■前便とかぶる記事。『朝日』から。

原発で最大揺れ2058ガル 
柏崎刈羽3号機
2007年07月31日00時03分(asahi.com)

3号機の原子炉建屋基礎上の加速度
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 新潟県中越沖地震に見舞われた柏崎刈羽原発について、東京電力は30日、本震の揺れをきちんと記録できた33台の地震計のデータ解析結果を公表し、3号機で2058ガル(ガルは加速度の単位で、1ガルは1秒間に秒速1センチの加速)の揺れが観測されていたことを明らかにした。原発で確認された地震の揺れとしては国内最大で、世界でも最大ではないかという。1号機で建設時に想定した6.8倍の揺れが確認されるなど、地震想定の甘さがはっきりした。
 公表したのは97台ある地震計のデータのうち、回路異常で記録がない1台を除く96台の最大加速度値と、33台の波形データ。残り63台はデータ上書きで最大加速度値以外の本震波形データが失われており、うち9台は最大加速度値も上限1000ガルで振り切れていた

 波形データから東西方向に最大2058ガルの揺れがあったとわかったのは、3号機のタービン建屋1階にあるタービンを載せる台上の地震計。設計時の想定834ガルの2.5倍だった。

 1号機タービン建屋1階では想定(274ガル)の6.8倍、1862ガルの揺れがあった。地震直後に公表された原子炉建屋最下階(地下5階)では680ガルが最大。タービン建屋は約40メートル上にあり、揺れがより大きかった。

 地震波の周期ごとの分析では、1?7全号機でほとんどすべての周期帯で想定を超えた(グラフは3号機原子炉建屋基礎上でのデータ)。2?5号機では、放射能漏れなどにつながる原子炉圧力容器や燃料集合体、主要配管など重要機器の損傷を招きかねない周期帯(周期0.1?0.5秒程度)でも超えていた

 破損した6号機の天井クレーンに最も近い地震計では上下方向に重力加速度980ガルを上回る1541ガルを記録。最大の揺れを受けて一瞬、浮いた可能性があるが、落下止めが効き大事には至らなかったという。

 東電原子力設備管理部の森下日出喜部長は「地震の想定が甘かったと言われても仕方ない」と話し、経済産業省原子力安全・保安院の森山善範・原子力発電安全審査課長は「今後、耐震補強工事が必要か、検討したい」と述べた。

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■前便とかぶるが、「専門家」「当局」の「想定」は全然信用ならない。■原発行政に批判的な市民運動は、総じて「左翼的」として、異端視されてきたが、なんのことはない、悲観的なシミュレーションをくりかえしてきた一部の専門家の想定こそ妥当だったという、実にみもふたもない現実。■極端な想定をもとに、「あげあしとり」しかしない左派の極論と、こばかにしてきた当局は、一体なにをもうしひらきするのだろう。「安全神話」を自信たっぷりにかったて地域住民に「迷惑施設」受容をのみこませてきた論拠はどこにいったのだろう?■「地震の想定が甘かったと言われても仕方ない」などと、気弱なことをくちばしらず、しっかり責任をとるべきだ。

■それにしても、おどろくのは、1000ガルを最大限にみつもっていた連中の想定のあまさが、数値で立証されたこと=想定の完璧な反証であり、それを正直に白状するほかなくなった事態だ。■ようやく1000ガルに耐震基準をあげたといかいう浜岡原発ちかくておきるとされる東海地震が、中越沖地震よりちいさいはずがない。ということは、2000ガルをおおきくうわまわる、いや「絶対安全」とかいった想定をするなら、3000ガルとかいった水準で耐震基準をくまねばならないはずだ。■最近は「絶対はない」といった統計学的なリスク計算をやっているとかだが、かれらの「想定」とやらが、1万年に1度とかいう頻度のはずなのに、大震災がおきたりと、さっぱり信用がおけない。■要するに、「絶対」も「確率論」も、どちらも、技術的な確信がもてない巨大施設を地域におしつけ、結局は大消費地である大都市住民の安全も保証できないという、ていたらくなことは、ほぼ確実だ。