■『なごなぐ雑記』のきのうおとといの記事「条件付賛成の期待しもの」は、冒頭から格調たかい文章なのだが割愛。

1995年の少女暴行事件に端を発して、日本政府が沖縄にとった政策に、基地所在市町村活性化特別事業(通称:島田懇談会事業)がある。10年で1千億円の予算を投下して、従来の公共事業ではない非公共事業が行なわれた。座長の島田晴雄がいみじくも宣言しているように、非公共事業の事業主体は市町村だが、その「事業の成否は市場が決める」というものである。ある意味、「新自由主義」地方政策の実験といっていいだろう。

名護のような田舎の土建屋さんを中心とする地域ボスたちは、自民党の地方バラマキ政策に期待して政権党を支持してきた。市民投票時の、「経済効果に期待できるので賛成」などという条件付賛成の項目も、まさにその期待の表出である。

しかし、実際に行なわれているのは、それまでのようなバラマキ公共事業ではなく、新自由主義的な論理による経済政策である。
先にあげた島田懇談会事業や「北部振興策」という補助事業制度で、名護につくられたものは、「金融特区」への誘致企業に安価で入居していただくためのハコモノである。
名護市在住の生活者や失業者が欲している、就業の場としては敷居の高い金融ビジネス企業のために、税金を使ってビルを建てて安価で入居していただく。市が企業誘致のためにつくったパンフレットでは、「低廉な労働力供給」がうたわれている。

名護市の地域ボスたちに、名護市の将来ビジョンがどのように描かれているのかわからないが、大いなるミスマッチが生じている。

自民党が金科玉条のごとく掲げる「改革」なるものの実態を、私たちはしっかり見据え判断しなければならない。名護市の地域ボスたちは、「新自由主義」の権化と化した自民党を単なる馴れ合いで支持し続ける。地域ボスたちだけが、しっぺがえしを喰らうなら自業自得でしかないが、大勢の市民や生活者、子どもやお年寄りが、巻き添えになっていく。

10年前の市民投票で「条件付賛成」をしていた方々が目指していたゴールは、10年も同じままあるわけがない。それは変質し、「期待」していたものは雲散霧消している。それでもなお人々は幻影を追いかけ、止まることができない。「経済効果」という言葉は、ハーメルンの笛の音のように、名護市民の耳の奥でいまも響き続けているのだろう。

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自民党が小泉カイカクで、完全に新自由主義を進めるしか能の無い党にぶっ壊れてしまった。新自由主義を提唱していた小沢氏が、いまは民主党で新自由主義に対抗する政策を打ちたて国民に信を問う。政治のダイナミズムは面白い。
アベは「カイカク」を推し進めるというが、彼に自分で言っている「カイカク」の中身がわかっているという知性は感じられない。場の空気を読むのだって、少なからず知性は必要である。KYとはよくいったものである。

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■通称「島田懇」については、以前文章をかいた「依存性薬物としての補助金」。■ひさしぶりに よみかえしたら、こんなことかいてる。

■そして、おなじウェブログでは、つぎのようなコメントも、のっている。

島田晴雄慶応大学教授を座長とする「沖縄米軍基地所在市町村に関する懇談会」が「米軍基地所在市町村」に基地に依存する体質を植えつけています。座長が政治家ではなく大学教授というところがミソです。麻薬を麻薬と見えないようにうまくカモフラージュする役割を大学教授が果たしています。そもそも基地がなければ「跡地利用のメリットなど」も存在しないのです。

■これは、『琉球新報』の ウェブ版では、省略されてしまっているが、この『maxi's_page』では、新聞紙面の図像が拡大されて、よめる。■で、この 島田センセってのは、あの「有名」なひとだ(笑)。■この、俗称「島田懇」ってのが、沖縄でも 「土木開発」行政として、猛威をふるっているわけだ。この 関係者のあいだでは、悪名たかい「島田懇」の 罪業については、宮城康博さんというかたの「炭鉱のカナリヤ 「島田懇談会」事業批判」が、まとまっているとおもう。2000年9月と、いささか、まえの文章だが、依然ふるくなっていない。■関係当局の お役人には、写経してよんでもらいたい文章だ。

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■『maxi's_page』のかきては、もちろん、あのmaxiさん。でもって、もっとおどろきなのは、「宮城康博さんというかた」は、『なごなぐ雑記』の宮城さんだということ(笑)。■プロフィールよんどきながら、みのがしてた。

■それはともかく、経済は新自由主義、国家論的には新保守主義と、ぬえのようなBushabism。■ふりまわされるのは、自衛力をもたない中層以下のひとびと。ナチズムやボナパルティズム同様、からまわりしている大衆の「期待」を一心にになって「改革」をうたうわけだから、始末がわるい。■当然、もっともよわい層が直撃をうける。
■そうかんがえると、大状況がよくよめているはずの、審議委員とかの常連すじの大学のセンセたちってのは、最低の連中だよね。平気でデタラメをくちにして、研究者としてのほこりなんぞないらしいし、大事なのは政権と密接でいろいろ役得があることとか、あやしげ研究者間でのはぶりというか政治力が維持できることのようだから。
■もちろん、そういった御用学者を動員する官僚とか政治家は、もっとたちがわるいけどさ。


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