■インターネット新聞『JANJAN』から

6,000人が集合
「今こそ変えよう!
障害者自立支援法」フォーラム
2007/11/04
 10月30日午後、東京・日比谷野外音楽堂は全国から集った障がい者とその関係者で埋め尽くされた。「私たち抜きに私たちのことを決めないで!今こそ変えよう!障害者自立支援法、10.30全国大フォーラム」は6,000人を超える参加者であふれた。会場では障がい者グループ名ののぼり旗や「応益負担反対!」の横断幕。野外音楽堂と道を挟んだ厚生労働省前の街路からはシュプレヒコールを叫ぶ障がい者の声が、止むことなく聞こえる。

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「障害者インターナショナル(DPI)日本会議」提供
 昨年4月に障がい者へのサービスを定めた法律が障害者自立支援法へ変えられた。その前の支援費制度で利用できていた在宅障がい者の介護サービスの時間は減らされ、サービス利用の自己負担は在宅、施設を問わず応能負担から原則1割の定率負担に変えられた。

 サービス利用量が増えれば増えるほど費用の自己負担が重くなる仕組みだ。障がい者・障がい児にとって明らかにサービス減、負担増の制度改悪に対して、各地から実情報告が次々に行われた。

 北海道からは車椅子利用者の発言、「自販機で物を買うのはよくて、なぜ散歩はだめなのか、地域によって大きな格差が生じている」。

 移動介護が個別給付として国が義務的経費として費用を保障する制度から、市町村が奨励補助の範囲で独自に決める地域生活支援事業に変えられた。そのために外出の質量が制約され、また市町村格差が生じていることへの批判だ。

 京都からは重度肢体不自由児を育てるお母さん。成長期の子どもは補装具の靴やバギーを買い替えなければならないのに1割負担は非常に重いこと、地域に療育施設が無く他県への通所のために交通費も時間もかさむことを指摘した。また、国は障がいを持つ子の10年先、20年先を考えているのか、と訴えた。

 鹿児島からの参加者は、「作業所に通って給料をもらっているが、利用料と給食費負担を引かれると手元に残るのは10円だけ、こんな支援法は早くなくしてほしい」。

 ろうあ者に大切な手話通訳の派遣を有料化する市町村が出てきて、コミュニケーション、情報の保障が不安にさらされていること。公費負担医療から1割自己負担に変えられ、退院促進事業も病院内に作られて地域自立を妨げられている精神障がい者。グループホームの介助者が減らされたために生活が制約されるようになった知的障がい者。様々な問題があることが報告された。

 また、広島の車椅利用者は、「作業所に仕事に行くのになぜ利用料を払わなければならないのか。ごく普通の生活を送るための支援ができないのか。訴訟も辞さない思いでいる」と語った。

 続いて政党代表によるシンポジウムが行われた。政府与党の自民党、公明党は1,200億円の補正予算を組んで自己負担の上限額を暫定的に下げたことを強調、これによって住民税非課税世帯年収80万円以下での法定負担額1万5,000円は0円に、80万円以上の2万4,600円は1万5,000円に、住民税課税世帯の3万7,200円は2万4,600円になっている。

 また介護者の派遣や授産施設などの事業者に支給される報酬は、支援費制度のときの水準の8割に引き下げるとしたものを9割に復元した。いずれも予算措置による緩和策だ。
 これに対して民主党ら野党は、応益負担を応能負担に戻し事業者への報酬支払いを10割とする、自立支援法改正法案をこの臨時国会に提出している。

 予算措置で対応しようとする自公両党への会場からの批判の声は強く、逆に野党への賛同の拍手は大きかった。11月1日民主党・野党多数の参議院で年金掛け金流用禁止法案が可決された。次の参議院厚生労働委員会の開催日は6日、はたして障害者自立支援法改正法案は審議に入り可決に持ち込めるのか、会期延長のいかんもかかわって正念場に来ている。
(石毛えい子)
◇ ◇ ◇

関連リンク:
私たち抜きに私たちのことを決めないで!今こそ変えよう!「障害者自立支援法」10.30全国大フォーラム

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■いそがしさに かまけて、とびまわっていると つい みおとしがちだが、おなかが めだたない妊婦、あしなどが 不自由な高齢者は意外におおい。
■「交通弱者のための「あし」としての路線バス」「希少財としてのバス座席」などでもふれたとおり、この「健常者」本位社会は、あくまでも頑丈な産業戦士仕様でできあがっていて、「支援が必要な弱者は、おとなしくしていろ」という無言の圧迫をくわえつづけている。■ゆたかな社会といわれながら
〔実際、数字上は世界でも最上位クラスに位置する富裕国だよね〕、実際には、弱者に てをさしのべるユトリのない世界、少々くたびれていても「武士はくわねど、たか楊枝」式に、弱者に「希少財」をゆずる美学を追求できない、うすぎたない空間(「美しくない国」)だ。■この『JANJAN』に蓄積されたおびただしい記事群そのものが、このくにの、ユトリなさ、まずしさを充分うらがきしているといえるだろう。
■バブル経済気以上の好景気などといわれるが、業界・業態、属性によって全然ちがった労働条件・待遇であることは、いわずもがな。■しかし、弱者は、ずっとうちすてられたままである。「産業戦士自体がたえているのだから、はたらかざるもの、なおくうべからず」といいたいのだろうか? やはり、システム全体がゆがんでいるとしかおもえない。