■前便のつづき。というか、前便の前提をくつがえすような報道。■『読売』から。

柏崎刈羽原発の揺れ、
想定の2.5倍…最大2058ガル

 新潟県中越沖地震で被災した東京電力柏崎刈羽原子力発電所内のほとんどの建物で、設計時の最大想定値を大きく上回る揺れを観測したことが30日、東電が発表した解析結果で分かった。

 3号機のタービン建屋では、最大加速度2058ガルという最大級の揺れを記録していた。稼働再開に向け、想定の上方修正を迫られるのは必至だ。

 柏崎刈羽原発の建物や敷地内には97台の地震計が設置されている。東電によると、最大680ガルを記録した原子炉本体のある原子炉建屋だけでなく、ほとんどの建物での揺れが、想定を上回った。3号機タービン建屋1階で観測された東西方向の2058ガルは、想定値(834ガル)の約2・5倍。東電は「原発でこれほどの揺れが観測されたのは、恐らく初めて」という。
 新型の地震計33台では、地震波の波形データも得られた。これに基づき、各原子炉建屋での揺れを詳細に解析したところ、建屋内の機器などほとんどすべての構造物の揺れが、想定を上回ったことも判明した。1?4号機建屋の方が、5?7号機に比べ、揺れが大きかったことも分かった。

 原子炉の圧力容器や、緊急炉心冷却装置などの最重要機器は、設計強度に余裕を持たせてあるため、想定を上回る揺れがあっても、ただちに破損するわけではない。また、分析の結果、強い揺れをもたらした地震波が、1?7号機とも、周期0・5?1秒の間に集中しており、原子炉が共振しやすい周期はもっと短いため、大きな被害が避けられた可能性もある。

 東京大学地震研究所の纐纈一起(こうけつかずき)教授は、2058ガルの揺れについて「周辺地域の活断層評価が十分でなく、未知の活断層による揺れの予測が甘かった」と話している。

(2007年7月30日22時2分 読売新聞)

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■「直下に断層の柏崎刈羽原発 専門家「危険性過小評価」 (ニュース:イザ!)」という先日の記事で、つぎのようにかいた。

地元の感情などに配慮し、平成17年12月から自主的に配管の補強や地盤改良などの耐震性向上工事を開始。東海地震の想定地震動を従来の600ガルから1000ガルに引き上げ、中央防災会議が想定する同地震の揺れ(395ガル)の2、3倍の揺れにも耐えられるよう22年度までに全5基で工事を終える予定だ。
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■22年度って、2010年度ってこと? ずいぶんと、のんびりだね。■それまで、大地震はこないってか? ■そりゃ、願望の産物でしょ?
■それと、これまで地震規模は、再三想定規模をのりこえてきた。つまりは「想定外」ばかり。1000ガルで大丈夫な根拠は?



■この文章をよんだひとの大半は、地震学のズブのしろうとのハラナが、また不安をあおるだけの記事をかきちらしていると、せせらわらっていたはずだ。■しかし、実際には「想定値(834ガル)の約2・5倍」どころか、原子力工学の専門家が充分すぎるほどのユトリをみた1000ガルの2倍以上という、「想定外」どころか、想定の根拠をせせらわらわれるような現実にみまわれていたということが判明したわけだ。■この事実は、これまで、当局(政府・電力各社)を痛烈に批判してきたつもりのハラナさえも当惑させるものだ。■なぜなら、当局があまりに正直に、「想定」のあまさというか、根拠のなさを白状してしまったということ。『読売』が『朝日』などとはちがって、あきらかに原発行政にあまく、積極推進派に属するメディアであって、つごうのわるい情報は極力ふせる体質をかかえているとイメージしてきたこと。これらを根底からくつがえすような「正直さ」に、あぜんとさせられるからだ。
■「原発不可欠論」にたってきたはずの当局がここまで、みずからのシミュレーションの破綻を臆面もなく白状しているというのは、これは、もはや責任をせおいきれないという、逃走態勢なんじゃないだろうか? ■「「想定外」の大事故(その3)」でも引用したとおり、


……
 東海地震は、陸のプレート(岩板)とその下に潜り込むフィリピン海プレートの境界で発生するが、特に強く密着している部分をアスペリティーと呼ぶ。強い揺れを引き起こし、その位置は被害想定にも影響する。国の中央防災会議の専門調査会が東海地震の想定に使った震源モデルでは、浜名湖付近など6カ所に置いたが、浜岡原発直下には想定していない。

 シンポの発表は、このモデルから新手法で予測した結果、浜岡原発での揺れの加速度は、同原発の耐震設計に用いた600ガルを下回るとの内容だった。研究者ら約100人が見守る中、発表した担当者は質問に「(アスペリティーの位置については)専門調査会の議論で根拠は示されている」と言葉少なに答えた。

 国の想定では、浜岡付近の揺れは395ガルだが、アスペリティー直上の地域は1000ガル近くに達するとの結果が出ている。中部電力はアスペリティーの位置について、「国の想定した場所以外にはないだろうと考えている」と説明する。

 しかし、専門調査会の委員を務めた入倉孝次郎・京都大副学長は「これしかないとは思っていない。中部電力にも、アスペリティーをより近くに置いてみるなど、浜岡原発に影響が大きい置き方を検討する必要があると申し上げている。想定は特定の地点の防災を考えたものではなく、中部電力が自ら計算すべきだ」と指摘している。

 中部電力は今年1月、突然、浜岡原発を1000ガルまで耐えられるよう耐震補強すると発表した。屋内機器基礎部の改造などで、同社は「安心感を高めるために補強実施を決めた」と説明する。

 だが、1000ガル以上の地震が発生しない保証はない。社民党の福島瑞穂党首の質問主意書を受け、政府が03年11月に出した答弁書によると、03年5月に宮城県沖で発生したM7・1の地震では、同県牡鹿町(現石巻市)で1112ガルを記録。同社も「(1000ガルを超える地震が起きないかどうかは)分からない」という。
……


■東海地震は、ほかの活断層などによる地震とは規模が全然ことなる大地震と想定されているはずだった。■しかし、中部電力などの想定している規模は、てんではなしにならないことが明白になってしまった。
■かれらは、やはり「当事者能力」を充分もちあわせていないのである。■しろうとが極論するのは、かれらを刺激するだけだろうが、単なる「専門バカ」であって、自分たちのシミュレーション(想定)能力を、おろかにも過大評価しているか、コケおどしの自己像をしろうとに信じこませようと画策する悪意にみちた連中であるとしかおもえない。■当事者のかたで、まっとうな神経をおもちなら、正々堂々と匿名でよいから反論されたい。しろうとにここまでいわれて、冷静な当事者はいないはずだとおもうし。
■しかし、いいわけするわけではないが、これまで、説明責任をおこたってきたのは、「専門家」と「行政」「電力各社」である。

■『週刊現代』や『週刊ポスト』に掲載された専門家の恐怖のシミュレーションを科学的に自信をもって反証・論破できる当事者がいるなら、われわれを安心させてほしい。