■いわゆる不審死についての「死因」問題では、何度か記事をかいてきたが、今回は話題の力士急死問題。

力士急死で検視怠る 
愛知県警、病死と判断
2007年10月15日15時05分

 大相撲の序ノ口力士だった斉藤俊(たかし)さん(当時17)=しこ名・時太山=が名古屋場所前の6月26日、愛知県犬山市でけいこ後に急死した問題で、直後に遺体をみた犬山署が事件性は全くないと判断し、刑事訴訟法に定める司法検視をしていなかったことがわかった。また、遺体が運ばれた同市の犬山中央病院は死因を急性心不全と診断していたが、同署は虚血性心疾患と変更して発表していた。

 犬山市消防本部によると、斉藤さんは26日午後1時15分ごろ病院に運ばれたが、心肺停止状態だった。搬送中、犬山署に「労働災害の可能性あり。不審死の疑い」と連絡した。

 病院は脳に異常がみられず、心臓が肥大していたことなどから急性心不全と診断した。犬山署の事情聴取に、前時津風親方や兄弟子らは「激しいぶつかりげいこで倒れた」と説明。遺体の目視や診断した医師らからの聴取などから、同署は病死と判断し、県警本部に検視官の出動を要請せず、死体取扱規則に基づく死体見分調書しか作成していなかった。
 その後、同署は死因を虚血性心疾患と変更して発表した。急性心不全は事件性の有無にかかわらず、急に心臓が止まった「状態」を示す。一方、虚血性心疾患は狭心症や心筋梗塞(こうそく)を含む病名であるため、事件性のない病死を意味する。

 病院は「なぜ警察が虚血性心疾患と発表したかわからない」としている。一方、県警幹部は「心不全も虚血性心疾患も一緒だ」との認識を示した。

 斉藤さんの遺体を解剖した新潟大大学院の出羽厚二准教授(法医学)は「後に親方がビール瓶で殴ったとされる額の傷など、一見してけいこではできないと考えられる傷がいくつもあった。異状死体として検視しなかったのは県警の失策だ」と話している。

 県警は「当時必要な捜査は尽くしたと考えているが、問題がなかったとは言えない。教訓としなければいけない点もある」としている。

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■「病院は「なぜ警察が虚血性心疾患と発表したかわからない」としている…一方、県警幹部は「心不全も虚血性心疾患も一緒だ」」というのは、奇妙だね。



死因記載めぐり食い違い 
力士急死問題、県警と病院
2007年10月15日 22時23分(東京新聞)

 大相撲の時津風部屋の序ノ口力士、時太山=当時(17)、本名斉藤俊さん=が6月、愛知県犬山市でけいこ後に急死した問題で、斉藤さんの死因について、搬送先の病院の医師が「急性心不全」と診断書に記載したにもかかわらず、県警犬山署の署員が「虚血性心疾患」との報告書を作成していたことが15日、分かった。

 急に心停止した状態を示す「急性心不全」に対し、狭心症などを含む病名「虚血性心疾患」を記載することで、病死の意味合いが強くなるため、県警では違いが生じた経緯について内部調査している。

 県警などによると、斉藤さんは6月26日午後1時15分ごろ、心肺停止状態で犬山中央病院(愛知県犬山市)に運ばれ、約1時間後に死亡。遺体を確認した医師は、致命傷になる外傷はないとして、死因を「急性心不全」と診断した。

 その際、立ち会った犬山署の刑事課員が同日夜、県警捜査1課への報告で、書類には死因を「虚血性心疾患」と記載していた。


(共同)

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■しかしだ、犬山中央病院がまっとうなのかといえば、そうともおもえない。たとえば『週刊現代』の最新号では、法医学の権威【岩瀬博太郎・千葉大法医学教授】に聞く 愛知県警と犬山中央病院のデタラメを暴く!! 「事件性ナシ、死因は心不全」時太山“丸ウソ”死亡診断書ができるまで:取材・文/柳原三佳(ジャーナリスト)」 なんて記事があり、そこには、「■事件性の有無を検視するのは“素人”警察官」なんて、すごい みだし まである。愛知県警を非難できるような信頼性があるとはおもえない。■岩瀬教授は、「今回の事件で運が良かったのは、死亡した場所が愛知県、遺体が引き取られた場所が新潟県、つまり管轄する県警が違ったことです。もし遺族が愛知県内に住んでいたら、行政(承諾)解剖すらされなかった可能性が大です。死体を“二度目に”見ることになった新潟県警は、犯罪を見逃したことが自分たちの責任ではないと思えたからこそ、解剖に回せたのだと思われます」と、ぞっとするような指摘をしている。

■さらにすごいのは、犬山署の問題。■おなじ『週刊現代』が、「角界激震スクープ第26弾 あまりの酷さに私は言葉を失った…… 北の湖理事長よ、これでもあなたは辞めないか 「時太山=斉藤俊くん【享年17】遺体写真【精緻イラストで再現】」が告発する相撲協会の犯罪武田頼政(ノンフィクションライター)」という記事を巻頭記事にして、しかもそこには、「■俊くんの遺体が語る“角界の実態” ■「犬山署長は時津風部屋でちゃんこを食べる」」という、凄惨なイラスト図解+すごい文章が。■前任の犬山署長のユチャクぶりもあきれるが、「今年は行っていませんし、9月に異動してきた私には前年のことはわからない。前任署長が行っていたかどうかなど、週刊誌のために調べる必要などない。仮にチャンコに行っていたとして、それによって捜査に手心を加えることなどありえない!」などと、長尾富士夫副所長が激高したとかで、完全に市民感覚からズレている。

■おなじ記事には、「俊くんにとって人生最後の朝、前親方は弟子たちに「ぶつかり稽古」を命じたが。だが、稽古とは名ばかりで、それは俊くんを約30分間にわたって拳と棒切れで殴打する、リンチだった。
 意識を失ってから約50分間、彼は稽古場の脇に放置された。そして、ようやく救急車が駆けつけた午後1時、すでに俊くんの心肺は停止状態
だった
」というから、これが本当なら、完全にウソをついていたことになる。

■こういった、醜悪な共犯関係は、地域にとっての目玉商品としての相撲部屋ブランドってことで、ほかの団体球技などのキャンプなどにも多少は同類のものがあるかもしれないが、もともとヤクザなどとの興行面でのもたれあいとか、たにまち・後援会とか、さまざまな地縁・血縁がからまりあったいたんだとおもう。■こういった文化的土壌のうえでは、先日とりあげた「赤福」みたいに、公権力が規制組織として機能せず、むしろ不祥事を隠ぺいする巨大組織として機能するという、おぞましい構図が成立しやすいんだろう。■あきらかに権力犯罪が「密室」をいいことに、はびこる温床が地方にはたくさんあることだろう。


■でもって、県警と検視官とをグルにできなかった相撲協会は、みぐるしいたちまわりを演じている。■「時事通信」と「読売」の記事を転載。





2007/10/15-18:39 外部識者に山口弘典氏ら
=相撲協会再発防止委が初会合?力士死亡問題

 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、斉藤俊さん=当時(17)、しこ名・時太山=が6月に急死した問題で、日本相撲協会が設置した「再発防止検討委員会」の初会合が15日開かれ、同委員会に加わる外部の有識者に、日本プロスポーツ協会の山口弘典副会長(74)ら3人が決まった。
 有識者はほかにアマチュア相撲団体を統括する日本相撲連盟の塔尾武夫副会長(73)と慶大スポーツ医学センターの大西祥平教授(55)。さらに数人に要請する予定で、人選を進めるという。
 委員長の伊勢ノ海生活指導部長(元関脇藤ノ川)は「いま抱えている問題をいろいろな角度から見てもらいたい」と話した。3人は19日の次回会合から参加する。
 この日は伊勢ノ海親方ら3理事と各一門から5人の親方が出席。指導の実態を把握するために各部屋へ配布する調査書のたたき台も作成した。生活指導で19項目、けいこで10項目を挙げ、次回会合でさらに詰める。検討委が各部屋のけいこを視察する案も出された。
 委員会の名称は当初「力士の指導に関する検討委員会」としていた。
 (了)

斉藤俊(さいとう・たかし)塔尾武夫(とうの・たけお)



力士急死「再発防止委」が初会合、
メンバーさらに増員へ

 大相撲の時津風部屋宿舎で今年6月、序ノ口力士が急死した問題で、日本相撲協会が発足させた「再発防止検討委員会」の第1回会合が15日、両国国技館で開かれ、アマ相撲の関係者など外部有識者のメンバー3人を決めた。

 ただ、委員会内部には「協会寄りの人選ではいけない」との意見があり、さらに人選を進めてメンバーを増やす考え。

 外部委員は、日本相撲連盟副会長の塔尾(とうの)武夫・元日体大学長(73)、相撲協会医務委員で慶大スポーツ医学研究センターの大西祥平教授(55)、日本プロスポーツ協会の山口弘典・副会長(74)の3氏。委員会は当初の「力士の指導に関する検討委員会」から「再発防止検討委員会」に改称され、伊勢ノ海理事(元関脇藤ノ川)が委員長に就任した。第2回会合は19日に開かれる予定。

(2007年10月15日21時52分 読売新聞)

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■「協会寄りの人選ではいけない」とかいうけど、原発問題などと同様、敵対的な人物からの批判をかわせたことないし、だからこそ、メンバーにくわえたことなんてないよね? ■一連のキャンペーン記事をかいてきた、武田さんとかの提起した疑念をもちだす委員がひとりでもくわわるんだろうか? ありえないとおもうよ。そんなおてもりの「再発防止検討委員会」なんて、検討結果をきかされたって、全然意味がないとおもう。


岩瀬博太郎柳原三佳焼かれる前に語れ』(WAVE出版)

【追加記事:10/22】
●「時津風部屋力士急死、解剖医が愛知県警の検視ミス指摘」『読売』(2007年10月15日13時33分)
●「愛知県警、力士急死で「事件性なし」と遺体の司法検視せず」『読売』(2007年10月16日1時2分)