「佐藤元1佐の「駆け付け警護」発言は人間として正しい」という、こまった「論理」」の続編。■そこでも「でるだろうなとおもっていたら、やっぱりでた(笑)。」とかいたが、やっぱりでたね。『読売』の先日の社説。

平和協力活動 
自衛隊の武器使用を国際標準に
(8月21日付・読売社説)
 世界の常識からかけ離れた自衛隊の武器使用基準を改めるため、具体的な一歩を踏み出す時ではないか。

 近くの他国部隊が襲われた際に、自衛隊が援護する「駆け付け警護」を可能にすべきだ――。国際平和協力活動での武器使用問題で、政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の大勢を占めた意見である。

 「駆け付け警護」は、現在の政府の憲法解釈では認められていない。正当防衛や緊急避難以外の武器使用は、自己保存のための自然権的権利の範囲を超え、憲法の禁じる武力行使に当たる恐れがある、という理由によるものだ。

 だが、そもそも憲法が禁じているのは、「国際紛争を解決する手段」としての武力行使だ。国際共同行動における限定的な武器使用は、全く次元が違う。
 この問題は、陸上自衛隊のイラク派遣の際に何度も指摘された。隣で活動するオランダ軍が襲われ、応援要請された場合、友軍を見捨てるのか、超法規的措置で助けるのか。そうした事態は幸いなかったが、発生していれば、指揮官は極めて難しい判断を迫られていたはずだ。

 懇談会では、「任務遂行のための武器使用」についても容認論が相次いだ。

 現行法では、陸自が水や食料を輸送中、武装勢力が道路を封鎖していた場合、陸自は警告射撃さえできず、輸送ルートを変更しなければならない。海上自衛隊の船舶検査でも、不審船が検査を拒否して逃走した場合、警告射撃もできず、他国の艦船に応援を求めるしかない。

 これでは効果的な活動は望めない。

 武器使用基準を緩和し、国連平和維持活動(PKO)で認められている国際標準に合わせて、任務遂行のための使用を認めるべきだ。自衛隊の海外派遣に関する恒久法の整備の必要性が一層、増しているが、武器使用基準の緩和なしには、実効ある法律は出来ない。

 民主党は参院選公約に「国連の平和活動に積極的に参加」を掲げた。小沢代表は長年、国連の「集団安全保障」の下での自衛隊の活動は武力行使に当たらないとしてきた。武器使用基準を国際標準とすることに異論はないはずだ。政府・与党に、そう提案してはどうか。

 参院選での与党惨敗で、懇談会が検討している集団的自衛権の憲法解釈の変更は難しくなった、という見方がある。公明党は反対姿勢を強めている。野党が参院の多数を占める中、解釈変更に伴う新たな法整備は、簡単ではない。

 しかし、有識者の懇談会は政治情勢に左右されることなく、議論を粛々と深め、質の高い報告書を策定してほしい。

(2007年8月21日1時53分 読売新聞)

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■『読売』の論説委員の先生方は、論点を百も承知でおかきだろうが、この佐藤議員の発言の問題性は、「隣で活動するオランダ軍が襲われ、応援要請された場合、友軍を見捨てるのか、超法規的措置で助けるのか」といった点にはない。■「「情報収集の名目で現場に駆けつけ、あえて巻き込まれる」というやりくち」なんだよね。全然別ものじゃん…。■この区別がつかないなら、この問題を論じる能力なしというほかないし、重々わかっていて、シャアシャアとかいているんなら、卑劣そのもの。あきらかに、批判精神がよわい層をダマしにかかっている、洗脳集団。


■ちなみに、「でるだろうなとおもっていたら、やっぱりでた」のは、「これは大筋で読売が正しいとしか言えない現実があるのだが、たぶん、どうにもならないだろう。ってなことを書くだけでまた頓珍漢な攻撃くらいそう」といったコメント。■批判精神旺盛・博識だと自他ともに確信しきってしまっている御仁たちの、批判性欠如はこわい。


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