■おそかれはやかれ、こうなるとはおもっていたが、やっぱりでました「学校給食法」の改訂問題。■「「早寝、早起き、朝ごはん」?〔『おそい・はやい・ひくい・たかい』〕」の続編。■とりあえずは、『中日新聞』紙面にのった共同通信の記事。 

「食育」重視へ目的転換 
学校給食法初の大改正へ
『中日新聞』2007年11月25日 17時08分

 小中学校で実施されている給食をめぐり、文部科学省が主要目的を従来の「栄養改善」から食の大切さや文化、栄養のバランスなどを学ぶ「食育」に転換する方針を固めたことが25日、分かった。目的の転換やこれに沿った栄養教員の役割などを盛り込んだ学校給食法の改正案を、早ければ来年の通常国会に提出するとしている。

 学校給食法の大幅な改正は1954年の施行以来初。当初は戦後の食糧難を背景に不足しがちな栄養を給食で補うことを主目的としたが、食糧事情が改善された上、子どもの食生活の乱れが指摘され2005年に「食育基本法」も成立し、学校給食法も実態に合った内容にする必要があると判断したとみられる。

 改正では、目的に関し教科外の「特別活動」とされている給食を、子どもの栄養補給の場とするだけでなく、食材の生産者や生産過程、流通や食文化などを学ぶ場と明確に位置付ける。


(共同)
■文部官僚は厚生官僚や労働官僚あたりへの対抗心もあろうが、基本的には、経済的な格差拡大問題ときりはなせない、学力問題・基礎体力問題・食生活問題に、自分たちなりの姿勢をしめしたいということだろう。■でもって、市場の自浄能力や地域社会やNPOなどの自治能力に期待をかけられない以上、パターナリスティックに生徒指導したい、学校給食っていう、歴史ある巨大な装置を最大活用したいという心情も理解できなくはない。■でもって、「おなじカマのメシをくう」っていう、準合宿的な経験は、あながちわるくはないわけで、「アレルギーやトラウマなどでくえないとか、食がほそくて、みんなみたいな量をこなせない」といった深刻な個人差を少数の例外として、「あじは努力するんで、すききらいわずに、とりあえずくえ」式の給食制度を全否定するものではない。■「くわずぎらい」とかも、ときになおったりもするしな。

■ただ、「食育基本法」自体がうっとおしいイデオロギーだし、「栄養補給の場とするだけでなく、食材の生産者や生産過程、流通や食文化などを学ぶ場と明確に位置付ける」とか、ええ加減にせえよと、いいたくなる。■もともと、2003年にだされた「学校給食における食事内容について」って通達自体が、おしつけがましい介入であって、問題山積だよな。たとえば、一部を転載しておく。

(3) 今回の栄養所要量の基準の改訂についての基本的な考え方は次のとおりである。
?エネルギー
学校給食のエネルギー所要量は、1日の所要量の33パーセントとした。生活活動強度は、望ましい生活習慣として適度な活動強度である基礎代謝の1.7倍を用いた。
?たんぱく質
児童生徒等のたんぱく質所要量は、体重当たりのたんぱく質所要量から1日の所要量を求めており、前回と同様に1日の所要量の40パーセント程度としたこと。
?脂質
脂質はエネルギー源として、あるいは必須脂肪酸の供給など、健康増進に大切な栄養素であるが、過剰な摂取は肥満等の生活習慣病につながる可能性がある。したがって、脂質の所要量としてのエネルギー比は前回と同様に摂取エネルギーの25?30パーセントとしたこと。
?カルシウム
カルシウムは、日常の食生活において摂取しにくい実態を考慮しつつ、学校給食の役割を考え、前回とほぼ同様に1日の所要量の50パーセントとしたこと。
?鉄
日常の食生活で鉄の所要量を満たすのは一般的に容易ではないことから、学校給食では1日の所要量の三分の一程度の摂取は必要であり、1日の所要量の33パーセントとしたこと。
?ビタミン類
ビタミン類は、日常の食生活の中で摂取できるようになってきており、基本的には1日の所要量の33パーセントとした。ただし、ビタミンB1は欠乏症になりやすいため40パーセントとし、ビタミンB2は牛乳を飲用することにより確保できるため40パーセントとしたこと。
なお、ビタミンAの単位は、世界的に国際単位(IU)から重量単位(レチノール当量)に移行していることから重量単位とした。
?食物繊維
食物繊維の所要量は、1日の所要量において摂取エネルギー1000kcal当たり10gとされているので、各年齢のエネルギー当たりに換算して策定した。
食物繊維は、人の消化管内では消化されないため、糞便量を増やし大腸内の環境を整える効果が認められている。また、保水性、粘性あるいは、粘着力などの物理的な性質によって、血清脂質や血糖値の改善も期待される。したがって、近年の生活習慣病の若年化など児童生徒の健康問題を考慮し、食物繊維を新たに基準値として位置付けた。
?ナトリウム(食塩相当量)
食塩摂取量については、高血圧予防の観点から1日10g未満にすることが望ましいとされており、学校給食においては、食塩相当量を3g以下としたこと。 なお、健康教育の観点から幼児期より薄味の習慣化を図るよう配慮するため、ナトリウムを新たに基準値として位置付けた。
?マグネシウム及び亜鉛(目標値)
マグネシウム及び亜鉛などの微量栄養素については、その欠乏により様々な疾患を誘引するとして重要視されており、マグネシウムと亜鉛の摂取に配慮するよう、マグネシウム及び亜鉛を新たに目標値として位置付けた。

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■この「微にいり細にいり」の注文は、病院食かアスリートづきの管理栄養士か、といったこまかさで、はっきりいってビョーキである(笑)。■この直前におかれた「これらの栄養所要量の基準は、厚生労働省が定める日本人の栄養所要量の基準を参考とし、食事摂取基準の考え方を斟酌しつつ、児童生徒等の健康の保持増進を図るのに望ましい栄養量として算出されたものであるが、これは、児童生徒等の1人1回当たりの全国的な平均値を示したものである。したがって、適用に当たっては、個々の児童生徒等の健康及び生活活動等の実態並びに地域の実情等に十分配慮し、弾力的に運用すること」とか、後半にある「食物アレルギー等を持つ児童生徒等に対しては、学校医、校長、学級担任、学校栄養職員等が密接に連携して学校内の体制等を整備し、できるだけ一人一人の児童生徒等の健康状態や個人差を把握しながら、個に応じた対応を行うことが大切であること」なんて、ただしがきが、現場の硬直化によって、全然はどめにならないだろうことは、すぐ予想できる。■個人差・体調変動、家庭の食文化の差異など、いろいろあるだろうに、それに弾力的な対応ができないような、しばりを、ちゃんとかけてしまっている(「「早寝、早起き、朝ごはん」?〔『おそい・はやい・ひくい・たかい』〕」参照)

■たとえば、つぎのような一節などは、牛乳神話をうたがっていないか、ホクレンあたりの業界団体の意向をうけているんじゃないかって、邪推をよぶところ(笑)。

牛乳については、児童生徒等のカルシウム摂取に効果的であるため、その飲用に努めること。なお、家庭の食事においてカルシウムの摂取が不足している地域にあっては、積極的に調理用牛乳の使用や乳製品の使用に努めること。

■これらの、なにやらあやしげな作文については、「米飯が主食の場合でも、あまり相性がよくないと思われる牛乳が必ず出るのは、学校給食法施行規則により「完全給食とは、給食内容がパン又は米飯(これらに準ずる小麦粉食品、米加工食品その他の食品を含む。)、ミルク及びおかずである給食をいう。」と必ずミルク(または牛乳)を出すように規定されているからである」といったツッコミがすでにある。■あるいは、牛乳神話に強烈にかみつく医学者は、つぎのような批判をくわえる(佐藤章夫日本人は何を食べたらよいか」)。

文部科学省は、2003年5月30日付けで、「学校給食における食事内容について」という通達を各都道府県知事らに出した。ちょっと見には給食に牛乳を出さなくてもよいことになった。栄養所要量の基準として、給食からのエネルギー所要量は1日の所要量の33%となっている。つまり、全エネルギー摂取量の1/3を給食(昼食)から摂るとしている。それなのに、カルシウムは、1日の所要量の50%を学校給食でまかなうように通達している。これは、言い換えれば、学校給食に牛乳を必ず加えよという「強制」である。さらに、学校給食における食品構成について、この通達は次のように述べる。「牛乳については、児童生徒等のカルシウム摂取に効果的であるため、その飲用に努めること。なお、家庭の食事においてカルシウムの摂取が不足している地域にあっては、積極的に調理用牛乳の使用や乳製品の使用に努めること」。異種動物のミルクの危険性を知りながら、国があえてこのような通達を出すことは極めて罪深い行為である。
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体育って領域でのスポーツ・ダンスなどのやらせかた自体が、「富国強兵」イデオロギーがらみか、引退アスリートたちの植民地として、あやしげなように、文教官僚が食育イデオロギーをもって、現場を統制しようというのは、危険な善意しか、感じとれない。■研究者たちが、善意で教育現場を植民地化してきたのと おなじようにね。これら「善意」の背後には、あきらかに利害と支配がからんでいるんだよ。


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●「健康リスク軽減は至上命題か?
●「はびこる強迫的非寛容[健康]
●「たばこ吸いたい子、6年で半減 文科省の小中高生調査2」〕。

●Wikipedia「Healthism