■厚生労働省が、ようやくネットカフェ難民実態調査にのりだした。■『朝日』の関連記事から。

「将来不安、3時間しか眠れず」 
ネットカフェ難民

2007年08月28日

 実態が把握しにくいネットカフェで、事実上ホームレス状態の新たな貧困層が確実に広がっていた。厚生労働省の「ネットカフェ難民」実態調査が示した深刻な結果に、専門家からは早急な対策を求める声が相次いだ。

 「将来が不安で、毎晩3時間ほどしか眠れなかった」。6月まで、東京・浅草や池袋のネットカフェで寝泊まりしていた男性(40)は振り返る。

 地元に仕事がなく、派遣社員として食品工場で働くため、今年4月に東北から妻(27)と2人で上京。だが工場では、深夜から早朝にかけての労働時間が、面接での約束より長いうえ休憩もなし。最初の3カ月は社会保険もなく、夫婦で会社の寮を飛び出した。残金1万3000円を手にネットカフェに泊まり、求人雑誌で仕事を探した。

 まもなく妻は旅館の住み込みの仕事が見つかったが、男性は複数の日雇い派遣会社に登録。書籍発送や引っ越し作業などを続けたが、腰を痛めて働けなくなり、8月から生活保護を受けている。
 こうした東京のネットカフェ難民300人に対する厚労省の今回の聞き取り調査では、48.6%が日雇い労働に従事。毎月の支出は食費が平均2.5万円、宿泊費2.4万円。住まいを得られないのは「敷金など初期費用を貯蓄できない」(66.1%)、「家賃を払い続ける安定収入がない」(37.9%)と、低賃金が一番の壁になっている。

 厚労省は来年度からネットカフェ難民向けの相談窓口を設け、職業紹介や無料技能講習の紹介などを始める。だが、NPO法人「自立生活サポートセンターもやい」の湯浅誠事務局長は「就労支援だけでは解決は難しい。職業訓練の間の生活費、住居費をどうするか。日雇い雇用保険の適用など、既存の制度で使えるものもあるはずだ」と指摘する。

 今回の調査は、こうしたホームレス状態が若年層にも広がっている現実を行政にも突きつけた。独協大学の森永卓郎教授は「非正規雇用の拡大で、新たな貧困層がネットカフェに集まっており、放置すればスラム化の恐れもある。今なら敷金や家賃の無利子融資など、わずかな支援で生活を立て直せるので、早急な対策が必要だ」と訴える。

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■調査概要はつぎのとおり。




ネットカフェ難民5400人 
初の調査、20代が最多
『中国新聞』'07/8/28

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 住所不定でインターネットカフェを泊まり歩く「ネットカフェ難民」が全国で約五千四百人に上るとみられることが二十八日、厚生労働省の初の実態調査で分かった。二十代が27%で最多だが、五十代も23%おり、高齢層にも広がっていた。半数が日雇いの仕事で、低賃金の不安定な働き方が背景にあることも裏付けられた。

 厚労省はハローワークとホームレス支援の民間非営利団体(NPO)の連携を進め、社員寮付きの仕事を紹介するなどネットカフェ難民の就労支援に取り組む方針。

 六―七月に全国のネットカフェ八十七店の宿泊客約千七百人にアンケート。これとは別に東京、大阪の店の前で三百六十二人に聞き取りをした。

 その結果、ネットカフェの客で「住居がなく寝泊まりするために利用している」のは8%。これを全国の宿泊利用者推計数にかけて約五千四百人と算出した。

 就業形態をみると、東京では職場で直接雇用される日雇い労働者が35%、日雇い派遣労働者が14%。契約が一カ月未満の人も含めると短期労働者が58%を占めた。失業者も17%いた。

 平均月収は東京で十一万円、大阪で八万円。40%以上が路上生活を経験していた。

 東京で住む家を失った理由は「仕事を辞めて家賃が払えなくなった」が33%、「仕事を辞めて寮や住み込み先を出た」が20%。住居確保の問題点(複数回答)は「敷金など入居費用の貯蓄の難しさ」が66%、「入居後に家賃を払い続けられるか不安」が38%だった。

 厚労省は同時に日雇い派遣労働者約千七百人への調査も実施。平均月収は約十三万円。希望する雇用形態を年齢別に聞くと、二十代後半と三十代の男性は「正社員」が最も多く、若年層がやむを得ず不安定な仕事についていることが分かった。

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■とりあえずの調査で、サンプルとって推計するのはしかたがないが、東京・大阪って大都市の聞き取りだけで全国の推定ができるってのは、あまい。5400人って推計は、ものすごい誤差がありそうだ。
■ま、首相が「再チャレンジ」っていっている以上、がんばるのは、あたりまえで、はかばかしい前進がみられないなら、公約違反になるね。

■ついでに、『しんぶん赤旗』の特集(っていうか宣伝)記事(笑)。

非正規雇用が半数
20歳代26%、50歳代23%
厚労省調査

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 厚生労働省は二十八日、住居を失いインターネットカフェなどに常連的に寝泊まりする「ネットカフェ難民」に関する初の実態調査結果を公表しました。それによると、「ネットカフェ難民」と言われる「住居喪失者」は全国で約五千四百人と推計され、約半数の二千七百人が日雇い派遣や日雇い雇用などの非正規雇用で占められていました。失業者と無業者は、約四割の二千二百人に達していました。
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 この調査は、日本共産党の小池晃参院議員が三月の国会質問で実態調査と対策を求めてきたもので、厚生労働省が六、七月に実施しました。

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 「ネットカフェ難民」たちが住まいをなくした主な理由は、仕事を失ったことによります。調査では、「仕事を辞めて家賃等を支払えなくなった」(東京32・6%、大阪17・1%)、「仕事を辞めて寮や住み込み先を出た」(東京20・1%、大阪43・9%)と過半数を占めています。また、年齢別では二十歳代で最多の26・5%、五十歳代は23・1%と高くなっていました。

 東京二十三区と大阪市の住居喪失者へのアンケート調査では、非正規労働者の手取りは、東京で平均十一万三千円、このうち日雇い派遣は同十二万八千円でした。

 また、同時に公表された事業主(対象十社)を通じての日雇い労働者の実態調査によると、一カ月未満の短期派遣労働者が五万三千人にのぼり、このうち日雇い派遣労働者が五万一千人と、大半を占めていることが明らかになりました。月平均十四日就労し、平均月収は十三万三千円でした。年齢構成は三十五歳未満の若年層が68・8%を占めていました。

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 ネットカフェ難民 二十四時間営業のインターネットカフェ、マンガ喫茶で寝泊まりし、日雇い派遣などで不安定な暮らしを強いられる若者を指します。失業をきっかけに住居を失い、そのために就職が困難になるという悪循環にあります。

 厚生労働省の今回の調査では、ネットカフェなどで週半分以上寝泊まりする「住居喪失不安定就労者」を「ネットカフェ難民」として推計しています。
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早急な対策必要

 小池晃参院議員の話 懸命に働いても住居が確保できない「ネットカフェ難民」は、早急な実態調査と対策が求められており、私も現場調査にもとづいて国会質問で取り上げてきました。

 厚生労働省が初の調査を行ったことは、一歩前進です。

 調査は、緊急で限定されたものであるとはいえ、住居を失う理由の第一に、失職で家賃が払えなくなる実態が明らかになっており、私たちが参院選で主張した若者への家賃補助などの必要性を裏付けています。

 また、短期派遣労働者のなかで日雇い派遣労働者が大半を占めているのは、驚くべき実態です。

 「ネットカフェ難民」を生み出している「日雇い派遣」「スポット派遣」に当面、社会保険加入の道を開くとともに、登録型派遣による日雇い型の雇用をなくしていくべきです。
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大半は短期・日雇い
厚労省「ネットカフェ難民」調査

「将来の生活不安」が過半数

 厚生労働省の「ネットカフェ難民」への実態調査では、「ネットカフェ難民」を生み出している日雇い派遣労働者の実態が明らかになりました。

 日雇い労働者を派遣している事業主への調査によると、対象となったわずか十社の合計で派遣労働者は、一日当たり平均で六万五千人にのぼります。そのうち一カ月未満の短期派遣労働者は五万四千人、日雇いの派遣労働者も五万一千人と大半を占めています。

 これらの短期労働者は、携帯電話のサイトなどで募集されており、十社のうち、二社で現住所を確認できなくても、派遣労働の登録ができるとしています。

 短期派遣労働者への調査によると、日雇い派遣労働者が84・0%と最も多くなっています。

 「ネットカフェ難民」への調査では、九割が男性です。

 職種では「建設関係」(東京40・9%、大阪24・0%)が最も多く、東京では「運転・運搬・倉庫関係」(13・5%)、大阪では「製造関係」(20・0%)が続きます。

 ネットカフェ以外の寝泊まり場所は、「路上」が約四割。東京では「ファストフード店」(46・1%)、「サウナ」(32・1%)の割合が高く、東京の若年層は「友人の家」(49・4%)も多くなっています。

 住居喪失の理由は、仕事を辞めたことによるものが過半数を占め、「家族との関係悪化によって家を出た」(東京13・8%、大阪12・2%)が続きます。

 住居を確保するための問題点としては「敷金等の貯蓄の難しさ」(東京66・1%、大阪75・6%)、「安定収入が無いために入居後に家賃を払いつづけられるか不安」(東京37・9%、大阪58・5%)「入居保証人の確保の難しさ」(東京31・3%、大阪24・2%)などがあげられています。

 求職活動での問題点は、「日払いでないと生活費が続かない」(東京40・2%、大阪53・7%)、「履歴書に書く住所がない」(東京30・4%、大阪56・1%)が上位です。

 平均手取り額は、東京で十万七千円、大阪で八万三千円です。将来への生活の不安を過半数が感じ、「いずれどうにかなる」と思う人は、東京の若年層で28・4%ですが、中高年層では11・9%となっています。
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