■きのう 別の日記のほうでメモしておいたが、きのうの よるのラジオ・ニュースは、その大半が企業などの不祥事の報道といってもさしつかえなかった。■「美しい国へ」と改善すべき点がおびただしく伏在しているらしいことをうかがわせる、実になげかわしい現状だが、やはりめだっていたのは、パロマ工業社長の逮捕と伊勢の名物「赤福餅」の製造日偽装事件といえそうだ。■東海地域を、ある意味代表する同族企業のスキャンダルは、いろいろなことをかんがえさせてくれる。

■もっとも、パロマ湯沸器死亡事故については、同族企業としての体質など、いかにもありがちな論点については かなりの量かいてきており、つけくわえるべきものが、別にみあたらない。■本体のパロマの方の わか社長に累がおよばないような工作があったかどうかぐらいしか、関心事はうかばないんじゃないか? だって、ああいった同族企業がその経営体質を急速に改善させるとはおもえない
■やはり、創業300年をほこる、しにせ中のしにせ企業というべ、「赤福」の偽装は、さわがれるにあたいするスキャンダルだろう。
■なにしろ「1976年12月に発売され……現在では年間約2億枚を売り上げるまでになり、……土産品の単品売り上げでは赤福(三重県)に次いで全国2位とされる」「白い恋人」を主力商品とする「石屋製菓」の石水勲前社長は、 地元紙に「伊勢の赤福のように百年、二百年後まで愛される『伝統』にしたい」とのべていたそうだ
『朝日新聞』「天声人語」2007/08/20。■おまけに、この前社長発言を皮肉るために、「今年創業300年の赤福の餅は、ごまかせない「製造日限りの販売」だ」と もちあげてしまった大手新聞コラムニストは、どうしているやら…(笑)。
■誤解をうけないように、あらかじめことわっておくと、今回の「赤福餅」の表示偽装事件を「リスク論」におさめたのは、パロマのばあいとは全然ちがう。■たぶん、冷凍した商品を解凍したものをかわされたとして、その品質に差はないとおいいはった、社長の主張はまんざらまちがいでないだろうし、すくなくとも、たべて安全性に問題があったとはおもえない。■だから、今回のこの記事は、食中毒やら有害物質の長期蓄積とかいった、食料品リスクの問題ではない。そうではなくて、「定番(ロングセラー)」を維持する優良企業。なかでも、「しにせ」とよばれて尊崇をあつめてきた企業が潜在的にかかえるリスク問題だ。■ウィキペディアの記述の該当部分を転載する。

消費期限及び製造日、原材料表示偽装事件

2007年10月12日、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律違反容疑で農林水産省及び伊勢保健所の立ち入り調査を受けていることがわかった。関係者によれば、夏場に製造日と消費期限を偽ったことがあると伊勢保健所に情報が入り、その結果9月19日より農水省と伊勢保健所が任意調査を行ったという。

農水省[1]によると、赤福は出荷の際余った餅を冷凍保存して、解凍した時点を製造年月日に偽装して出荷していた。赤福は、解凍しての再包装を「まき直し」と称していた。偽装は、未出荷のものもあれば、配送車に積んだまま持ち帰ったものもあった。偽装品の出荷量は、平成16年(2004年)9月1日から平成19年(2007年)8月31日までの間に、6,054,459箱(総出荷量の約18%)に上り、これ以外の期間にも日常的に出荷していた。また、原材料表示では、使用した重量順に「砂糖、小豆、もち米」と表示すべきところを、「小豆、もち米、砂糖」と表示していた。但し、赤福のまき直し行為は十数年前から地元保健所が把握しており、担当部署に連絡をやらなかったので行政の不作為行為であり会社だけの責任とは言い切れない。

この問題が発覚後、三重県内や名古屋市、大阪市など東海・近畿の駅売店、百貨店などでは赤福餅の販売を自粛し、伊勢市の赤福本店は臨時休業となった[2]。また、時事通信によれば、製造日偽装は34年前から行っていた[3]

製造年月日に関して、赤福餅に対する疑惑がなかったわけではない。「余った餅を、関連企業のマスヤのおにぎりせんべいに再利用している」という都市伝説が存在し、マスヤ[4]と赤福が公式に否定したことがあった。マスヤの回答にあるように、赤福餅はもち米、おにぎりせんべいは粳米を使用しており、両者の融通はあり得ない。しかし、赤福餅に対する潜在的な不信が存在し、それがこのような形で噂になったものと思われる。

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■?要は、品質の点でなんら問題がないとはいえ、添加物なしの「なま菓子」というブランド・イメージにとって おりあいがわるすぎる冷凍というかたちで、本来のブランド・イメージ維持のためには当然廃棄処分にしたはずのものを(経営上の理由から)、ほかの新品とまぜてうっていたということになる。
■?このての事件につきものだが、このケースも内部告発らしいタレこみがあって、はじめて発覚した。
■?伊勢保健所の関係者は長年共犯者として黙認・隠ぺいにはしっており、立ち入り調査にはいった伊勢保健所は、みうちの不祥事を自己批判的に追及するという、ぶざまな失態をさらすこととなった。


■では、これらの経緯をどう解釈するか?
■?はっきりいって「不潔」というほかないようなこともふくめて、ウソのつきどおしだった、ミートホープのようなケースとは悪質さという点で、まさに雲泥の差がある。■ただ、「白い恋人」や「COOP牛肉コロッケ」といった、所詮B級食品にすぎないものと、創業300年の超しにせ銘菓とは、おなじ基準ではまずかろう。■「ノブレス・オブリージュ(貴族の責務)」として、「赤福」は、うれのこり分をそのブランドに即して全部いさぎよく廃棄すべきだった。

■?伊勢保健所が十数年まえから認識をもっていたなら、当然担当者がかわっても、そのみのがしが継承されていたわけで、組織的な「共犯」関係があったということになるだろう。■しかし、「行政の不作為行為であり会社だけの責任とは言い切れない」といった、いかにも行政に責任をなすりつけて、赤福がわをかばうような記述はいただけない。■むしろ、「保健所、ミートホープへ検査を事前通知 偽装食材を撤去」(asahi.com 2007年07月03日07時15分)といった記事でもたしかめられるように、確固たる企業城下町を確立した大企業は、地域経済のみならず行政をもまるめこんだ体制なのであり、全国におびただしい同様の構図・隠ぺいがかくされているとうたがった方が、妥当だろう。

■?「『朝日新聞』2007年5月26日号「「参宮線廃止、駐車場に」 赤福会長、式年遷宮控え提案」によると、益嗣はJR参宮線を廃止して1000台規模の駐車場を整備すべしと提言。2月の段階で、森下隆生・伊勢市長や、地元選出国会議員らとの会合などで、廃止を提言したという」という記述があるところをみると、その圧倒的な存在感は、反面相当なうらみもかっており、今回も、それへの報復ないし、ゆさぶりが、内部で不満をかかえる関係者の通報をみちびきだした可能性もありそうだ。

●「「参宮線廃止、駐車場に」 赤福会長、式年遷宮控え提案」『朝日新聞』



■つまり、「千年、働いてきました―老舗企業大国ニッポン」は、一見なんのモンクのつけようもなく、完全無欠にみえるが、実はスキが全然ないわけではないのだ。■「経営上のロスをかんがえて、『ムダ』をカット」といった意識と、「うちは超しにせなのだから、地域貢献してきたし、その責任も当然もっている」といった自負心などが、わるい方向にからまれば、「今年創業300年の赤福の餅は、ごまかせない「製造日限りの販売」だ」などと、赤面ものの ヨイショをうけてしまうし、行政当局も こしがひけて、問題を指摘しないどころか、一緒にかくしだてにかかわってしまうという、破局的な事態をまねきいれるということ。
■「正直が一番」「ウソをつかないこと」といった、愚直な商売が、結局は「ながもち」の単純な秘訣のような気がする。■「それで、苦境にたえきれずにつぶれたなら、それまでのこと」って、さっぱりとわりきるような姿勢で、たまたまいきのびるような企業だけが、数百年のいのちをさずかるんじゃないだろうか? ■そして、そういったかたちで つみあげられたブランドはすごいものだが、くずれるときは、あっというまと。かたちづくるのは、負のエントロピーだから、ものすごいエネルギーを要するが、ぶっこわすのは実に簡単と。

■ま、ブランド維持のために清潔さをかなぐりすてているがゆえに、「ぶっこわす」となると、ものすごいエネルギーが必要らしい、保守政党もあるけどな…(笑)。