■あかるい話題で、気分もかるく…といきたいところだが〔いや、そういった話題の本だってよむし、ネタとしてしいれていないわけじゃない(笑)〕、「思考の外部化」という、この日記の基本的趣旨にてらしたときに、「宿題」としてたまりつづけるのは、どうしても「くらめ」の話題であり、当然「からめ」の論評になるほかない。
■当日記の盟友たる、bananaさんの先日の記事「悟りとは」から
〔あ、いまごろ気づいたんですけど、当方の日記の表題「タカマサのまぐれ時評」ですんで…〕


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昨夜の「クローズアップ現代」で、「使い倒し」という言葉を聞いた。リアルで新鮮だった。

名前だけの管理職でつって、残業代を払わないようにして人件費を浮かすという。今の企業スタイルだそうだ。残業月80時間が過労死ラインというのをはじめて知った。その2倍の残業をした人が「店長」の名のもとに不払い。うつ病に追い込まれてやめた人もいる。

経営コンサルタントが講演をしていた。裁判を起こされても負けないようにするには、契約書にはじめから残業代を含むと書いておくことだといってた。もちろん聴衆は経営者(人事担当?)たちだ。

管理職とは、経営者と一体、時間を拘束されない(タイムカードをおさない?)、それなりの待遇を得るもの、というのが定義らしい。

名前だけの管理職にすると、定義とかけ離れて、ワーキング・プアと過労死を合わせたような実態だという。

なぜ、そんな「現実」に、「願望」を棄てて、足を踏み入れるのだろうか。証言していた。今ここで、正社員、管理職にならないと、またいつまでも派遣か、フリーターで、不安だと。

「願望」はあるのだろうか。ないのではないかい。
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■正社員になることに ふみこめない わかもの心理がよめない 哲人内田のような、特権的知識人の 死角については、だいぶまえにかいた。■時間的・精神的な拘束はキツいわ、バイト以上の待遇で疾走できるのが 体力的にいつまでなのか 全然みとおせない不安がつよいわ、で、三浦展氏らが調査しているとおり、フリーター層の半分は常勤ポスト志願、半分は現状指向ってところが、巨視的構造のおおむね客観的なみたてなんじゃないか? それを、不可解とかアホよばわりしても、しかたがないっていうか、全然現実がみえていないんだとおもう。

■それにしてもだ、かたちだけ管理職の かたがきをあたえて、ほんのすこしばかりの昇給をさせ、そのかわりに 残業手当と、組合員などとしての抵抗権をうばい、全部自己責任で心身管理・日程調整をさせるってのは、実に悪質。■競争原理至上主義社会のアメリカは、ジル・A・フレイザー『窒息するオフィス』がえがく時期から、確実にクレイジーな状況をみせはじめ、バーバラ・エーレンライク『捨てられるホワイトカラー』あたりをよむかぎり、完全に狂気の沙汰をしめしている。これは、5?10年後の日本のホワイトカラーおよびエグゼクティヴたちの運命を予告しているだろうし、もうすでに そのかげは しのびよっているだろう。■でなきゃ、中間管理職や店長クラスの過労死なんて、社会問題化するはずがない。

■むかし、「ジャリ・タレ(いわゆるアイドル歌手)は、トイレットペーパー」と うそぶく芸能関係者が すくなくなかったようだ。要するに、人気がでて ひっぱりだこの期間だけ、徹底的に搾取し、あとは ボロきれのようにすてて当然という、「道具」視だ。■まあ、黒子として おびただしい演出の努力をはらい、(「素材に難あり」であるがゆえに)巨額の資金を投じるプロダクションなどからすれば、本来的にハイリスク・ハイリターンの商売なのであり、「金の卵」をうまなくなったメンドリは処分というのが、正直なところだっただろう。■しかし、そういった、アブクのような世界のはなしではなく、実業ないし営業の空間で、散々しゃぶりつくしておいて、すいとれるものが皆無になった労働者を、あたかも産業廃棄物のごとく放りだすというのは、人倫にもとるというべきだろう。■労災といった、事後的なかたちでしか、フォローできないばかりでなく、労基署まで企業のかたをもって、労働者に敵対的という、おそるべき搾取国家のなかで、「かたちばかりの正社員(管理職)になったって、時間といのちをうばわれるだけ」って直感的に計算するアルバイターが大量にでるのは当然というか、むしろその感覚の正常さを評価すべきだろう。

■しかし、これまでのところ、ほとんどの企業群が ユトリをうしない、正社員以外に まっとうな対価をはらえないことも事実である。つまり、正社員という常勤ポストをえないかぎり、そのおおくは労働の正当な対価をえられない「ワーキングプア」あつかいにとどめられるということだ。■つまり、これらをまとめてかんがえれば、常勤の正社員をえらびとる(=すすむ)も、常勤をさけてアルバイター・パートタイマーなどにとどまる(=ひく)も、いずれも地獄ということになりかねない。
■これは、先日シリーズ化して問題にした「高学歴ワーキングプア」問題のように、組織的詐欺と被害者といった問題ではなく、労働市場が構造的にもたらした、ごく一般的なヒズミの ごく一般的な弱者が、こういった「すすむも地獄、しりぞくも地獄」という、たえがたい 位置においこまれるということ。■いいかえるなら、これは わかものの努力不足とか 能力不足の問題なんかじゃない。市場原理のなかで いきぬくために やむをえないとかいいながら、知識・資源のない わかものに たかって、いいように 放りだしているということ。■以前も高齢者差別、女性差別、民族差別は、さんざんくりかえしていたが、近年は 以前なら「未来あるわかもの」とされただろう層も、情け容赦なく、ボロぞうきんのように 「つかいすて」にする魂胆だということ。


■こういった、みもふたもない オヤジたちの暗躍をかきつらねるのが、よりによって、「勤労感謝の日」ってのは、「わるい冗談」っていうか、皮肉にもほどがあるというものなんだが…。