■もはや、キャッシュでも確認できない 「夏休み」のかなたの記事を、せっかくなので、はりつけておく(笑)。

山梨県、
県有地を富士急に格安賃貸
 
随意契約で80年間
2007年08月14日06時02分

 山梨県が、山中湖畔にある県有地約300ヘクタールを富士急行(本社・同県富士吉田市)に、随意契約で約80年間にわたって貸していることが分かった。東京ドーム約60個分の広大な土地で、富士急は別荘用地として一般に転貸している。県は、富士急への賃貸料を独自に試算した土地の評価額をもとに算出しているが、近隣の別荘用地の評価額の約3分の1となっている。

富士急の山中湖畔別荘地(手前)と山中湖
=山梨県山中湖村で、本社ヘリから
img20070814.bmp  県によると、別荘地として利用されている県有地は山中湖の南側にあり、一帯はリゾート地として知られている。土地の賃貸料は年間約2億3600万円で、1平方メートルあたり年約79円。富士急は別荘用地として、同175円ほどで一般の顧客に転貸している。

 賃貸料は、土地の評価額をもとに設定している。評価額は県の委託を受けた財団法人日本不動産研究所が算出。「敷地面積が広大で、借り手が大手業者に限られるため競争性がない」という理由で、算出した価格から4割引いているという。
富士急の県有地の別荘img20070814_1.bmp
 評価額(標準価格)は1平方メートルあたり5300円。最終的に富士急へ貸す「適正な土地価格」は4割引いて同3180円。これに利回り、物価変動の率をかけるなどして賃料を設定している。

 県有地と道路一本隔てたところに民間会社が分譲した別荘地がある。広さ約1万3000平方メートルで、10区画を販売した。関係者によると、ここの固定資産税評価額は1平方メートルあたり1万360円。大手不動産業者によると、建物を建てる際の条件や、建築許可を得るための手続きは、県有地部分とほぼ同じという。

 県は「土地の面積も広大で、小さな区画とは単純比較できない。第三者機関に依頼して算出しており、富士急への賃貸料は適正と考えている」と話している。

 県はこのほか、富士急に対して、別荘地内の道路やゴルフ場用地、富士吉田市内のスケート場や鳴沢村の売店などにも県有地を貸しており、総面積は計約450ヘクタール、東京ドーム約100個分にもなる。賃貸料は総額で年約3億3000万円。

 同社の有価証券報告書やパンフレットによると、山中湖で貸している別荘地は約3000区画。

 県によると、富士急と県有地の賃貸契約を結んだのは1927(昭和2)年。富士急は「当時の県知事から要請があったため、別荘地として開発し、資金を投じて測量や区画造成などをした」と説明する。同社が77年に発刊した「富士山麓史」には、同社前身の2社が主体となって「知事のバックアップによってスタート」した、と書かれている。

 全国市民オンブズマン連絡会議の事務局長を務める新海聡弁護士は「公の財産の利用は平等でなくてはならない。貸すまでのプロセスが透明かも重要。随意契約で、一民間企業に低廉とも言える料金で貸すのは違法だと思う」と指摘している。

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■これについては、「借地権ってそういうもんなの?」(2007/08/18)といった文章が

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貸すまでのプロセスは単純明快、「明治末の水害に対して救援として皇室から恩賜された山林を活用して地域経済をもり立てるために県がリゾート開発を企画した。」そんだけ。資金は公費もつかったけれど、民間の活力も必要だった。で、貸し付けられた公有地を富士急が開発し、別荘地として転貸した。*1

それと、長期と言っているが、借地契約の法定年数は30年。賃料改定の法定は10年である*2。80年の間に法定では2回しか契約解除の機会はないのだし、一方的な契約解除や従前より高い賃料水準の設定には相応の理由が必要だろう。

また、借地の目的が転貸であり、地権者サイドの目的が観光開発であった事に鑑みると、末端価格で賃貸したのでは当初から借地契約そのものが成り立たないだろう。小売価格の50%で卸売りされていると見ればきわめて妥当だ。また、富士急が建設した位置指定道路や移管された村道県道を借りて富士急に寄生している「となりの事業者」と富士急に同じ賃料で土地を貸す事が果たして「平等」と言えるかどうかははなはだ疑問である。

 そもそも目的に沿って合理的な賃料設定であれば合法なんじゃないか?そうでなければ公営住宅事業なんてありえないだろう。

 県の先見の明か、富士急の努力か、いずれが主であるかはよくわからないけれども、農業もままならず林木の成長も僅かな高冷の地の寒村が、村民総生産の90%は対外来者サービスで生み出されているという一大リゾートとなった。地価が上がり、県も、富士急も村民も利益を享受している。むしろ今後に期待なんじゃないかな。
……


などと反応していて、オンブズマンたちのツッコミが、まったくのまとはずれであると批判している。
■法律上はそうなのかもしれないし、経済的な貢献度とかをかんがえれば、妥当な契約関係といえるのだろうが、「明治末の水害に対して救援として皇室から恩賜された山林を活用して地域経済をもり立てるために県がリゾート開発を企画した」って経緯は、「単純明快」全然問題なしなのか? ■だってさ。「皇室から恩賜された山林」ってのは、一体だれのものだったわけ? 京の御所のおすまいだったはずの天子さまたちが、甲斐の国の山中湖湖畔に巨大な地所をおもちだったなんて、きいたことないぞ。■要は、国有林だの皇室財産なんてのは、維新期に幕府・各藩の領地と、列島住民が私有地ないし明確な共有地などと主張しれきなかったものを、そっくりいただいたものの結果でしょうが(笑)。■「恩賜」とか「下賜」とか、前時代的な身分用語は、そろそろ「卒業」しないかい?
■ともかく、後進国が開発独裁の一種として、官営工場をつくった経緯は、ある程度しかたがないが、旧財閥系に破格の条件ではらいさげられたのは、西南戦争後の財政難なんて理由で合理化されはなるまい。■はらいさげられたさきは、あきらか一部特定の政商たちだったわけで、そこの利権がなかったはずがない。

■それと、うえに引用したコメントで「そもそも目的に沿って合理的な賃料設定であれば合法なんじゃないか?そうでなければ公営住宅事業なんてありえないだろう」って箇所は意味不明。■リゾート地は、ハイリスクである一方、ハイリターンもみこめる。「公営住宅事業」ってのは、まさか 公的機関がカネもうけするわけじゃないよね。■住宅地を開発するとして、そこが公的な性格で社会政策事業の一環として公的機関がしきるのか、不動産関連会社が営利目的でおこなうのは、全然別のはなし。ごっちゃにするのは、まずかろう。
■自治体や政府が、土地などをはらいさげて、「もうかったら、たくさんかえすように」みたいな事業展開をするというのは、税金の支出としても、収益の正当性という意味でも微妙な問題があるだろう。もともと、公的機関は、カネもうけする組織じゃないし、利潤がでなさそうな領域を税金でなんとかするという位置づけなんだから。
■それはともかく、特定の業者に後日かなりの収益があがるかもしれない資源を格安で提供したとすれば、それは、ユチャクといわれてもしかたがない。■企業城下町ならぬ「企業城下県」で、富士急になにもいえない力関係が成立しているのだとしたら、ますます問題というほかなかろう。■民主主義ってのは、過程の透明性・平等性という、てつづきの正当性・正統性によってはじめて実質をもつものであって、柔軟であるべき部分はあっても、基本は杓子定規でないといけない。■もし、キャッシュもきえた『朝日』の記事がなにかの圧力の結果だったりしたら、大問題だよね。まさか「富士急がリスクをひろって、刻苦勉励・創意工夫で一大ブランドを形成し、集客力・集金力を維持してきた功にむくいて、過去のことは、いっさいふれないようにしよう」といった「合意」がウラでなされているとしたら、それこそオンブズマンの監視対象だとおもうがね。


●『2ちゃんねる』「【不動産】山梨県:富士急に県有地を格安賃貸、随意契約で80年間…計約450ha東京ドーム約100個分 [07/08/14]
●Google「山梨県、県有地を富士急に格安賃貸 随意契約で80年間」検索結果
全国市民オンブズマン連絡会議