫を駆使して牛や山羊を徴発していた。(中略)蛆のわいた山羊の頭部のみを村民に食料として後日渡された」といった記述がある(いずれも前述の『ある神話の背景』より)。また、守備隊長の赤松大尉は8月末に降伏して捕虜となったが、アメリカ軍の取り調べに対し「(食糧は)あと10年は保てた」と豪語していたという(『日米最後の戦闘』米軍陸軍省編・外間正四郎訳)。 ひめゆり学徒の証言の中には「『まだ若いのだから無駄死にすることはない』と逃がしてくれた」「突然『出ていけ、叩っ切るぞ!』と軍刀を振り回して追い出されたが、その直後に兵隊だけが手榴弾で自決した」というものもある。

■これらの証言やら記述が妥当だとしよう。■要するに、曽野綾子氏はみずから、赤松隊長が、朝鮮人軍夫に一番うすぎたない徴発作業をやらせ、住民を飢餓・集団自殺においこむほど収奪したことをみとめているわけだ。しかもその結果が10年しのげるほどの質・量だというのが、かりにホラだったにしても、住民収奪がまさに鬼畜だったことを立証しているようなものだ。■つまりは、文書などによる「自決命令」はもちろん、下士官らによる明言などまつまでもなく、いずれ全員餓死するほかないような絶望的な状況にまで収奪して、自分たち「守備隊」だけ最後までいきのころうとしたという、まさに日本軍の現地調達主義=醜悪さの典型例だったことを意味している
(それにしても「守備隊」という呼称は むなしいというより、『1984年』のニュースピーク的醜悪なジョークとしかおもえない。)。
■証拠として、これは、「2007年7月30日 (月) 00:12」の版をはりつけてあるが、「自決命令を否定する意見」派が、これらの記述を容認していることは非常に重大だ。かれらにとっては、「自決命令」という形式だけが重要で、住民の苦境をもたらした日本軍の戦争犯罪など、毛頭関心がないという、おどろくべき倫理水準であるという証拠だからだ。
■こういった連中による、守備隊の名誉だの、国家のほこりだの、そういった倫理水準につきあうのは、ヘドがでそうだ。こういったやからと訴訟をやらねばならないひとびとの心身の消耗は、いかばかりかとおもう。■そうして、こういった連中のかたをもった国家権力というのは、結局のところ、「日本国は住民にさほどむごいことはしなかった」という神話を、一所懸命つむぎ定着させようと、公教育現場を洗脳の空間と位置づけ、その自覚がおそらくなく、日々、沖縄戦の被害者・遺族関係者の尊厳をふみにじるのである。■『ある神話の背景』という表題は、まさに連中の妄想とその知的・政治的背景にこそふさわしい。
■なんという、「美しくない国」か!


●「トラックバック・ピープル 安倍晋三