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世界の環境ホットニュース[GEN] 643号 07年07月07日
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枯葉剤機密カルテル(第56回)         
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枯葉剤機密カルテル     原田 和明

第56回 第三水俣病(3)

政府の公害放置は怠慢が原因ではありません。意図的に放置している図式が明らかになったのは1967年12月22日の参院産業公害及び交通対策特別委員会で、三井化学の排水規制を求める与野党議員と規制を拒否する政府側の攻防となりました。

原田立(社会党)
「水俣病が大騒ぎになっていたにも関わらず、1966年まで全く水銀の水質調査をしなかったのはなぜですか?」

経済企画庁水資源局参事官・宮内宏
「水質を規制する目的でやっておる調査でございまして、水質を規制するに至るまでの調査の作成がおくれたということで御容赦願いたい。」

原田
「ん?よくわからない。もういっぺん(同一答弁の繰り返し)やっぱりよくわからない。・・・それで、いつになったら水銀の規制が行なわれるのですか?」

宮内
「法律のたてまえからいたしましても、もちろん人命が重要なんでございますけれども、産業間の協和というような問題がございます。したがいまして、各省とも連携をとりながら、どの程度の基準をかければ実際に守られるかということも含めて、検討していかなければならないので、多少時間を要するわけでございます。」
原田
「(前局長の現地視察の際、三井東圧化学の)工場廃液が原因とわかれば基準設定を急ぐ、こういうことを言われておりますけれども、急ぐというのは一体、一年も二年も三年もかかるのですか?」

宮内
「原因は既に明白にわかっています。現在の予備調査が終わると、詳細調査になり、そこで2?3年くらいかかります。それから総合的に解析をする…」

原田
「部会の現地視察の際、福岡市内の川は 年内に結論を出すが、大牟田川は2?3年かかるという返事で憤慨しておる。」

ここで、参院産業公害及び交通対策特別委員会・元委員長の紅露みつ(自民党)が大牟田を現地視察した経験から党派の違いを超えて原田に同調しています。

紅露みつ(自民党)
「大牟田川に関する限り対策が立てられないという言い分は通らない。もう捨て置けない状況にあります。それは素人目にもわかりました。それで早急に対処するよう委員会としても申し入れたのです。」

厚生政務次官・谷垣專一
「厚生省としても何らかの手を打つべきものだと考えて地元と協議したことがあるが、水質の指定水域でないとやれない、指定までにかなりの時間がかかるという状況です。」

紅露
「だからこそ指定水域にするよう申し入れた。なぜ指定水域になっていないのですか?」

経済企画庁水資源局長・今泉一郎
「お答えいたします。『調査の対象の水域』にはいたしておりますが、いわゆる水質基準を設定いたしておる、『指定水域』という意味の水域にはまだ指定されてないわけでございます。すなわち、水域の指定と水質基準の設定とは水質保全法によりまして同時に行なうような法形式になっていて、調査の対象とはなっておりますが、水質保全法上の指定水域ということにはまだなっておらないわけです。答えが出たとき指定水域になる、こういう法律のたてまえになっておるわけでございます。」

紅露みつは巧妙に張り巡らされた法律という壁の厚さを実感したのでしょうか。反論の言葉に詰まっています。そこへ、藤田藤太郎(社会党)が割って入りました。藤田の抑えきれない思いが迸っています。

藤田藤太郎
「私は、きょう質問がありますから、何にも言わぬでおこうと思ったけれども、あまりにも――これを国民が聞いたらどうなるのです。肝心な、やっている人は、原因はどこだとわかっていると、こう言う。そして対策その他をやる指定ができないというのは、何が原因しているのか。それで一年も、二年もかかって、ぐずぐずいつになってもできない。そんな目的で公害基本法というものはできたんじゃないのです。人間の生命と健康を守るために公害対策を国をあげてやろうということなんです。

人間の生命はだれが守る。公害というものから人間の生命をどうして守っていくか、健康を守っていくかという、この基本にきちっと合わさなければ、公害対策なんて意味がないと私は思う。経済との調和とか、産業優先主義とか、そういうことがもろもろ入ってきたら、いつまでたっても決してこれは指定もできないじゃないですか。理屈だけ言って、人間の生命はどうでもいい、何とかしてその対策を講じるのをサボろうというのなら、公害基本法なんてつくらぬほうがいいのですよ、ぼくに言わせれば。

この経済の調和というのは、その会社の調和じゃなしに、そういうものに国家的にどう対策を立てていくかということだけなんですよね。だから、調査の段階で大かたわかっておったら、何で指定せぬ。それからすぐ対策を講じるというのが道じゃないですか。下水から、ノリから、何もかも対策ができなければ指定できないなんていうことでは、百年たってもできませんよ。そのために、人命がどれだけそこなわれておりますか。それは水俣病でもそうですよ。

大牟田川の水でも水俣病ですよ、これは。有機水銀のために人間が朽ち果てている。だから私は、そこらの基本をはっきりしてもらいたいと思う。そうでなければ公害対策をなんぼ議論しても、何もできはせぬ、こう思います。」


今泉は「なるべく早く御趣旨に沿うように努力いたしたいと、かように考えております。」と答えるにとどまり、その後も放置は続いたのです。大牟田川の汚染が放置された理由、それは苛性ソーダの供給に支障をきたすということかもしれませんが、その奥には「枯葉剤国産化によるアメリカ軍への貢献」を通して、三井東圧化学は利潤を、佐藤栄作は権力・地位を確保するという思惑がなかったはずがありません。

ところで、大牟田川の水俣病疑惑はもっとさかのぼります。水俣病の原因が有機水銀であることが判明した1959年、大牟田市の勝立地区に水俣病の初期症状に似た手足の麻痺などの「勝立病」が集団発生、約二十人が発症したことがあります。この一帯には工場排出物の残りかす(スラッジ)が捨てられていたという事実があり(1967.12.22 参院産業公害及び交通対策特別委員会)、チッソと三井化学による水銀汚染は同時進行でした。

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■むかしから、官僚は業界と有力政治家のカタをもち、そのためには、平気でウソをついてきた。■いわゆる「西山事件」などでも、当時の外務省アメリカ局長自身が、ウソつきだったと告白しているぐらいだしね。

■官僚たちが国民の安全を第一にかんがえているなんて、ウソ。かれらの第一は省益、つぎに業界と政界の利害調整、第三が整合性かね。かれらは、自分たちが責任のがれするためには、論理とか羞恥心とかかなぐりすてる。その点は、企業経営者や政治家と本質的にかわらない。■再三再四くりかえしたとおり、政官財3極は、いすれも主要なリスク要因だ。自然界でも諸外国でもなくね。