■おととい紹介した『社会言語学』VIIに関係した本の紹介。
■『外国人の定住と日本語教育』の増補版が3年ぶりにでている。■初版同様、共著となっているが、田尻英三氏の実質編著といえる。
■まったくあたらしい論考が補強されているのではないが、最近の動向にあわせた修正がなされただけでなく、初版の「第1章 外国人の定住と日本語教育を考えるためのブックガイド」の補足として巻末に、[増補]「第1章 外国人の定住と日本語教育を考えるためのブックガイド」という大量の文献リストが補強された。 
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出版社の宣伝文もはりつけておく。

少子化による労働力不足が喫緊問題となった今日、生活者としての日本語学習者とどう向き合っていけばよいのか?

2003年の日本語教育学会春季大会のシンポジウムを出発点とし、日本語教育と外国人の定住に関わる問題を取りあげた論考集。在日外国人の教育問題や定住権利、多文化主義における子どもの言語の発達など、論点は多岐にわたる。外国人の定住についてかかわるジャンルの専門家による、現実に起きている問題を解決するための提案の数々。2007年現在の新たな情況、文献およびWebサイトを加え、増補版とした。


■外国人労働力の積極的活用にまえむきのひとびとも、警戒しているひとびとも、必読書である。「2007年現在の新たな情況、文献およびWebサイト」がくわわった情報量もおおさが最大のウリであり、それだけでも「おかいどく」なのだが、「企業での社会保険加入率が低かったり、住宅、日本語研修、安全衛生等に関する外国人という特性を勘案しての特別な措置を、企業の責任で対応しているところが少ないので、現状では、雇用に伴うコストが日系人労働者のほうが日本人労働者より低い…『これらの費用をすべて支払った場合の日系人労働者の一人一カ月当たりの労働コストは、日本人の場合に比して高くなる』」(労働省職業安定局『外国人労働者受入れの現状と社会的費用』,労務行政研究所 1992)といった、外国人研修生やデカセギに依存した日本の労働現場の本質がしっかりかきこまれた引用ひとつ(p.162)とっても、うかうかよみとばしたりすることをゆるさない、「油断ならない」本だと強調しておこう。■いっちゃわるいが、自己実現のためなのに自覚がないまま、「かわいそうな外国人のために ひとはだぬごう」といった動機で日本語ボランティアにハマってしまっている層とは、こころざしや問題意識の射程・深度が異次元なのだ。


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