■もちろん前便のつづき。
■前便でリンクだけしておいた、「国際化」の記述をはりつけておく。

国際的な競技としての普及

国際的競技としての柔道においても礼節は重んじられている柔道の試合競技は1964年の東京オリンピックで、正式競技となる。女子種目も、1988年のソウルオリンピックで公開競技、1992年のバルセロナオリンピックでは正式種目に採用された。

現在は、世界中に普及し、国際柔道連盟の加盟国・地域も195カ国ある(2005.9)。
日本以外では、欧州で人気が高く、特にフランスの登録競技人口は、日本の登録競技人口を大きく上回っている。 2007年現在、国際柔道連盟の本部は韓国ソウルにある。
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■国際柔道連盟の本部は会長の所属地へと移動するのではないかとおもうので、つぎはウィーンあたりかとおもうが、重要なのは、日本の柔道界のおエラいさんたちは、英語・フランス語ができないためか、20年以上会長になっていないこと、そして、すくなくとも「登録競技人口」という次元では、日本はヨーロッパにおとるということだ。プーチン大統領の武道家としての肉体美をどう位置づけるかは趣味・イデオロギー次第だろうが、町道場の遍在ぶりだけで、「日本の国技のひとつ」なんて「本家」意識は、すくなくとも、競技柔道という次元では破綻していることに注意!(笑)
■「町道場」の充実ぶりだって、前便でかいた「ブラジリアン柔術」などの充実ぶりとくらべたときに、水準としてどうか、微妙なところだろう。
■それはともかく、柔道が現在のような国際化をとげる素地は、国家権力とのユチャクによるところがおおきい。■ウィキペディアの「柔道」という項目の冒頭部分には、つぎのような記述がある〔リンク略〕。

学校教育において1898年に旧制中学校の課外授業に柔術が導入された際、柔道も、必修の正課になった。連合国軍最高司令官総司令部により学校で柔道の教授が禁止された以降武道は禁止されたが、昭和25年(1950年)に文部省の新制中学校の選択教材に柔道が選ばれた。昭和28年(1958年)の中学学習指導要領で、相撲、剣道、柔道などの武道が格技という名称で正課授業が行われた。平成元年(1989年)の新学習指導要領で格技から武道に名称がもどされた。ほとんどの学校が柔道場を有する。剣道や空手道と並び、日本でもっとも広く行われている武道の一つ。

■もちろん、剣道・空手などとともに、警察や軍隊での護身術・逮捕術等にとりいれられた点もみのがせない。■要は、国家権力が、秩序維持要員に対して、まるごしになっても応戦能力があるよう、素手(すで)でなりたつ武術を奨励したこと、それが学校教育にもかなり積極的にもちこまれた経緯がちいさくないのだ。
■しかし、「ほとんどの学校が柔道場を有する」とリキんだところで、アスリートの人材の中核的部分が参入しているのかといえば、全然そうではない。■すくなくとも競技柔道は、人口が半分程度のフランスに、はるかにおよばない水準にとどまっているのである。
■実は、つぎのような審議会の答申も、そういった関係者の危機感が反映しているのではないか?


女子も武道、男子もダンス 
中学で「必修」に 中教審
(asahi.com 2007年09月04日)

 学習指導要領の改訂を検討している中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の専門部会は4日、中学の保健体育で武道とダンスを男女にかかわらず、1、2年生で必ず履修すべきだとする案をまとめた。中教審の教育課程部会での検討を経て、文科相に答申する。早ければ11年春から、男子がダンスをし、女子が柔道や剣道をする姿がどこの中学校でも見られることになる。

 改正教育基本法で「伝統と文化を尊重」の文言が入ったこともあり、「中学から武道を必修にすべきだ」との意見が部会の委員から出ていた。中教審は保健体育の授業時間を増やす方向で検討しており、より多くの領域を指導できる見通しが立ったことも、今回の案に影響している。

 現在の指導要領では、器械運動や陸上競技など全生徒が履修する領域のほか、1年は武道、ダンスから一つ、2、3年は武道、ダンス、球技から二つを選択することとなっている。今回の案では、1、2年で全領域を履修し、3年から選択制を導入する。

 武道は現在、柔道、剣道、相撲が指導要領に例示されているほか、なぎなた、空手、弓道、少林寺拳法、合気道などが実際に教えられている。ダンスは「創作ダンス」「フォークダンス」「現代的なリズムのダンス」が例示されているが、文科省は「競技ダンスやヒップホップなども考えられる」と話す。

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■わかものやフェミニストからの批判を想定してか、既存のジェンダー・イメージと意識的に交差させる方針をうちだしているが、男子に柔道ないし剣道を軸に、明治期に構築された「伝統」を継承させ、兵士になれる心身を準備したいという底意は、かくせないだろう。■つまり、サッカーやバスケットに人材が吸収され、柔道や相撲は、あきらかに劣勢という長期低落傾向のなか、オリエンタリズムや「でかせぎ」の対象として、日本人のわかものよりも、外国人青年の方が、素質と熱意をかねそなえているという、シャレにならない状況が関係者にせまっているのだと想像できる。

■つまりは、「本家」意識をふりかざして、「ルール改悪」を阻止できないよう、政治工作をあびつづけているといった被害者意識にとらわれているうちに、あしもとがグラつき、「民族的伝統」といった空疎な理念だけがひとりあるきしているのだ。


■そんなに「伝統と文化を尊重」が重要だというなら、「ブラジリアン柔術」や「高専柔道」「日本拳法」や「合気道」など、柔術系だけでも、参照・研究すべき流派はたくさんあるし、おぼれない泳法という意味では、競泳などをまねるより「古式泳法」などの真剣な導入こそ必要なはずなのだが、まあ、不勉強なかれらには、ムリな要求か?




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